ボルグワーナー:躍進する中国のトップNEVブランドにEV用新型800V iDMが採用

中国のトップNEVブランドに採用されたボルグワーナーの800V iDM22
ボルグワーナーは、中国の高級新エネルギー車(NEV)ブランドと契約を結び、小型800V SiC(シリコンカーバイド)インバータとヘアピン電気モーターを搭載した新しいインテグレーテッド・ドライブモジュール(iDM)を同ブランドに供給することを発表した。

800V iDM220は、SiCインバータの中核コンポーネントとなるボルグワーナー独自の小型パワーモジュール、バイパー(Viper)を搭載し、電気自動車(EV)の航続距離、走行性能、安全性を向上させる。これはボルグワーナーとして世界初の800V iDMプロジェクトであり、同社のグローバルな電動化事業の新たな章の始まりを告げるものである。

800V iDM220の主要コンポーネントは電気モーター、インバータおよびギアボックス。コンパクトな構成により、車両側との高い統合性と高効率を実現する。また、性能的には160kWから300kWまでの出力要件と、最大5300Nmまでのピークホイールトルクに対応する。800V SiCインバータ用のパワーモジュールには、ボルグワーナー製で、実績ある両面水冷式バイパーモジュール技術が採用されており、半導体サイズの縮小と効率の向上が図られている。特許取得済みで実績のあるバイパーを採用することにより、より高い信頼性と適合性が確保されている。

現在のシステムは、ISO26262規格で定義されたASIL Cを達成し、ASIL Dへのアップグレードにも完全対応している。また、ソフトウェアはサイバーセキュリティ機能を備えている。電気モーターでは、HVH 410、HVH 250に続くボルグワーナーの第3世代高電圧モーターとなる800V高電圧ヘアピン式(HVH)のHVH220は、外径220mmのコンパクト設計で、最高回転数は20,000rpm以上。拡張性のある革新的な設計により、高出力密度を持つHVH 220は、コンパクトなパッケージスペースで300Nm以上のトルクを発生することができる。

ボルグワーナーは現在、一体化されたEVドライブモジュールやそのコアコンポーネントを自社開発・生産する世界有数の企業である。800V iDM220は完全に自動化された生産ラインで製造され、組み立ての高い生産性と品質を確保。新型iDMは、2023年の生産開始を予定している。

ボルグワーナーが最近発表した電動化戦略、「チャージング・フォワード(Charging Forward)」の一環としてさらに電動化戦略を推し進めている。計画では、2035年までにカーボンニュートラルを達成するというコミットメントとともに、同社のEV関連収益を2030年までに全体の約45%に引き上げることを目標としている。

ボルグワーナー・パワードライブ・システムズ社のゼネラルマネージャー兼社長のステファン・ デメール博士は「中国大手の高級EVメーカーと長年のパートナーシップを継続できることを嬉しく思います。800V iDMの高い電力密度とシステム効率により、中国の大切なお客様をはじめ様々なOEMが求める、より優れた走行性能とより長い航続距離を持つモビリティソリューションを提供することができます」と述べた。

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