パナソニックインダストリー、高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」を開発

パナソニック インダストリーは、高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」を開発したことを発表した。新製品は、従来品で実現が難しかった多層基板への適用が可能で、これにより自動車の電源部・駆動部の軽量化・小型化に寄与することで電力消費量を軽減し、CO₂排出量の削減に貢献する。

開発の背景

近年、環境問題への関心の高まりから電動自動車(xEV)の普及が進んでいる。電動自動車のエネルギー効率向上のために、電池・電源部・駆動部のさらなる高出力化が進むことでSiCやGaNといったパワー半導体ニーズが高まり、機器の熱マネジメントが大きな課題となっている。また、電動自動車の航続距離の向上、車室空間の拡張による快適性向上のため、電源部や駆動部の軽量化・小型化が求められている。

そこで、パナソニックインダストリーは業界初2.7 W/m・Kの高い熱伝導性と、基板の多層化を可能とする優れた樹脂流れ性を両立した、高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」を開発した。

新製品はパワー半導体の発熱影響を緩和するとともに、従来の高熱伝導材料では困難であった多層基板への適用が可能で、今後は部品内蔵や厚銅箔の対応も期待されている。これにより電源部・駆動部の軽量化・小型化に寄与することで電動自動車の電力消費量(電費)を抑制し、CO2排出量の削減に貢献する。

新製品の特長

1. 多層基板用フィルムとして業界初の熱伝導率2.7 W/m・Kを実現し熱対策部品点数の削減に貢献

無機フィラー設計のノウハウを活用した高熱伝導化技術により、電子回路基板全体の放熱性を向上させ、パワー半導体の発熱緩和に寄与している。これにより、放熱フィンや冷却ファン等の熱対策部品点数の削減も可能なため、機器の小型化に貢献する。

図1:熱伝導率の比較

2. 優れた樹脂流れ性により電子回路基板を多層化でき機器の小型化に貢献

無機フィラーと絶縁樹脂を最適なバランスで配合設計を行い優れた樹脂流れ性を実現し、従来は回路充填性や絶縁信頼性の面で困難とされていた高熱伝導材料の多層基板への適用が可能とされた。今後は部品内蔵や厚銅回路への応用展開により機器のさらなる小型化にも貢献が可能となる。また、一般的な電子回路基板の加工設備での加工が可能なことから、工程負荷の低減が期待できるとともに、プリプレグの組み合わせによる一括成型も可能とされる。

図2:R-2400の優位性:多層化による基板の小型化(断面図)
図3:その他の応用案(断面図)

3. UL定格温度150℃認定取得、高温環境での使用が可能

パナソニックインダストリー独自の樹脂設計・配合技術により材料の高耐熱化を実現。パワー半導体の発熱に耐え、車載等、高温環境下での使用が可能。なお、パナソニックインダストリー製のハロゲンフリーガラスエポキシ多層基板材料R-3566D(UL定格温度150℃取得)との併用が可能である。

用途例・特性表

熱対策が求められる基幹電源部品(車載用充電器、鉄道用電源、太陽光発電用パワーコンディショナー、インバーター、昇圧コンバーター等)用多層基板、部品内蔵基板

品番 R-2400
ラインアップ 100 μm・150 μm

量産時期・サンプル対応次期

量産対応可能・サンプル対応可能

展示会出展情報

2023年5月24日~26日 人とくるまのテクノロジー展 2023@パシフィコ横浜
※オンライン出展:2023年5月17日(水)~6月7日(水)

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