日立ソリューションズが、デバイス内部欠陥の高画質検出と300mmウェーハの一括検査を可能にした超音波映像装置を発売

超音波映像装置「FineSAT7」
日立パワーソリューションズから、半導体・電子部品内部の微細な構造や剥離・ボイドなどの欠陥*1を超音波の反射・透過特性を利用して非破壊で検出・画像化する超音波映像装置「FineSAT シリーズ」の最新機種として、従来機よりも分解能を16倍、測定周期を2倍に向上させたADボード*2の採用などによる欠陥検出画像の高画質化と、直径300mm(12インチ)ウェーハの一括検査を可能にした、超音波映像装置「FineSAT7」(以下、FineSAT7)が10月1日より発売される。

※1 接合部の剥離・ボイド(物体の中にある空気などの泡状の欠陥)やクラック(材料のひび割れ状の欠陥)等
※2 ADボード: アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を持ったボード

開発の背景

近年、半導体デバイスや電子部品、車載デバイス、パワーデバイスなどの形状の微細化が進むなか、メーカー各社ではこれまで以上に高い精度の品質検査が求められている。また、量産実用化が期待される2.5次元(2.5D)や3次元(3D)などの多層化した構造の検査対象品では、各層ごとの欠陥検査が必要となるため、作業効率、生産性向上の面から透過法を用いた一括検査のニーズが高まっている。一方で、半導体デバイスの材料となるウェーハにおいては、量産化に用いられる大きなサイズのウェーハの検査に対応した装置へのニーズも増えている。

日立パワーソリューションズは、FineSATシリーズを、半導体デバイス・電子部品内部の微細な構造や欠陥を超音波の反射・透過特性を利用して非破壊で検出・画像化する装置として国内外に累計約2,400台*3販売するなど、国内トップクラスの豊富な実績を有している。また、2019年度には、これら装置に用いている技術で、機械振興協会が主催する第54回機械振興賞における経済産業大臣賞や、発明協会が主催する令和2年度関東地方発明表彰特許庁長官賞を受賞している。

FineSAT7の特長

(1)自社開発ADボード採用で欠陥検出画像を高画質化

従来機よりも分解能を16倍、測定周期を2倍に向上させたADボードを採用したことにより、デジタル処理後の特徴抽出精度*4が向上する。また、1画素の輝度に対して周囲8カ所から取得した超音波波形を足し合わせて平均化する技術*5を用いて、電子回路の熱雑音などに起因して発生するランダムノイズを低減することで、欠陥検出画像を高画質化する。

(2)測定水槽の大型化で透過法を用いた直径300mm (12インチ)ウェーハの一括検査を実現

従来、透過法を用いた直径300mmウェーハの検査は、対象物を移動させながら半面ごとに実施する必要があったが、装置内の機器配置の見直しによって検査対象物を測定する水槽を大型化し、超音波を送受信するプローブ*6などを含む測定機器の可動域を広げたことで、全面一括での検査を可能にした。また、測定水槽の大型化により、水槽内での検査対象物の移動や超音波の反射の原因となる気泡の除去などの作業性も向上している。

※4 欠陥の有無を識別したい検査対象物から、より有用な情報を取り出す精度
※5 超音波映像装置及び反射波のノイズ除去方法(特許出願中)
※6 超音波の送信と受信を行うもので圧電素子などの振動子をケースに組み込んだもの

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