ボルボの大型トラック「FH」シリーズの2026年モデル

ボルボFHは、2014年に日本導入が開始された2世代目モデルで、欧州車らしいモダンなスタイリングと先進機能を含む高い安全性能、快適な運転及び居住性能を誇る。

大型トラックに分類され、トレーラーを牽引するトラクターと荷台を架装するロングフレーム付きリジッドの2種類を中心に展開している。その搭載されるエンジンは、なんと13.0Lの直列6気筒ディーゼルターボエンジンで、12段変速電子制御オートマチック「iシフト」を組み合わせる。
FH2026年モデルの改良点だが、最大の特徴は、日本の大型トラック初となる「カメラモニターシステム」の全車標準搭載だ。これは従来の鏡面サイドミラーに代わり、カメラ映像を車内のディスプレイに表示するもの。つまり、乗用車でも採用されるようになっているデジタルドアミラーのトラック版である。

さらにシリーズ初のリモコンキー及びスタートボタンシステム「パッシブスタート」やテレマティクスサービス「ボルボ・コネクト」を搭載。このほかにも、左折巻き込みリスクを感知した際の緊急制動機能を追加した「速報衝突警報装置」やエンジン始動時もドアと連動して機能する「オートマチックパーキングブレーキ」などの機能向上も図られている。
また現代的なニーズに応えたと感じらせるのが、インフォテイメントシステムが、android AutoとApple Car Playに対応したことも挙げられる。

牽引するトレーラーの軌跡までわかる「カメラモニターシステム」
今回のボルボFH試乗会では、トラックの基本性能は同等なため、「カメラモニターシステム」の体験が主となった。

2026モデルの外観上の最大の違いは、お馴染みの巨大なサイドミラーが省かれ、小さな羽のようなカメラシステムが備わるようになったこと。ミラーよりも装着位置が高い上、小型化。さらに停車中や時速15㎞以下で、電動で折り畳むこともでき、接触による破損も防止できる。

左右に備わるカメラ映像は、同じ側にあるAピラー部に設置されたモニターに表示。運転席側となる右側に縦長12インチを。助手席側となる左側には、縦長15インチを装備している。かなり大きな画面だが、運転席に着座してみると、前方の視界の邪魔にならないモニターサイズなだけでなく、サイドミラーが無くなったことで周辺視界も良くなっていることを実感。さらにミラーよりも視線移動が少なく、視認性に優れることも分かった。


早速、ドライビングポジションを調整し、試乗を開始する。ステアリングの角度調整の幅が大きいこともあり、意外と乗用車に近い感覚の運転姿勢が取れるので違和感はない。それでも、大きなガラスエリアと着座位置の高さによる視界の違いは、乗用車では味わえないトラック特有のものだ。

試乗車にはトレーラーが連結されており、運転席からトレーラー後方までの距離は10m程ある。アルファードが約5mなので、走行中はミニバン2台分先の動きに注意する必要があるのだから大変だ。

シフトモードは至ってシンプル。「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「A(オートモード)」、「N(マニュアルモード)」の4段階のみ。早速、Aモードにシフトし、パーキングブレーキを解除で発進可能に。

アクセルを踏み込むと、スムーズに加速を開始。13.0Lディーゼルターボエンジンのフル加速は、高出力の乗用車のような刺激はないものの、迫力に溢れる。そして、素早く70㎞/hに到達する。

普段、乗用車にしか乗らない筆者にとって、走行中のデジタルミラーは視線移動が少なく、サイドミラーよりも見やすいと感じた。特にコーナーでは、しっかりとトレーラーの後端や走行ラインを追うことができ、全く車線をはみ出すことなく、走ることができた。

新ミラーには、デジタル化を活かした複数の機能を実装。モニターへの表示は、通常ビューと広角ビューの切り替えが可能。後退時など周囲の障害物の有無も掴みやすくなっている。さらに画面内に基準線を設定できるので、トレーラー後端や車両後方の位置を直感的に掴むことも。
さらに後退時には、トレーラーの後端追従表示してくれるので、トレーラーの向きが変わっても最後端をデジタルミラーだけでも確認できるように。従来のドアミラーでは、ドライバーのミラーの調整か、目視確認が必要だったことを考えると、かなり利便性が高まったといえる。
「暗視モード」も備えるなど夜間仮眠時などの防犯にも有効

カメラ性能が高いので街灯などがある場所では夜間の映像も確認できるが、暗い場所でも視界が確保できるように、赤外線ライトを内蔵した「暗視モード」も装備。

走行中はもちろんだが、長距離トラックに必須となる車内の仮眠中でも、物音などで車外を確認したい時に、カメラを活用できる。この機能は、海外でも増えている女性ドライバーに好評とのことだ。

ボルボトラックでは、FHに全車標準化を決断した理由について、「欧州市場では5年ほどの実績があり、アップデートも進んでいるため、故障のリスクも非常に少なくなっている。さらに物理的破損があった場合も、国内に修理部品を在庫しており、サイドミラーを破損した状況と同様な時間で修理が可能」という。快適面のメリットとして、カメラ化による空気抵抗の低減による風切り音の軽減などの効果もあるとしている。
乗用車のデジタルミラーに関しては、車室内のスペースや前方視界の確保の関係などから、車内モニターの搭載位置に課題があり、普及していない現状だ。しかし、大型トラックに関してはメリットが大きいことを感じた。また夜間に車内で就寝することもあるため、監視カメラ代わりに使えるのは心強いだろう。今後の普及と市場の反応に、注目していきたい。















