畑村博士の年頭所感2022[もくじ]

毎年恒例の「畑村耕一博士の年頭所感」、今年も博士から寄稿がなされた。本年のテーマはカーボンニュートラル。そもそもCNとは何か、なぜCNを進めなければならないのか、CNの進め方はどのように考えるべきか、そして日本はどのように対応していくべきか。さまざまな視点から考察してみる。
TEXT:畑村耕一(Dr.HATAMURA Koichi)

 一昨年の菅首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」で、日本国内ではやっと温暖化対策が国民や企業の間で大きな話題になってきた。それを受けて国内では、カーボンニュートラルの実現に向けて様々な検討が始まっている。世界では、カーボンニュートラルを急ぐあまり、電気自動車(BEV)と再エネ発電しかないという短絡した動きが強くなって、エンジン車販売禁止を宣言する国も現れている。今年の年頭では、そのような動きを紹介した上で、カーボンニュートラルの実現に向けて2030年頃を想定して、クルマのパワートレインのあり方について考えてみたい。

 全体構成と目次を以下に示す。前半はカーボンニュートラルに向けた世界の動向を紹介し、後半はカーボンニュートラルを実現する具体的な方法を紹介する。読者の興味が強いところを選んで読んでもいいし、全体を通してざっと読み通すのもいいだろう。特に第4章はエンジン技術者向けに書いたので、一般の方には難しいかもしれないが、技術に興味がある方にはおもしろいと思う。

<目次>
 1章.カーボンニュートラルに向けた世界(欧州)の動き
  1-1.「BEV+再エネ発電」一辺倒を推し進める欧州
  1-2.CO2排出量規制と欧州の自動車メーカが置かれた状況
  1-3.エンジン車禁止宣言の背景
 2.電力使用とCO2排出量の算出法(電気の不思議)
  2-1.二つのCO2排出係数:「電気の不思議」
  2-2.電源平均とマージナル電源のCO2排出係数の実際
  2-3.ICCTの報告書Aとネット記事Cに関する考察
 3. 自動車のカーボンニュートラル走行を実現するには
  3-1.カーボンユートラルの電力は余剰電力しかない
  3-2.水素の利用とe-Fuelの可能性
  3-3.自動車のカーボンニュートラル走行の実現
  3-4.ICCTの報告書Bに関する考察
 4.環境と走りを両立する理想のパワートレインの構想
  4-1.ハイブリッドシステムの種類と特徴
  4-2.シリーズハイブリッド専用エンジンのコンセプト
  4-3.シリーズハイブリッド専用対向ピストンエンジンのコンセプト

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