エア・リキード、フォルシア:大型トラック向け水素事業拡大のための開発合意を発表

エア・リキードとフォルシアは10月18日、自動車産業向け車載水素貯蔵システムの設計および製造に関する共同開発合意をしたことを発表した。この技術的パートナーシップを通じ、両社は大型トラックのゼロエミッション・モビリティの普及を加速させる。

 長距離移動の用途に特に適した燃料電池車(FCV)向け液体水素貯蔵テクノロジーは、カーボンニュートラルへの取り組みの加速において重要な役割を果たす。この液体水素テクノロジーにより、貯蔵できる水素の量が水素ガスと比べて2倍になる。これにより、液体水素を燃料とする大型トラックは水素ガスと比較して航続距離が倍増し、燃料補給にかかる時間の短縮および積載量の最適化などのメリットが享受できる。

 今回のパートナーシップでは、このテクノロジーの製品化を加速する基礎となる両社それぞれの基幹的事業と専門技能を互いに補完し合い、活用していく。エア・リキードは超低温技術、貯蔵技術、燃料補給インターフェースおよびインフラストラクチャー関連ノウハウを含む、液体水素バリューチェーン全般にわたる、広く評価されてきた専門性で貢献する。一方、フォルシアはOEMとの強固な連携に加え、自動車試験やシミュレーションで認められている技能、全世界での自動車産業ノウハウと製造設備、基本設計概念とシステム統合に関する知見を発揮する。

エア・リキード会長兼最高経営責任者(CEO)、ブノワ・ポチエ氏のコメント:
「水素分野では、機運が高まるとともに世界中で関心が集まっています。このような背景のもと、水素の潜在能力を引き出すために数多くの業界セクター関係者が協力し合う中、エア・リキードはフォルシアという世界をリードする企業とのパートナーシップにより、水素の利用が特に適している大型トラック市場に注力した水素モビリティの開発を加速させていきます。エア・リキードのイノベーション能力と専門性で、水素バリューチェーン全体の水素エコシステムの開発に貢献します。エア・リキードの持続可能性目標と足並みを揃え、私たちのアンビションは低炭素社会への移行に積極的に貢献していくことです」

フォルシア最高経営責任者(CEO)、パトリック・コラー氏のコメント:
「今回のパートナーシップは、水素分野でクラス最高のパートナーであるエア・リキードと共に歩む道のりにおける最初のマイルストーンです。お互いを補完し合う水素のスペシャリストである両社が力を合わせることで、大型車両のモビリティに向け、市場投入に要する時間を迅速化した最先端の液体水素貯蔵テクノロジーの開発が可能になるでしょう」

 2030年までに燃料電池車の生産台数は250万台となり、そのうち20%がトラック車種という予測もある。長時間稼働を特徴とする大型トラックは、2030年までにモビリティ市場における水素使用量の60%近くを占める可能性がある。

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