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メルセデス・ベンツは容量107.8kWhを誇る大型バッテリーを採用した市販車『EQS』でEVの航続距離をリードしている。しかしメルセデス・ベンツは『VISION EQXX』で、その先を目指した。航続距離と効率とを、まったく新しいレベルに引き上げるための取り組みが、『VISION EQXX』で表現されている。その取り組みには、最先端の電気駆動系の進歩、軽量化、それに持続可能な材料の使用が含まれる。高度なソフトウェアを含む革新的かつインテリジェントな効率対策を施された『VISION EQXX』により、効率の新たなフロンティアを探ろうとしている。ダイムラーAGおよびメルセデス・ベンツAGの取締役会会長のオラ・ケレニウス氏は以下のように述べた。
「『VISION EQXX』はBEVの未来を示しています。ちょうど1年半前にこのプロジェクトを開始し、これまでに構築された中で最も効率的なメルセデス・ベンツに繋がりました。100kmあたり10kWh未満の優れたエネルギー消費量を実現しています。コンパクトカーにも収まる小さなバッテリーを使用した1回の充電で、1,00km以上の航続距離を実現します。『VISION EQXX』は多くの側面から見て先進的な自動車であり、当社の方向性を明示しています。私たちは世界で最も望ましいBEVを作るメーカーになるのです。」
『VISION EQXX』はBEVでのロードトリップ(長距離ドライブ)を可能にする
『VISION EQXX』はロードトリップ用に設計された車両である。それは革新を通じてドライバーの進歩的な要求と感情に応えることができる。広範囲にわたる技術プログラムの一部であるソフトウェアのプロトタイプは、地球上で最も効率的な自動車を実現すべく設計された。その結果、実際の交通状況のデジタルシミュレーションに基づくと、1,000kmを越える航続距離を実現する効率性を確保した(100km当たり10未満kWのネルギー消費量と、一回の充電でkWhあたり6マイル以上の効率)。
『VISIONEQXX』は、贅沢で官能的な現代のメルセデス・ベンツの、進歩的な解釈を提示している。単にバッテリーサイズを大きくするのではなく、長距離の効率を最大化することに焦点を合わせた。駆動列の効率、エネルギー密度、空気力学、軽量設計のすべてを行った。ダイムラーAGの取締役会メンバーでありメルセデス・ベンツAG開発および調達担当最高技術責任者であるマーカス・シェーファー氏は以下のように述べた。
「『VISION EQXX』の背後にあるテクノロジーの数々は、未来の市販車が搭載する機能を定義しています。『VISION EQXX』はメルセデス・ベンツを自動車の世界およびそれ以降のテクノロジーとラグジュアリーを組み合わせたブランドとして確固たるものにしています。そして私たちが開発を通じて採用した手法は、車両そのものと同じくらい革新的でした。『VISION EQXX』はR&Dセンターの最高の人材が、フォーミュラ1およびフォーミュラEのエンジニアと協力して開発しました。パワートレインが高度に電化されたモータースポーツからの革新が、ロードカーの開発に直接関連していることを証明しています」
『VISION EQXX』には、電動技術を進歩させるための現実的な方法を採用した。画期的なエネルギー効率に加えて、差し迫った問題に対する有意義な答えを提供する。例えば、持続可能な材料は、二酸化炭素排出量を大幅に削減する。
UI / UXはレスポンシブなリアルタイムグラフィックスで実現した。車両の幅全体に広がる革新的なワンピースディスプレイを備えている。UI / UXの他の要素は車両とドライバーとが一体となって連携するのに役立ち、人間の脳の働きを模倣するテクノロジーを使用することさえ可能となっている。それを実現したソフトウェア主導の開発プロセスはEVの設計手法に革命をもたらした。『VISION EQXX』は自動車工学の未来のための青写真を提示している。その機能の多くは、次世代コンパクトおよびミディアムサイズの市販車向けのモジュラーアーキテクチャを含め、すでに生産車両に統合されている。
『VISION EQXX』の概要
効率とは、より少ないコストでより多くを達成することを意味する。『VISION EQXX』には、限界を押し上げるための効率を向上させる技術が満載されている。
・EnergyWizard:全体的に、効率エンジニアリングの成果は、100kmあたり10kWh未満の驚異的なエネルギー消費を実現した(kWhあたり6マイル以上の効率)。 ・ElectricDrive:社内で設計および構築された新システムはバッテリーからホイールまで95%のベンチマーク効率を達成した。 ・RangeBuster:公道での1回の充電で可能な走行距離は1,000km(620マイル以上)を超える。航続距離への不安に終止符が打たれる。 ・Energy Density:専門家のエンジニアリングとフォーミュラ1の思想により、バッテリー技術者は『EQS』のエネルギーをコンパクトカーの寸法に絞り込むことに成功した。『VISION EQXX』のバッテリーパックは、ほぼ100kWhのエネルギーを保持するが、容積は50%少なく、『EQS』のパックよりも30%軽量である。 ・AeroChamp:エクステリアデザイナーと空力技術者はCd値0.17を達成した。 ・Sustainable Materials:革新的なリサイクルおよび植物ベースの材料は、埋め立て地に向かう廃棄物を減らし、二酸化炭素排出量を削減する。 ・UpliftMindset:先駆的な当社のエンジニアチームは、高性能パワートレイン(HPP)とメルセデスが誇る世界最速のレースラボと協力して、高効率かつコンパクトな電動パワートレインと軽量バッテリーケースを設計した ・BionicEngineering:革新的な新興企業と協力して、エンジニアは高度なデジタルツールや3D印刷を利用して余分な材料を取り除くことで、重量を減らし無駄を減らした。 ・RollingEfficiency:最適化された空力形状を備えた超低転がり抵抗タイヤと軽量マグネシウムホイールを組み合わせることで、航続距離を延ばすことに成功した。 ・BrakingLightly:アルミニウム合金製軽量ブレーキディスクは『VISION EQXX』は重量を抑えるのに役立ちつ。 ・EfficiencyOnTheRoad:軽量なF1か着想を得たサブフレームを備えた専用シャーシが公道にレーサー並みの効率をもたらす。 ・SolarPower:超薄型ルーフパネルがバッテリーシステムに最大25kmの追加距離分のエネルギーを供給する。 ・HumanMachineMerge:直感的かつインテリジェントなユーザーインターフェイスと、効率的な運転のためのガイダンスと支援とを備えたユーザーエクスペリエンスにより、電気の時代にさらに緊密な調和がもたらされる。 ・SensualPurity:エクステリア/インテリアデザインはEVの未来を描く役割を強調している。 ・FastTechProg:本プロジェクトはクリーンシートからオンザロードまで、わずか18か月で実行された。『VISION EQXX』は革新的なテクノロジーをこれまでになく迅速に量産に適応させることができるテクノロジープログラムの一部でもある。 ・Transformation:『VISION EQXX』はメルセデス・ベンツがBEVでソフトウェア主導の企業に変身することを示している。 ・SoftwareDriven:『VISION EQXX』はでは効率目標と迅速な開発を達成した。これはソフトウェア主導のアプローチによる産物である。 ・GlobalResponsibleLeadership:『VISION EQXX』はメルセデス・ベンツの目標を「Lead in Electric」に加速し、持続可能なモビリティのベンチマークを設定する。
バッテリー総電力量 | 100kWh(最大) |
システム電圧 | 900V(最大) |
電力消費量 | 10kWh/100km |
抗力係数(Cd値) | 0.17 |
最高出力 | 150kW |
ホイールベース | 280cm |
車重 | 1750kg |