9年ぶりのフルモデルチェンジで第3世代へ! 注目の走り、乗り心地、新世代HMIを徹底検証

新型マツダCX-5の販売が始まった。初代、あるいは2代目CX-5から3代目となる新型への買い換えを検討しているユーザーにとっては、気になる点が多々あることだろう。ひとつはエンジンのラインアップに違いない。

新型CX-5のグレードは3つ。写真は中間にして最も売れ筋となるであろう「G」グレード。後ろにちらっと見えるのは懐かしの初代CX-5。

2代目CX-5の終盤は2.0Lと2.5Lのガソリンエンジン(いずれも自然吸気)と、2.2Lディーゼルエンジンの3タイプの設定があった。いずれも直列4気筒で、トランスミッションは6速ATを組み合わせる。パワートレーンは横置きだ。

新型CX-5のエンジンは現在のところ2.5L直4自然吸気のみである。2027年中に火花点火制御圧縮着火によって燃焼効率を高めたSKYACTIV-Xの進化版、SKYACTIV-Zを組み合わせたストロングハイブリッドがラインアップに加わることになっているが、現時点ではガソリン2.5L直4自然吸気エンジンと6速ATの組み合わせのみだ。

デザインコンセプトは、「Wearable Gear(ウェアラブル ギア)」。スポーティなスタイリングと快適で使いやすいパッケージの両立を目指した。

ディーゼルに乗っている人からすると、「どうしてくれるんだよ」と不満のひとつでも言いたくなるだろう。新型にはトルクフルで燃費のいいディーゼルエンジンの設定はないのだ。果たして自然吸気のガソリンエンジンで満足できるだろうか……。ちなみに2代目CX-5が搭載するSKYACTIV-D 2.2のWLTCモード燃費は2WD(FF)で17.4km/L、4WDで16.6km/Lだった。

新型CX-5のSKYACTIV-G 2.5は基本諸元を2代目CX-5のユニットから受け継いでいるが、諸元表を見ると型式はPY-RPS型からPY-VPH型に変わっているのがわかる。EGR(排気再循環)を強化したこと。駆動系抵抗やタイヤ転がり抵抗、空気抵抗の低減を図ったこと。さらに、Mハイブリッドによる減速回生機能を付加したことにより(なので、「e-」が頭について、e-SKYACTIV G 2.5となる)、基本的には同じエンジンを積みながら2代目CX-5比で燃費を約10%改善している。

新型CX-5が搭載するエンジンは、当面このe-SKYACTIV G 2.5のみとなる。
カバーを外すとご覧のとおり。
スターター、オルタネーター、モーターの3つの役割をISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)。

2代目CX-5 SKYACTIV-G 2.5搭載車のWLTCモード燃費は2WDが13.8km/L、4WDは13.0km/Lだった。e-SKYACTIV G 2.5を搭載する新型CX-5のWLTCモード燃費は2WDが15.2km/L、4WDは14.2km/Lだ。SKYACTIV-D 2.2には及ばないが、だいぶ差を詰めている。ちなみに、6速ATのギヤ比と最終減速比に新旧で変更はない。

e-SKYACTIV G 2.5の最高出力は131kW/6000-6200rpm、最大トルクは237Nm/3800-4000rpmだ。SKYACTIV-D 2.2はそれぞれ147kW/4000rpm、450Nm/2000rpmを発生する。ディーゼルは低回転から太いトルクを発生するのが特徴だ。

こちらは最上級の「L」グレード。クラッディングパネルやガーニッシュ類が素地からピアノブラックにグレードアップされる。

ディーゼルの力強さが体に染みついた人は物足りなさを感じるかもしれないが、いったんその感覚をリセットし、ニュートラルな感覚で新型CX-5に乗ってみると、少なくともストレスは感じないはずである。「こんなにアクセルを踏み込んでいるのに、この程度の加速かよ」とグチりたくなることはないはずだ、と筆者は感じている。心配はしていたのだが、「意外に走るじゃん」(失礼を承知)というのが率直な感想。しかも、発進から巡航スピードに達するまで、スムーズで静かだ。

クラッチのロックアップやギヤの切り替えにともなうショックは一切感じず、シームレスに加速していく。2.5Lでは大排気量とは言い切れないけれども、大排気量エンジンに特有の、アクセルを踏み込んだら間髪入れず背中をグッと押す加速度の変化を返してくれる。だから、走りが気持ちいい。

トランスミッションは先代同様、全車6速ATとなる。

「走りはいいが、乗り心地が……」を払拭する新発想のサスペンション

乗り心地も気になる点だろう。この点、CX-60の評判で懲りた(?)らしく、相当に気を使って仕立てている(ように感じられる)。技術者のひとりはこう言った。「どれだけ楽しくても、どこかに不安があると受け入れてもらえません」と。例えば、走りはいいんだけど、乗り心地が硬く感じるシーンがあるとか……。

CX-5はそうならないようにした(んだと、筆者は感じ取った)。乗り心地やハンドリング性能を仕立てるにあたり、注目したのはダンパーだった。従来はワインディングや高速道路を走行するシーンを重視していたが、新型CX-5は「デイリーコンフォート」をコンセプトに注力するシーンを拡大。ショッピングモールの駐車場を移動する際や街なかでの快適性をも重視した。

フロントサスペンションはストラット式。
リヤサスペンションはマルチリンク式。

注力するシーンを拡大した際に必要になるダイナミクス性能は何なのか。開発チームは徹底的に分析した。ワインディングでの運転の楽しさは残しつつ、後席も含め、荒れた路面でもマイルドで安定した乗り心地を実現したい。2代目CX-5はハンドリング性能を重視するあまりスプリングを硬めに設定しており、その背反が乗り心地面に現れていた(とマツダ側は分析している)。

そこで新型CX-5の開発では、ばね(コイルスプリング)とダンパーの役割を見逆した。ステアリングを切った瞬間にサスペンションが踏ん張り、タイヤを路面にしっかり押さえ付けることがハンドリング性能にとっては大事だ。タイヤを路面に押し付ける力は、スプリング荷重とダンパー減衰力荷重の足し算になる。従来のマツダは、スプリングの硬さに頼ってタイヤ押し付け力を確保していた。その背反で、荒れた路面では乗り心地が良くない方向となっていた。従来のダンパーの機構では欲しいタイミングで減衰力を出してくれないので、硬いスプリングでタイヤ押し付け力を補っていたのである。

新型CX-5では早くから減衰力を発生させることができるダンパーを開発し、ハンドリング性能と乗り心地の両立を図った。応答性の高いダンパーを実現したためスプリングを硬くする必要がなく、柔らかくしてもタイヤ押し付け力を確保できるというわけだ。

では、どのようにして応答性の高いダンパーを開発したのか。マツダ得意のモデルベース開発(MBD)を駆使し諸元を見直した。サスペンションのストロークに対する減衰力発生の遅れ、すなわち応答遅れを数値でしっかり表せるようにし、どういう外径サイズだったら、どういうガス圧だったら、どういうバルブ構造だったら応答遅れを最小化できるか徹底的に研究した。

ダンパーのサプライヤーは結果的にCX-60系と同じZFになったが、ダンパー選定のアプローチが従来と違う。ちなみに、MBDによる最適設計により、ダンパーの外径サイズは2代目のφ51からφ55に、ガス圧は2代目比で約200%となり、バルブ構造はオイル流れの効率視点で選択した。

ダンパーはZF製を採用する。

タイヤはブリヂストンALENZA 001(225/55R19装着車の場合)である。空気圧の指定は前後とも250kPaだ。新型CX-5、「走りはいいんだけど、乗り心地が……」という付け足しの表現は無用である。運転席での体験に限って言えば、終始しなやかな印象。内臓に響くような不快な入力を感じるシーンはなかった。ステアリングを操作した際の感触も、ブレーキのコントロール性も申し分なしで、「走る、曲がる、止まる」のまとまりがいい。走りに特化したわけでも、乗り心地だけに気を使ったわけでもなく、日常使いから走りを意識したシチュエーションまで、バランス良く仕立てられている印象だ。

「G」「L」ともにタイヤサイズは共通で225/55R19を履く。ホイールデザインは異なり、写真の「G」グレードはブラックメタリック塗装+切削加工となる。

ちなみに、新型CX-5のパワートレーンはISG(オルタネーターの代わりに搭載するインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)で減速エネルギーを回生するMハイブリッドを搭載する。これに伴い、モーターによる回生ブレーキと従来の摩擦ブレーキをシームレスに連携させる回生協調制御が取り入れられており、ハイブリッド車特有の不自然さを感じさせない、リニアで理想的なブレーキフィールを実現している。Mハイブリッドの利点のひとつは、従来のスターター方式に比べてエンジン再始動が迅速かつスムーズ(低振動・低騒音)なことである。

マツダ初のGoogle搭載! スマホ世代に合わせた新HMIの使い勝手

既存CX-5ユーザーにとっても、新型CX-5を次期愛車候補として評価する人にとっても、コックピットHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス:表示・操作系の設計)の大がかりな変更は気になる点だろう。実際のところ、使い勝手はどうなのかと。

「L」グレードのコクピット。センターディスプレイは15.6インチの大サイズでとても見やすい。

従来のマツダのコックピットは、視線移動と焦点調節の負荷を軽減すべく、センターディスプレイをインパネの奥に設置し、操作部を見ず、確実に操作できることを重視してダイヤルコマンダーで操作するのを基本としてきた。新型CX-5は大画面(15.6インチもしくは12.9インチ)のディスプレイをインパネの手前側に配置する。スマホを使う普段の生活がタッチや音声での操作なので、クルマの表示・操作系もそれに合わせた格好だ。

ただし、「見る脇見」「操作の脇見」「意識の脇見」の3つの脇見を低減する考え方に変化はない。前方を見たまますべての操作を完了させたいし、できるだけ運転以外のことを考えずに運転できるコンセプトは継承している。ガラケー時代の表示・操作系から、スマホ&AI時代の表示・操作系に一新したということだ。このコックピットHMIの導入に合わせてE/Eアーキテクチャー(電子プラットフォーム)も刷新した。

新型CX-5は後席居住性の拡大もトピック。先代よりもはっきりと広い。
身長184cmの乗員が着座しても、膝前にはご覧の余裕がある。
「G」グレードの標準はブラックだが、オプションでホワイト/ブラックのツートーンを選択可能。シート表皮は肌触りの良い合成皮革(レガーヌ)。
「L」グレードの内装色はブラックが標準(写真)。オプションでタンも選べる。シート表皮はレザー。

マツダ車として初めてGoogleを搭載したので、エアコンやエンタメ系などは音声による操作が可能となった。後席からも音声での操作が可能だ(が、乗員のポジションを自動で認識する機能は搭載していない)。すぐに操作できるよう、フロントとリヤのデフロスターだけ物理スイッチとして残した。温度や風量の調整は常時画面上に表示するようにし、タップしたり、スワイプしたりがしやすいような配置にしている。

乗る前は不安視していたのだが、見づらさや操作しづらさはまったく感じなかった。デザインはどちらかというと旧世代のほうが好みだが、筆者は最新のMAZDA3に買い換えてからというもの、AppleCarPlay接続時にタッチ操作が可能になったのをいいことに、タッチ操作を多用するようになった。となると、画面は奥にあるより手前にあったほうが操作しやすい。視線移動と焦点調節の観点でも新型CX-5のレイアウトに不自由は感じなかった。タッチ操作の操作性も同様である。

最低限の物理スイッチを画面下に配置した以外は画面でのタッチ操作および音声での操作に集約された。

新型CX-5ではステアリングスイッチも一新された。静電センサー付きとなったが触れるだけだと誤動作を誘発するので、触れて選択→押して決定となる。従来は離れた場所にあったドライブモードの切り換えスイッチとカメラのボタンがステアリングに統合されたのが特徴。筆者は見通しの悪い交差点で鼻先を出す際にカメラ(フロントワイド画面)を多用するので、カメラのボタンがステアリングから手を離さずに操作できるのがありがたいと感じた。

新デザインのステアリングホイール。静電センサーとタッチ式を組み合わせたスイッチは操作性も上々。

以上、パワートレーン、乗り心地、コックピットHMIという、新型マツダCX-5をチョイスするにあたって気になるであろう三大ポイントについて検証してみた。実物に触れてみて、不安は解消。「心配したけど、とってもいいじゃないか新型CX-5」に印象は変わっている。

グレードマツダCX-5 e-SKYACTIV G 2.5 L(4WD)
全長4690mm
全幅1860mm
全高1695mm
室内長1890mm
室内幅1592mm
室内高1299mm【1267mm】
乗員人数(名)5
ホイールベース2815mm
最小回転半径5.6m
最低地上高205mm
車両重量1740kg【1770kg】
パワーユニット2.5L直列4気筒DOHC+モーター
エンジン最高出力131kW(178PS)/6000-6200rpm
エンジン最大トルク237Nm/3800-4000rpm
燃料(タンク容量)レギュラーガソリン(58L)
モーター種類交流同期電動機
モーター最高出力4.8kW(6.5PS)/1000rpm
モーター最大トルク60.5Nm/100rpm
バッテリー種類リチウムイオン電池
バッテリー容量10Ah
トランスミッション6速AT
燃費(WLTCモード)14.2km/L
サスペンション前:マクファーソンストラット式 後:マルチリンク式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤサイズ225/55R19
価格430万6500円