ディーゼル排ガス規制が厳しくなって以降、尿素SCRを使用してNOx(窒素酸化物)を低減する例が増えた。しかし、ガソリンエンジンに同システムが搭載された例はないだろう。ドイツのエンジニアリング会社・IAVはガソリン自然吸気エンジンの方向性のひとつにリーンバーン(希薄燃焼)を掲げている。
TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo)
*本記事は2013年5月に執筆したものです
RDE(リアル・ドライビング・エミッション)は、あらゆる運転領域での排ガスに網をかけようという考え方である。NEDCよりもはるかに厳しく、安全性のためにエンジン保護が必要な領域を除いてはディフィート・ストラテジーが使えなくなる。全域での排ガス浄化が必要であり、その対応手段として近年、ガソリンNAでのリーンバーン運転が注目されるようになった。この場合、IAVは「NOxが増えてしまう分は尿素SCRで担保する」という。
また、EUではガソリン直噴エンジンから排出されるPM(微粒子状物質)について、走行1km当たりの排出個数を制限する規制の導入が決まった。直噴はポート噴射より排ガスのクオリティがいいが、PMだけは増える。直噴過給エンジンにとっては大きな課題だ。ダイムラーやBMWがリーンバーンとNOxトラップで研究を進めている背景もこうしたところにある。
IAVはNOxトラップよりも尿素SCRを推奨する。コストを度外視し、排ガスと燃費を求める場合には「リーンバーン、高流量EGR、新しい点火系、可変圧縮比などの組み合わせが有力」と言う。
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