BMWグループ、新型車のヘッドライト・外装照明のためのテスト施設「ライト・チャンネル・ネクスト」の稼働を開始

BMWグループが新型車のヘッドライトや外装ライト類を試験用施設「Light Channel Next(ライト・チャンネル・ネクスト)」の約3年にわたる建設が完了、稼働を開始を発表した。

テストゾーン建設の背景

このテストゾーンは、デザイナーや開発者が、実際のモデルを使ってさまざまなシナリオを精密にシミュレーションすることで、車両ライトのすべてのコンポーネントの分析・最適化を実現し、この種の施設としては世界最大かつ最も近代的なものである。様々な種類のライト類の試験でだけでなく、昼夜を問わない周囲の証明条件もリアルに再現することができる。

近年、新しいライトシステムの開発は、コンピューターによる支援ミュレーションが基礎となっている。しかし、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などを用いたコンピューターを介した映像技術が大きく進歩しているにもかかわらず、BMWは実車での視界が不可欠であることを改めて提唱し、実車での試験を念入りに行なっている。

BMWの新型車のライト点検を行うテスト会場「ライト・チャンネル・ネクスト」のテストゾーンは、約3年の建設期間を経て、全長132m、幅22mの約3,000平方メートルものエリアが確保されている。この施設には、開発者とデザイナーがライトテスト用のプロトタイプを準備するためのワークショップも含まれている。

多用な路面状況を忠実に再現

新しいライトチャンネルゾーンの特長のひとつが、そのグラウンドコンディションだ。新開発された光技術や光のデザインを分析するために、4つの異なる路面が用意されている。中央のエリアはアスファルトの表面で、特殊な表面研磨加工を施して人工的に使い古されたようなコンディションに仕上げられている。その反射特性は道路と同じレベルに設定され、静的または可変ロービームヘッドライトの配光の色と均質性を評価することができる。

さらに、歩道や一般的な地下駐車場のフロアコーティングも、BMW特有のライトカーペットの分析に使用することができる。さらに開発者は、見本市での車両プレゼンテーションに使用されるような、オイル仕上げの寄木細工の床も用意しているという。

精工なテストのための内装条件

壁や天井からの不要な反射を避けるため、テストゾーン全体は光を吸収する特別なマットブラックで塗装されている。また、壁際にはライトトラップが取り付けられており、床を除いた部屋はすべての光を吸収するようになっている。このように、新しいライトチャンネルには、幅18m、高さ3mのランバート放射特性を持つテストウォールが設置されている。この壁は必要に応じて低くすることができ、ロービームヘッドライトの明暗境界のカラーフリンジを測定したり、ヘッドライトの傾きを正確に調整するために使用される。ライトチャンネルの設備には、不要な迷光を判断するための約80平方mのライトセイルも含まれている。

ターンインジケーターやデイタイムドライビングライトなど、日中も活動するシグナルランプの評価には、幅10m、高さmのデイライトウォールが大きく明るい背景を再現する。輝度だけでなく、色温度も変化させることによって、真昼の光の状態を夕方と同じように再現することができる。テスト車両を再現性よく配置するために、モデルはセンタリングスタンドによって長手方向に全自動で位置合わせされている。これにより、精度が向上するだけでなく、複雑な操作に費やしていた貴重な時間を節約することにも繋がる。

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