欧州コマツが建設機械の燃料をHVO燃料に切り替え
2021年にコマツは、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、CO₂削減の取り組み対象を自社の拠点(Scope1+2)、自社の製品使用時(Scope3カテゴリ11)にとどまらず、顧客の現場全体にも拡げている。2022年4月にスタートした中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」では同宣言がチャレンジ目標として掲げられている。
今回、4月中旬より欧州におけるホイールローダーとホイールショベルの主力工場であるKGCにおいて、従来のディーゼル燃料からHVO燃料への切り替えが開始された。今後は英国コマツなどの欧州域内の生産工場にて順次切り替えが行なわれる。2023年4月より、コマツドイツ建機部門(以下、KGC)の工場で切り替えを開始し、順次、他の欧州地域の生産工場でも切り替えを進めている。今回の取り組みを通じて、顧客へもHVO燃料の環境性を訴求し、建設・鉱山業界全体でのカーボンニュートラルの実現と持続可能な未来の創造に貢献していく。
HVO燃料は、腐食油、動物性油脂廃棄物、植物性油脂や残渣などの再生可能な原料から生成されるパラフィン系燃料であり、建設・鉱山機械から排出されるCO₂排出量を最大90%低減することが可能※1。またコマツの自社開発・自社生産のエンジンは、HVO燃料の充填のための特別な仕様変更や改造等を行う必要がなく、また充填に際して特別な設備を必要としない※2。そのため、切り替えのために追加の投資をする必要がなく、CO₂排出量の大幅な削減を早期に実現することが可能※3。
コマツは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、燃料電池(FC)や水素エンジンなどの新たな動力源やソリューションの開発に注力している。今回のHVO燃料への充填燃料の切り替えは、新動力源やソリューションの開発が実現するまでの「ブリッジテクノロジー」として、限りある資源を節約するための効果的で経済的な選択肢であり、顧客の現場のカーボンニュートラルの実現に貢献するものである。
※1 コマツ製エンジンを搭載した建設・鉱山機械に、HVO燃料の主要サプライヤーの一つであるNeste社のNeste MY Renewable Diesel(=HVO 100)を使用した場合。
※2 使用可能なHVO燃料は、コマツが定める規格に適合したもののみ。
※3 CO₂排出削減量は、各国の計算方法やHVO燃料製造に使用する原材料構成により異なる。またHVO燃料を使用することにより、エンジンの出力に差が生じる可能性がある。