北米ホンダ、カリフォルニア州でゼロエミッション型燃料電池を利用した定置型発電所を運転開始

北米ホンダは、カリフォルニア州トーランスにある本社キャンパスで、燃料電池の定置用発電所の運転を開始したことを発表した。実証機となる定置用燃料電池は、これまでリースされていたホンダクラリティ燃料電池車の燃料電池システムを再利用した約500kWの容量モデルであり、燃料電池4個をパッケージ化、250kWごとに出力を上げられる設計になっている。

バックアップ電源としての水素燃料電池のメリット 

データセンターでは、高品質で信頼性の高い電力が必要であり、電力供給の中断はダウンタイムやデータの破損、サーバーの損傷などの問題を引き起こす要因となってしまう。 一般的な定置型バックアップ発電機はディーゼル燃料を使用しており、二酸化炭素排出量や地域の大気汚染物質が多く含まれている。水素燃料電池を利用したバックアップ電源システムは二酸化炭素排出量を抑えながら、クリーンで信頼性の高い高品質な発電のための有望な未来を提供する。特に、再生可能な資源から作られたいわゆる「グリーン水素1」で動作する場合、水蒸気だけを排出する。設置環境に合わせて燃料電池ユニットのレイアウトを変更でき、立方体、L字型、Z字型などのパッケージングに対応できる柔軟性を備えている。また、2024年に発売されるホンダCR-Vをベースとした新型燃料電池電気自動車(FCEV)にも搭載される予定だとされている。

水素は高いエネルギー密度で貯蔵・輸送が可能であり、短時間で水素を補給することができる。再生可能エネルギーから始まる「水素循環サイクル」は、”生成”、”貯蔵・輸送”、”使用 “の3つのフェーズで構成される。水の電気分解技術をはじめ、再生可能エネルギー由来の電気をグリーン水素に変換することで、季節や天候に影響を受ける発電量の変動を最小限に抑えることができる。また、陸上・海上・パイプラインによる輸送で、エネルギーを「グリーン水素」として必要な場所に運ぶことが可能となる。

ホンダ燃料電池車「クラリティ」の燃料電池システムを再利用する

北米ホンダは、カーボンニュートラル、クリーンエネルギー、資源循環の3つの重点領域からなる「トリプルゼロ」の考え方に基づき、2050年までに環境負荷ゼロを目指す循環・資源循環型社会の実現を目指しているす。

資源循環を実現するために、北米ホンダは、定置用燃料電池実証機「ホンダクラリティ・フューエルセル」の燃料電池システムを含むホンダ製品の素材の耐用年数を最大化するクローズドループ型の循環型経済の構築を目指している。北米ホンダは、製品の材料が耐用年数を迎えた際に回収するシステムを開発することで、再使用、改修、再利用、新しい製品への再資源化を実現し、ホンダの循環型経済を促進させている。

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部