大型サンルーフが標準装備の「XC40 Ultra B4 AWD Selection」登場
ボルボXC40は、日本におけるボルボ全販売台数の約30%を占める看板モデルだ。デビューは2018年のことで、欧州カー・オブ・ザ・イヤーと日本カー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞。以来、プレミアム・コンパクトSUVの定番としてその歴史を積み上げてきた。初代デビューから8年が経過した今も、なぜXC40はこれほど支持されるのか。久しぶりにXC40に試乗してみると、その答えがよくわかった。
2026年5月、ボルボ・カー・ジャパンは国内のXC40ラインアップに「XC40 Ultra B4 AWD Selection」(以下、Selection)を追加した。今回の試乗車はこの特別仕様車で、価格は649万円。従来はオプション扱いだったチルティング・パノラミック・グラスサンルーフを標準装備とした点がトピックだ。
さらにハーマン・カードン・プレミアムサウンドシステム(600W・13スピーカー+サブウーファー)、レザーシート、オレフォス社製クリスタル・シフトノブ、19インチアルミホイール、前後席シートヒーター、ステアリングホイールヒーター、パワーテールゲートと、充実した装備を擁している。



8年間、弛まず実施されてきた改良の軌跡
XC40のモデル史を振り返ると、ボルボがどこに手を入れ続けてきたかがよくわかる。BEVを除き、エンジン搭載モデルに絞って、その軌跡を見てみよう。

MY18(2018年) 2.0Lガソリンターボエンジンでデビュー。
MY20後期〜MY21 MY20後期にPHEV「XC40 Recharge Plug-in Hybrid」を追加し、電動化へ踏み出した。MY21にはガソリンモデルにもマイルドハイブリッド(B4/B5)を投入。48V ISGMとミラーサイクル・VNT(バリアブルノズルタービン)ターボの組み合わせにより、MY19比+26.5%の燃費改善を達成した。
MY22 マイルドハイブリッドエンジンの仕様変更を実施し、パワートレインの熟成を進めた。
MY23 モデル史上最大の転換点。フロントデザインを小変更しながら、ADASセンサーをゼヌイティと共同開発した新プラットフォームへ刷新。同時にGoogleインフォテインメントを導入し、コネクティビティと安全性が一気に最新水準へ跳ね上がった。
MY26(現行) 新UXとSnapdragon Cockpit Platformを採用。操作レスポンスを大きく改善した。
XC40は基本を継続しながらも、「パワートレイン」「先進運転支援システム」「インフォテインメント」の三領域を重点的に更新し続けてきた。それが8年選手を現役に保ち続けている要因だ。
見た目に古さを感じさせない秀逸なデザイン
ボディサイズは全長4440mm×全幅1875mm×全高1655mm、ホイールベース2700mm。「サイズ感がすごくいい」というのが第一印象で、やや幅広ではあるが、扱いやすさと存在感を両立する絶妙なボリューム感だ。
XC40はボルボのCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)プラットフォームを採用している。2015年に開発されたこのアーキテクチャーは、EVやPHEVへの対応も念頭に設計されており、スケーラビリティの高さが特徴だ。そのCMAを基盤にしながら、ボルボのラインナップでは最もコンパクトなポジションに位置するXC40だが、「まったく安っぽさを感じさせない」と言い切れる仕上がりになっている。デザインの鮮度も十分に保たれており、8年前のクルマとは到底思えない。

ガソリンターボ+Mハイブリッド+7速DCTのスムーズな走り
「B4 AWD」グレードは排気量1968ccの直列4気筒ターボ(最高出力145kW/197PS、最大トルク300Nm)に、48VのISGM(8.5kW/29Nm)を組み合わせたマイルドハイブリッドだ。トランスミッションは7速DCT、駆動方式はAWD。1750kgの車両重量に対して、WLTCモード燃費は14.2km/Lを実現している。
走り出した瞬間、真っ先に気づくのは静粛性の高さだ。エンジン音も風切り音もしっかり遮断されている。マイルドハイブリッドゆえにモーターの存在感は控えめで、あくまでエンジンが主役という印象が強い。ターボエンジンの回り方が気持ち良く、7速DCTの変速も滑らかだ。
アクセルをやや踏み増して加速を試みると、レスポンスの良さが際立つ。VNTターボとISGMの協調制御が効いているのか、低回転域からターボラグを埋めるようにモーターがサポートしてくれる。回生協調ブレーキのフィーリングにも違和感はなく、メーター右側に小さく表示されるバッテリー充電残量インジケーターが、ブレーキを踏むたびに回生充電の様子を示してくれるのがユニーク。


路面の舗装継ぎ目が続く区間でも、XC40はしなやかにいなしてくれる。デビュー当初に試乗した際はもう少し硬さを感じた印象があったが、しっかりと熟成が進んだのだろう。足まわりに嫌な硬さはなく、しかしボディはしっかりしている──この相反しそうな要素を両立するのが最新XC40の乗り味だ。フロントはストラット、リヤはマルチリンクの組み合わせで、最低地上高は210mmを確保しつつ、SUVとしての実用性と乗り心地の良さが高い次元でまとまっている。


MY23以降のXC40は、ADASセンサーのアーキテクチャーが刷新されている。フロントカメラ(ウィンドシールド上部)とミリ波レーダー(グリル内)を独立配置し、従来の一体型RaCamユニットに代わる新プラットフォームを採用。ゼヌイティとの共同開発によって処理能力を大幅に向上させた。
使い勝手も優秀だ。ボタンひとつでACCが起動した後は前走車に滑らかに追従し、加減速もシームレスだ。横からクルマが割り込んできた場面でも減速に唐突さはなく、怖さを感じさせない。乗ってみて初めてわかる安心感がXC40には備わっている。
レスポンスが良いから扱いやすいGoogleインフォテインメント
XC40のインフォテインメントはGoogleを採用し、クアルコムのSnapdragonコックピットプラットフォームがその土台を支えている。旧世代比で処理速度2倍・グラフィックス性能10倍を達成しており、Googleアシスタントによる音声操作の応答の速さや地図のスムーズなスクロールは、まさにその恩恵だ。「エアコンの温度を下げたり、近くのラーメン屋を探したり」といった日常操作を自然な会話でこなしてくれる。
センターディスプレイは9インチで、現代の基準からするとやや小さめという印象を与えることは否めない。しかし画面自体は高精細で表示がくっきりとしており、解像度の高さがサイズの小ささを補ってくれている。UIは新世代のもので、EX30やXC90と共通の使いやすいレイアウトだ。

試乗中に「面白い話を何かして」と話しかけたところ、「飛行機に乗っている人の中で、一番おしゃれな人は誰ですか?」という問いかけが返ってきた。答えは「副操縦士(服装重視)」。なかなかやるな、という印象だ。長距離ドライブの退屈な時間にも付き合ってくれそうだ。
Googleマップのナビゲーションは、Apple CarPlayで使う場合と比べて応答が速く、ピンチやズームイン・アウトにも対応しているので操作しやすい。車載システムのほうが優れていると感じる場面は多かった。ちなみに、他社でもGoogleを採用するモデルが増えているが、無料利用期間が1年というケースも多い。ボルボは5年間無料というのも、地味ながらうれしいポイントだ。
居心地の良さと実用性を両立した室内はボルボの真骨頂
「スカンジナビアンデザイン」を体現したかのようなインテリアもXC40の大きな魅力だ。居心地が良いだけでなく、実用性にも富んでいる。


フロントドアは一般的な大型スピーカーを廃し、ダッシュボード奥に低音用スピーカーを配置する「エア・サブウーファー・テクノロジー」を採用。これによりフロントドアにはノートPCも収まる大型のポケットを確保している。グローブボックスにはバッグ用フック、アームレスト下にはティッシュボックスが収まる容量のストレージを備え、さらにその前方には取り外し可能な専用ダストボックスを設置。後席の座面付近にも小さなトレーを設けるなど、収納力は申し分ない。
ラゲッジルームは5名乗車時で460L、後席を倒すと最大1336Lまで拡大する。フロアボードは立てると荷物のディバイダーとして機能し、上部の突起は買い物袋のフックになる。細部まで考え抜かれた設計だ。
しっかりとした基本と継続的なアップデート。売れ続けているのも納得
XC40は2018年のデビューから8年が経過した。その間、パワートレインのマイルドハイブリッド化、ADASセンサーの刷新、SnapdragonプラットフォームとGoogleインフォテインメントの導入など、継続的なアップデートを重ねてきた。
その積み重ねの結果が、この試乗での印象に表れている。走りの質感──静粛性、しなやかな乗り心地、スムーズな加速は、いずれも古さを感じさせない。プレミアムCセグメントSUV市場でのシェアを着実に守り続けるXC40の実力を、今回は改めて確認することができた。
現行型のXC40は、ファイナルモデルという位置付けだそうだ。完熟のプレミアム・コンパクトSUVを手に入れるなら、今がチャンスである。

| グレード | ボルボ XC40 Ultra B4 AWD Selection |
| 全長 | 4440mm |
| 全幅 | 1875mm |
| 全高 | 1655mm |
| ホイールベース | 2700mm |
| 最低地上高 | 210mm |
| 車両重量 | 1750kg |
| パワーユニット | 2.0L直列4気筒DOHCターボ+モーター(マイルドハイブリッド) |
| エンジン最高出力 | 145kW(197PS)/4750-5250rpm |
| エンジン最大トルク | 300Nm/1500-4500rpm |
| モーター最高出力 | 8.5kW/3000-8000rpm |
| モーター最大トルク | 29Nm/2250rpm |
| バッテリー | 48Vリチウムイオン電池 |
| トランスミッション | 7速DCT |
| 駆動方式 | AWD |
| 燃費(WLTCモード) | 14.2km/L |
| サスペンション | 前:ストラット式 後:マルチリンク式 |
| タイヤサイズ | 235/50R19 |
| 価格 | 649万円 |









