ハイブリッドパワートレインにはいろいろな種類があるのはご存じのとおり。各社はあの手この手で低燃費性能という最適解を求め、とにかく用語がたくさんあって非常にわかりづらい。少々乱暴な手段だが、最終的にクルマを動かしているホイールを駆動する手段という視点から各種を整理してみた。
【theme:ホイールを駆動するのは何か】
▶︎モーター
▷電力はどうやって確保するか
→[充電]電気自動車
→[発電機]シリーズ式ハイブリッド ❶
→[燃料電池]燃料電池自動車
▶︎エンジンとモーター
▷駆動軸は同一か
→[同]パラレル式ハイブリッド ❷
→[別]電動4WD ❸
▶︎エンジン
▷回生するか
→[する]マイクロハイブリッド ❹
→[しない]エンジン自動車
このチャートで眺めてみると、「ハイブリッド車」と呼べるのは丸数字の4種である。ここに各社のシステムを充ててみよう。
トヨタ THS ❷のパラレル式
トヨタ e-Four ❷のパラレル式+❸の電動4WD
日産 e-POWER ❶のシリーズ式
日産 1モーター2クラッチ式ハイブリッド ❷のパラレル式
ホンダ e:HEV ❷のパラレル式
ホンダ i-MMD ❷のパラレル式
ホンダ i-DCD ❷のパラレル式
マツダ M Hybrid ❹のマイクロハイブリッド
スバル e-BOXER ❷のパラレル式
三菱 プラグインハイブリッドEVシステム ❷のパラレル式
スズキ ハイブリッドシステム ❷のパラレル式
スズキ マイルドハイブリッドシステム ❹のマイクロハイブリッド
各社それぞれのシステムがまんべんなく4種のハイブリッドを使い分けているのがわかる。
さらに深く追求していくと、❷のパラレル式は二種の原動機をどのように使い分けるかという視点で「直結式」「クラッチ式」「遊星歯車式」に大別でき、直結はかつてのホンダi-MMD、遊星歯車を用いるのがトヨタのTHS、クラッチはそれ以外という状況だ。
マツダのi-Eloopは、キャパシタに蓄電した電気エネルギーはオルタネータの駆動負荷を低減するために使われ、ホイールを駆動していないので4種には含まれず。同様に日産/マツダが一部グレードに採用するe・4WDも❸の電動4WDと言えそうだが、回生をしないのでハイブリッドとは称していない。
では、プラグインハイブリッドとはどのようなシステムなのか。これは2020年現在販売されている車種および現在の要件から定義すると「比較的大容量の外部充電口を備えたバッテリーを搭載するハイブリッド車」ということになる。現在のところ、システム構成としては❷のパラレル式ハイブリッドが大半だ。
加えて、時折耳にするレンジエクステンダーという用語。モーター駆動車の電力をまかなうバッテリーに充電するためにエンジンを備えるという機械構成で、「じゃあシリーズハイブリッドと同じじゃないか」と思われるかもしれない。実際、システムとしてはほぼ同じなのだが、異なるのはそのエンジンの使い方。
1.外部充電による走行距離が75mile(120.7km)以上であること。
2.補助動力装置(APU:Auxiliary Power Unit)による走行距離が外部充電による走行距離以下であること。
3.補助動力装置はバッテリーの電力が低下するまで作動してはならない。
4.極超低公害車(SULEV)とエバポ排出ゼロ基準に適合していること。
*出典 Wikipedia
要するにガソリンタンクにおけるリザーバー容量のような使い方をされるのがレンジエクステンダーである。