【海外技術情報】BMW:CES2023で世界初公開された『i Vison Dee』が搭載したヘッドアップディスプレイは次世代EV『Neue Klasse』に採用される

CES2023に出展したBMWは、次世代EV『Neue Klasse(ノイエ・クラッセ;新たなクラス)』を示唆するコンセプトカー『i Vison Dee』を世界初公開した。同車を構成する重要な要素として発表された新世代ヘッドアップディスプレイは、早ければ2025年に市販車=『Neue Klasse』に搭載される予定であるという。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

CES2023でBMWは『i Vision Dee』を世界初公開

BMWは昨年11月に『Neue Klasse』を示唆するコンセプトモデルをCES2023で公開する、と発表していた。そして今回世界初公開されたのが『i Vision Dee』である。同車については『GENROQ』で詳述されるだろうから、ここでは簡潔に紹介しておく。『i Vision Dee』は新たなデザイン言語を備えた中型セダン。車名の『Dee』は、Digital Emotional Experienceの頭文字であり、「デジタルが人と車との間に強い絆を築く」がコンセプトとされた。

BMW取締役会長であるオリバー・ツィプセ氏は以下のように発表している。

「今回発表した『i Vision Dee』は、ハードウェアとソフトウェアの融合により何が可能になるか、を明確に示しています。デジタル化の可能性を最大限に活用して、自動車をインテリジェントな仲間に変えることができるのです。それが自動車メーカーの未来であり、BMWの未来です。仮想体験と本物のドライビングプレジャーの融合です。同時に『i Vision Dee』は『Neue Klasse』への道のりへの1つのステップです。このビジョンにより、私達は将来を見据え、次世代製品にとってデジタル化が非常に重要であることを強調しています」

仮想世界まで5ステップで調節できる高度なヘッドアップディスプレイ

『i Vision Dee』のデジタルでのハイライトが『BMW Mixed Reality Slider』である。高度なヘッドアップディスプレイと組み合わされることで、操作を集中的に制御する。ドライバーはインストゥルメント・パネルのシャイテックセンサーを使用して、ヘッドアップディスプレイに表示するデジタルコンテンツの量を決めることができる。アナログから運転関連情報、通信システムのコンテンツ、拡張現実の投影、仮想世界への入り口まで、5ステップから選択できる。それに並行して、調光可能な窓を使用して、現実を徐々にフェードアウトさせることも可能である。『i Vision Dee』は追加のツールを必要とすることなく様々な感覚を刺激する「没入型」の方法でMixed Realityを体験でき、ドライバーに新たな次元の運転の喜びをもたらすという。

BMWはヘッドアップ ディスプレイの先駆者として知られており、過去20年間にわたってこの技術を体系的に改良してきた。『i Vision Dee』ではフロントガラスの幅全体に情報を投影することで、可能な限り大きな面に情報を表示できる。『i Vision Dee』はディスプレイと操作コンセプトを示しており、それは将来における高度なヘッドアップディスプレイの利用を視覚化している。このフロントガラス全幅に広がるヘッドアップディスプレイの生産版は2025年以降に市販予定の次世代EV『Neue Klasse』に搭載される。

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著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…