IHIとJFEスチールが京浜地区構内でトラック自動搬送システムの実証試験を開始。交通整理方法の検証と受容性向上を目指す

JFEスチールとIHIは2023年2月より,既存構内搬送車両への後付けユニット搭載による自動搬送システム(以下,「本システム」)の実証試験をJFEスチール東日本製鉄所京浜地区の構内で実施することを発表した。
【図1】自動搬送車両

IHIは、トラックドライバーの労働力不足や労働環境改善を目的とした工場構内搬送車両の自動化技術を開発しており、2019年度からはJFEスチールと本システムの実運用に向けた共同研究が開始され、走行・転回・停止に係わる基本的な自動化機能の開発が完了されている。IHIとJFEスチールは、この開発を実環境で検証するため、JFEスチール東日本製鉄所京浜地区内の搬送ルート(約3km)の一部区間で、100トンの実貨物を積載したトラクタトレーラー※1を用いた搬送試験を2023年2月より開始する。

ルート上の交差点や横断歩道に標識などの設置、ならびに信号制御により、他車両や歩行者へ自動搬送車両の接近を知らせる適切な交通整理方法についても検証が実施され、より安全な搬送工程の実現、および構内道路を自動搬送車が走行することに対する受容性の向上が図られる。併せて、車載周囲物体検知センサーの数量・設置箇所等の仕様検討も進められ、2023年度内での全区間での実証試験完了を目指す。

トラック自動搬送システムの特長

自動搬送車両は、LiDAR※2センサーによる3次元地図データとGNSS※3の情報から自己位置・速度を推定し、設定しておいたルートを自律的に走行する。また車両管制サーバが、無線通信により自動搬送車両に走行ルートの設定や出発~停止の指示を行なう。

交通管制サーバにより、信号機などを制御するとともに、車両管制サーバに対し自動搬送車両の進行・停止を指示することで、交差点や横断歩道の交通整理を行い、自動搬送車両の安全かつスムーズな走行を実現する。

【図2】自動搬送試験ルートのイメージ図

注釈

※1 トラクタトレーラー:牽引貨物自動車とも呼ばれ、運転する車両(トラクタ)と荷台(トレーラー)が分離可能な重量物搬送車両。重量や車両全長が決まっている大型トラックは積載量に限界があるが、トラクタトレーラーは大型トラックでは対応できない重量・長尺物の運搬が可能。反面、折れ曲がりを考慮した高度な操作を要求される。

※2 LiDAR:Light Detection And Ranging(光による検知と測距)の略称。
レーザ光を常時照射し、対象物が反射した光をもとに、対象物までの距離や位置を計測するシステム。

※3 GNSS:Global Navigation Satellite System(衛星測位システム)の略称。
複数の測位衛星から受信した電波をもとに、衛星との距離を割り出すことで、現在位置を計測するシステム。

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