電気自動車のカットボディ、実物を詳細に取材撮影しました:モーターファン・イラストレーテッドvol.194「電動時代のボディ」

電気自動車になるとボディは変わるのか、変わらないのか(あれ、なんか聞いたことのあるフレーズ)。モーターファン・イラストレーテッド Vol.194では久しぶりのボディ特集を編むにあたり、電気自動車に焦点を当ててみました。

モーターファン・イラストレーテッド vol.194はこちらから!

Chapter 1___電動車と車体構成基礎確認:収めるものが大きく変わったら入れ物はどのように変わるべきか
 性能分析:「電気」でクルマは重たくなる その分だけボディは苦しくなる
Chapter 2___クルマの構造
 分解観察:[VW ID.4]MEBを使った少し背の高いセダン。電動「ゴルフ」は鉄で造る
 分解観察:[アウディe-tron]アルミ先駆者アウディの選択。ボディ素材は適材適所で
 分解観察:[ジャガーI-PACE]ICE車もBEVもジャガー流。すべては実戦経験から
 分解観察:[テスラモデルY]「モデル3」の経験が生きた鋼製ボディ。最小限にとどめたアルミ鋳物
 実例検証:[日産アリア]剛性バランスを磨き上げた最新世代となるBEVボディ
 実例検証:[Honda e]スモールRRレイアウトをどう実現したか?
 実例検証:[スバル クロストレック]乗員と車体をつなぐパートの剛性と振動に注目
 現状点検:日系OEMのプラットフォーム
Chapter 3___設計と製造
 電脳開発:[ Ansys ]CAEがもたらす電動車開発の促進 シミュレーション技術の動向を訊く
 創意工夫:[Honda Saitama factory]四輪車生産で世界をリードしろ!
 技術動向:[ユニプレス]ICE車とは違うBEVボディ。次世代に向けて何が必要か
 小片拾遺:テスラの「アルミ鋳物」はなぜここまで注目されるのか
Epilogue___
 直近展望:現実路線か、飛躍か、様子見か……来年のボディはどうなっているだろう

『モーターファン・イラストレーテッド』の読者諸賢だと、BIW:部品が何も装着されていない状態の自動車のボディをご覧になったことがある方も多いかもしれません。外板のパネルやフードは完成車でも普段から目にできるところなのに対して、内装材の裏側やシートの下、エンジンルームの中や、果てはパネルを外した内側の部材など、いわゆる骨格とも言えるボディの構造は各車さまざまで、「なぜここを曲げたのかな」とか「ここは重ねて作っているのか」とか「こういうふうに形を工夫しているのか」など、眺めていると時の経つのを忘れそうです。MFiの194号では、その「見ていて飽きない」ボディについて、とくに電動車の構造はこのところどのように工夫されているのかを観察する特集としました。そう、実際のクルマをバラバラにしたボディ部材をたくさん取材してきました。

電動車、もっとストレートに言えば電気自動車の構造は、車両の中央下部に巨大で重たいバッテリーパックを備えています。これを小さく軽くしたいのは山々、しかしそうするとクルマとして長く走れない、いざというときに出力を発揮できない。重さと、パフォーマンスと、コスト。クルマの性格や商品性と考えあわせながら、ちょうどいいバランスをとって、電気自動車のバッテリーはクルマに積まれています。それだけの重量物をぶら下げるとなると、ボディのあり方にも変化が必要。とくに、衝突時にバッテリーセルが損壊すると消化しにくい火災が生じてしまうことから、これはなんとしてでも避けたい。もちろん、高くて大事なバッテリーを壊さない、という視点が含まれているのもご想像のとおりです。Chapter 1では「電動車と車体構成」をテーマに、電動時代のボディのあり方をまず考察してみました。

Chapter 2が本特集の目玉コンテンツです。三洋貿易/ケアソフトのご協力で、最新電気自動車の分解部品をつぶさに観察撮影することができました。フォルクスワーゲンのID.4、アウディe-tron、ジャガーI-PACE、テスラ・モデルYをまずは紹介。量産を得意とするVWはいかに電気自動車を仕立てたのか:ID.4、アルミとスチールのハイブリッド構造を得意としているアウディは重量級のBEVをどう扱ったのか:e-tron、オールアルミボディをアイコンとするジャガーの電気自動車のユニークな構造:I-PACE、板金複数構造を一括アルミ鋳造で置き換えるという大胆策:モデルYと、それぞれ見所満載です。このほか国産車の事例として、日産アリアとHonda eのボディについて取材しました。この2台、ボディ設計者のエンジニアサロンであるユーロカーボディにおいて、それぞれ2022年量販車/2020年量販車部門で首位を獲得しているそう。電気自動車でも存在感を大きく発揮している国産勢、頼もしい限りです!

続くChapter 3では、これらボディを仕立てるプロセスに着目したコンテンツとしています。シミュレーション技術とはよく耳にするものの、では電動時代のボディ構造となると設計にはどのような留意点が求められるのか、シミュレーションではそれらをどのように効率的に解決し、最大効率を得る設計としているのか。アンシスにシミュレーションをテーマに取材しました。実際の設計現場としては、ホンダ・シビックTYPE Rの生産ラインを紹介しています。ノーマルシビックを含めた混流ラインにおいて、ボディが著しく拡幅したTYPE Rをどのようにうまく含めるか。最小限のエクストラで収めた寄居工場の工夫をお伝えします。そしてボディ部材。重く大きくなる傾向の電気自動車をできるだけ軽く強くしたい。その手段のひとつが高強度材による薄く軽いボディ部材ですが、強度が高くなると加工が難しくなる。難しくなる=時間がかかるあるいはお金がかかるということで、これはできるだけ回避したい。ユニプレスに「強くて軽いのに冷間でプレス」「衝突時に『ここだけつぶれる』複合材」という、世界でも最高峰のスチールテクノロジーについてお話をうかがいました。

【誤記と訂正のお知らせとお詫び】
Vol.194-P075に掲載の南氏のお名前と肩書に誤記がございました。

(誤)南 克也 電熱技術部門委員会 幹事
(正)南 克哉 伝熱技術部門委員会 幹事

読者ならびに関係者の皆様にはご迷惑をおかけしますこと、お詫び申し上げます。

MFiではこれまでもボディ特集を多々組んできましたが、今回の号は相当に見応えのある写真と図版で占めています。特別付録もありまして、こちらはアルミの雄・UACJの「アルミニウムのテクノロジー」! ボディ三昧の194号、ぜひお手にとってご覧ください!

図解特集 電動時代のボディ

Chapter 1___電動車と車体構成基礎確認:収めるものが大きく変わったら入れ物はどのように変わるべきか
 性能分析:「電気」でクルマは重たくなる その分だけボディは苦しくなる
Chapter 2___クルマの構造
 分解観察:[VW ID.4]MEBを使った少し背の高いセダン。電動「ゴルフ」は鉄で造る
 分解観察:[アウディe-tron]アルミ先駆者アウディの選択。ボディ素材は適材適所で
 分解観察:[ジャガーI-PACE]ICE車もBEVもジャガー流。すべては実戦経験から
 分解観察:[テスラモデルY]「モデル3」の経験が生きた鋼製ボディ。最小限にとどめたアルミ鋳物
 実例検証:[日産アリア]剛性バランスを磨き上げた最新世代となるBEVボディ
 実例検証:[Honda e]スモールRRレイアウトをどう実現したか?
 実例検証:[スバル クロストレック]乗員と車体をつなぐパートの剛性と振動に注目
 現状点検:日系OEMのプラットフォーム
Chapter 3___設計と製造
 電脳開発:[ Ansys ]CAEがもたらす電動車開発の促進 シミュレーション技術の動向を訊く
 創意工夫:[Honda Saitama factory]四輪車生産で世界をリードしろ!
 技術動向:[ユニプレス]ICE車とは違うBEVボディ。次世代に向けて何が必要か
 小片拾遺:テスラの「アルミ鋳物」はなぜここまで注目されるのか
Epilogue___
 直近展望:現実路線か、飛躍か、様子見か……来年のボディはどうなっているだろう

モーターファン・イラストレーテッド
Vol.194 電動時代のボディ
2022年11月15日発売
定価1760円(本体価格1600円)
ISBN:9784779647123

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Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部