ルネサス: サーボモータの高速かつ高精度な制御を可能にする、モータ制御用MPU「RZ/T2M」を発売

サーボモータ用ハイエンドなモータ制御用MPU、RZ/T2Mを発売
ルネサスは、今般、ACサーボモータや産業ロボット向けに、ルネサスとして最もハイエンドなモータ制御用MPU(マイクロプロセッサユニット)「RZ/T2M」を発売、量産を開始した。RZ/T2Mは、高速かつ高精度なモータのリアルタイム制御と、最新の産業ネットワーク通信を1チップで実現し、機能安全にも対応する。モータ制御に必要な周辺機能を搭載したことにより、外付けの部品点数を削減することができるため、BOMコストの削減や省スペース化にも貢献する。

ルネサスのインダストリアルオートメーション事業部の事業部長・坪井俊秀氏は次のように述べた。
「工場の自動化やロボットの導入により生産性を向上することが、ますます求められています。RZ/T2Mは、ロボットを駆動するサーボモータを極めて高速かつ高精度に制御できるため、人と安全に共存できる高度なロボットの開発と普及に貢献できると期待しています」

リアルタイム制御の高性能化を実現

RZ/T2Mは、最大動作周波数800MHzのArm Cortex-R52を2個搭載した。CPU直結の専用バスにモータ制御で使われる周辺機能を配置し、CPUから低遅延でアクセスが可能である。さらに、CPUに密結合した大容量メモリ(576KB)を搭載したことにより、キャッシュメモリの使用で起こる実行時間のブレを低減し、確定的な高速応答処理を実現する。これらにより、高性能化が求められているACサーボ、インバータ、ロボットを高速かつ高精度に制御することができる。

各種産業イーサネットプロトコルや次世代ネットワークTSNに対応

RZ/T2Mは、EtherCAT、PROFINET RT、EtherNet/IPなどの主要な産業ネットワーク通信プロトコルに加え、新たにPROFINET IRT にも対応できるようになった。さらに、次世代ネットワークであるTSN(Time-Sensitive Networking)の規格に対応したイーサネットスイッチを搭載しており、複数の機器を高精度に同期させて動作させることが可能。

機能安全サポート

一般的に、産業機器を機能安全に適合させるためには、安全監視用に2つのマイコンを外付けするためBOMコストが課題となる。RZ/T2Mは、機能安全処理を考慮したハードウェア構造のため、機能安全用のマイコンを1つ外付けするだけで、モータ制御とネットワーク通信に並行して、機能安全処理を実装可能。また、2022年中にはRZ/T2M単体の自己故障診断を行う「認証済みセルフテストソフトウェア」、マイコン二重化構成に必須の相互診断や、複数のソフトウェアを分離する機能でSIL3認証を取得したソフトウェアを含む「SIL3システムソフトウェアキット」などの機能安全ソリューションの提供が予定されている。本ソフトウェアを使用するために必要となる機能安全認証を取得した統合開発環境「IAR Embedded Workbench for Arm 機能安全版」は、IARシステムズから提供される。

IARシステムズのCTO であるAnders Holmberg氏は次のように述べた。
「機能安全の認証取得が必要なアプリケーションがますます増大する一方で、多くのお客様が開発の難しさという課題に直面しています。ルネサスのRZ/T2Mのお客様は、IARシステムズの認証済み開発ツールとともにグローバル規模のテクニカルサポートを活用できるため、機能安全に対応したシステム設計と認証の取得にかかるコストや時間を大幅に削減することができるでしょう」

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