2.5Lマイルドハイブリッド一本化の英断。広さ、走り、静粛性……すべてがワンランク上がった新型の実力とは?

昨年はグローバルで約33万台を販売し、マツダの国内乗用車販売の約4分の1を占めるCX-5。押しも押されぬマツダの基幹車種だが、本来ならばCX-5は2017年に登場した2代目でその役割を終え、CX-60/CX-80といったラージ商品群およびCX-30のスモール商品群にバトンを渡すはずだった。

9年ぶりにフルモデルチェンジで登場した新型CX-5。

ところが、ラージ/スモールが投入された後も、2代目CX-5は現役であり続けた。登場初年度の2017年に4万1622台を販売し、その後も年間2〜3万台を記録。モデル末期の2025年も約2万4000台を販売するなど、売れ行きをキープし続けたのだ。同じ2025年で比べるとCX-60は約1万台、CX-30が約1万2000台なので、2代目CX-5が依然としてマツダのメインプレイヤーだったということがよくわかる。そうした背景からCX-5は現役続行が決定し、このたび3代目の登場と相成った。モデルチェンジの間が9年空いてしまった裏には、そんな事情があったわけだ。

写真は新色のネイビーブルーマイカ。既存のディープクリスタルブルーマイカに対して、“高解像度化”をテーマに緻密さと鮮やかさを向上。微細なフレークによるソリッド感がボディの塊を強調し、青く発色するハイライト部のコントラストが鮮烈な印象だ。

今やマツダの代名詞となったCX-5。その新型の開発において重視されたのは、これまでCX-5に乗ってきたユーザーと、これから新たに検討するユーザーの双方にとって何が大切なのか、また今の時代に何が求められているのかを見極めることだった。開発側の独りよがりにならないよう、「お客様起点」の視点を最優先にしたそうだ。

そこで新型の開発コンセプトは「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」に設定。エモーショナル(デザインや心が高まる要素)と、デイリーコンフォート(室内の広さ、乗り心地、静粛性など)の両立を図っている。では、先代と比較しながら新型をご紹介していこう。

全長を拡大した新型は後席の広さが段違い。視界が良いから取り回しも良好

まずはボディサイズからチェックしたい。先代のCX-5が人気を集めた要因は、広さと扱いやすさが絶妙にバランスしたボディサイズにもあったように思う。全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm、ホイールベース2700mm。「CX-30ではちょっと狭いし、CX-60ほど大きくなくてもいい」。そんな風に感じる多くのユーザーのスイートスポットに収まるサイズ感が先代の魅力だった。

新型はというと、ホイールベースが115mm長くなったことに伴い、全長も4690mmと拡大された。全幅も先代比+15mmの1860mm、全高は同+5mmの1695mmとなっている。

新型CX-5:全長4690mm×全幅1860mm×全高1695mm、ホイールベース2815mm
先代CX-5:全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm、ホイールベース2700mm(PHOTO:平野 陽)
新型は全長(ホイールベース)と全高を拡大しつつ、プロポーションは維持してCX-5らしさを醸し出している。

ホイールベース拡大の理由は、ひとえに後席居住性の向上にある。先代で改善要望が多かったポイントがまさにそれで、後席足元スペースは64mmも拡大された。また、後席ヘッドクリアランスも29mm広がっている。全高は新旧で5mmしか違いがないが、先代はシャークフィンアンテナを含めた数字であり、新型はガラスプリントアンテナなので数字以上に全高には差があり、それが後席ヘッドクリアランスの余裕につながっているというわけだ。

座ってみると、その違いは一目瞭然だ。新型は174cmの乗員が座っても膝前に充分なゆとりがあり、頭上空間も広々している。これを体感してしまうと、先代を気に入っているユーザーも新型に食指が伸びるのではないだろうか。ドア開口部も広がっており、乗り降りが格段にしやすくなったのもうれしいポイントだ。

新型の足元空間はご覧のとおりの余裕がある。乗員の身長は174cm。
こちらは先代の足元空間。新型との違いは明らかだ。
新型は後席ドアの開口部も広がっており、乗り降りも格段にしやすい。
こちらは先代。乗員の頭や肩が隠れて見えることからもわかるとおり、開口部がやや狭い。

ボディサイズが大きくなったことで気になるのは狭い道での取り回しだが、新型は視界の良さがそれを補ってくれている。Aピラーには1310MPa級ハイテン材を用いて約9mm細くすることで前方下方の視界を拡大。クォーターウインドウも大型化され、並走車両を認識しやすい形状へと工夫されている。また、ドアミラーの形状や取り付け方の工夫によって、ミラー・トゥ・ミラーは先代よりも38mm狭くなっているほか、フェンダー造形の工夫で車両感覚も掴みやすくしている。道幅が狭い住宅街を運転する機会もあったのだが、実際のボディサイズよりも小さいクルマに乗っているような感覚を覚えたほどだ。

新型CX-5。全幅は15mm広がっているが、逆にミラー・トゥ・ミラーは38mm狭くして取り回しに配慮。
新型CX-5のリヤビュー。ブランド名(MAZDA)がバラ打ちされているのは、最近のトレンドだ。
先代CX-5。フロントフード先端も新型の方が50mm高いため、顔の厚みがだいぶ異なることがわかる。(PHOTO:平野 陽)
先代CX-5のリヤビュー。車体色はディープクリスタルブルーマイカ。(PHOTO:平野 陽)

大型センターディスプレイとGoogle搭載でインパネデザインは一変

インパネのデザインも、新型の進化が顕著に感じられる部分である。新型はセンターディスプレイが12.9インチまたは15.6インチへと大画面化された。先代は「視線移動を減らす」という目的でディスプレイをインパネの奥に配置し、手元のコマンダーで操作する手法をとっていたが、新型ではタッチ操作を前提としてディスプレイをインパネの手前側に配置するレイアウトへと大きく方針転換している。

新型のインパネ。最上級の「L」グレードには、15.6インチのセンターディスプレイが備わる。最上級グレードの「L」では、スポーツタンカラーの内装色(写真)をオプションで選択できる。
こちらは「G」グレードのインパネ。センターディスプレイは12.9インチで、「L」グレードよりも小さくなるが、充分に見やすいサイズだ。「G」にオプションで用意されるピュアホワイト/ブラックのツートーンの内装色(写真)も魅力的だ。
先代のインパネは、物理スイッチが多かった。9年前はこれが当たり前だったのだが、今となっては古典的に感じられる。撮影車はアウトドアシーンを意識した特別仕様車「XD Field Journey」で、エアコン吹き出し口がライムグリーンに彩られている。(PHOTO:平野 陽)
新型はメーターも10.25インチのフル液晶となった。
先代のメーターはアナログ式で、中央に小さな液晶画面を設けている。(PHOTO:平野 陽)

タッチ操作となると、心配になるのが運転中の操作性だが、新型ではそのあたりの配慮も行き届いている。フロントとリヤのデフロスター(曇り止め)などは物理ボタンを残しており、ウインドウの曇りを解消したいときには迷わずすぐに押すことが可能だ。操作する機会の多い温度調整と風量調整はディスプレイ上に常時表示されているほか、シートヒーターやベンチレーションなどを操作するためのショートカット機能も備わるため、不便を感じることはないだろう。

15.6インチのセンターディスプレイ。大画面のため、画面を分割表示して多彩な情報を表示することも可能。温度調整や風量調整など頻繁に使う機能のアイコンは画面下部に常時表示して、そのすぐ上にはショートカット機能を配置している。

ステアリングスイッチも新しい。見た目がスマートな静電式なのだが、誤操作を避けるため、静電センサーで触れている位置を検出し、最終的な決定はプッシュで行なう仕様となっている。また、ボリュームと設定車速の部分は、スワイプまたはフリックによるジェスチャー操作も可能で、音量を一気に上下したり、ACCの設定車速を10km/h単位で調整したりといった操作が楽に行なえるよう工夫されている。

新型のステアリングホイール。左側にエンタメ系、右側にADAS系やドライブモードの切り替え、カメラ画面切り替えのスイッチを集約する。

「Google」が搭載されたことも、新型の大きなトピックだ。Googleマップ、音声アシスタント、Googleアプリストアが利用可能。「OK Google」と発話するか、ステアリングスイッチの発話ボタンを押すことでコマンドが立ち上がり、ナビ設定、メディア操作、エアコン調整などが行なえる。レスポンスが早く認識も正確で、目的地検索も非常に使いやすい。しっかりと実用に足るという印象だ。

新型はGoogle搭載により、馴染みのあるGoogle アプリやサービスが利用可能になった。

また、GoogleのAIアシスタントは今後、Geminiへアップデートされる予定もあるという。そうすると、従来のコマンドベースからAIベースの対話型へ変化し、ユーザーの発言意図を解釈した操作が可能となる。エアコン調整についてもより自然な表現で操作できるようになるはずだから、今後の進化が楽しみだ。

荷室の奥行きが広がったことでベビーカーも積みやすくなった

使い勝手の面では、ラゲッジルームの進化も新型の注目ポイントである。新型はパッケージングが見直され、床面の奥行きが先代から45mm拡大されている。定員である5名乗車時でも、ゴルフバッグ4セット、または中型のスーツケース4個をしっかりと積載できる。さらに奥行きが増した恩恵として、ベビーカーを縦方向に積載できるようになり、ファミリー層にとっての実用性が大幅にアップしている。

新型のラゲッジルーム。荷室長は994mm、荷室幅は1050mm。
新型はこのように、ベビーカーを縦積みできるから、載せ下ろしもしやすい。荷室開口地上高も、先代が745mmだったのに対して新型は727mmと低くなっているのがうれしい。
先代のラゲッジルーム。荷室長は949mm、荷室幅は1050mm。(PHOTO:平野 陽)

新型のラゲッジルームの使い方でユニークな提案がある。後席のヘッドレストを前後逆に装着して、その状態で背もたれを格納すると、大人が横になれる「車中泊モード」に変身するのだ。「L」グレードにオプションのパノラマサンルーフを装着して、夜空を見ながらゆっくりと車内でくつろぐ…なんて過ごし方も楽しそうだ。

これが車中泊モードの状態。後席背もたれを格納した状態の荷室長は1845mm。先代が1751mm、CX-60は1727mmなので、新型のラゲッジスペースは使い甲斐がありそうだ。
パノラマサンルーフ。幅875mm×長さ1021mmの大開口が開放的な印象だ。前方のガラスはチルト&スライドが可能。

2.5Lガソリンエンジン+Mハイブリッドは軽快感ある走りを披露

新型の事前情報が公開された際、物議を呼んだのがパワートレーンだ。初代からCX-5の代名詞的存在だった2.2Lディーゼルのほか、リーズナブルな2.0Lガソリン、好バランスの2.5Lガソリン、パワフルな2.5Lガソリンターボ(途中で追加され、その後ディスコンになった)とよりどりみどりだった先代。ところが、新型は2.5Lガソリン+マイルドハイブリッドの「e-SKYACTIV G 2.5」に一本化されるというのだから、賛否を呼んだのも当然だ。

先代が搭載していた2.2Lディーゼル(SKYACTIV-D 2.2)。銘機と呼ぶに相応しいエンジンだったが…。(PHOTO:平野 陽)

とはいえ、昨今のディーゼルエンジンを取り巻く状況を考えると、それも致し方ないのかもしれない。欧州で今後施行される「ユーロ7」など厳しい排出ガス規制をクリアするには、高価な排ガス後処理装置が必要となる。また、日本ではCX-5の販売台数の約6割をディーゼルエンジンが占めるものの、世界全体で見ると、その割合は5%程度に過ぎない。

ならば、需要の少ないディーゼルに開発費を投じるのではなく、ガソリンエンジンにリソースを集中するという判断も納得がいく。また、2027年中にはマツダ独自のフルハイブリッドシステムを組み合わせた次世代エンジン「SKYACTIV-Z」の登場も控えており、燃費性能にこだわるユーザーへの選択肢も抜かりなく用意している。

では、新型の心臓部となる「e-SKYACTIV G 2.5」はどんな塩梅なのか。期待と不安が入り混じった気持ちで走り出すと、これが実に“軽快”なのである。

新型が搭載するe-SKYACTIV G 2.5。最高出力178PS(131kW)、最大トルク237Nm。
オルタネーターの代わりに配置したISG(スターター、オルタネーター、モーターの3つの役割をもつ)で駆動をアシストするマイルドハイブリッド機構。モーターの最高出力は4.8kW(6.5PS)、最大トルクは60.5Nmを発生する。

新型のエンジン(PY-VPH型)のスペックは最高出力178PS(131kW)、最大トルク237Nm。先代の2.5Lガソリン(PY-RPS型)が最高出力190PS(140kW)、最大トルク252Nm(4WDは188PS/250Nm)であったことと比較すると、数値上はダウンしている。これは新型のエンジンが外部EGRを追加するなどして、燃費性能の向上を図ったためだ。事実、先代は2WD 13.8km/L・4WD 13.0km/Lだったのに対して、新型は2WD 15.2km/L・4WD 14.2km/Lと約1割上回っている。ガソリンエンジン同士で比べると、新型のアドバンテージはあきらかである。

実際に走らせてみると、軽自動車の自然吸気エンジン並みの最大トルク(60.5Nm)を発生するモーターのアシストのおかげもあって、発進直後からかったるさを感じることはない。むしろ、クルマが軽く感じられるくらいだ。

そうした印象には、アクセルのつくり込みも効いている。軽い操作領域、すなわちアクセル操作が少し速い状態や浅い踏み込みの段階では、加速力を早めに立ち上げる制御を採用。一方で、アクセルを深く踏み込んでいく領域では先代同様のリニアリティをキープしており、操作に対して素直に反応するよう仕立てられている。こうすることで、安心感と軽快さを両立した加速感を実現しているというわけだ。

こうした新型の軽快感は、2.2Lディーゼル(SKYACTIV-D 2.2)では決して味わえないもの。低回転域から発生するず太いトルクが持ち味のディーゼルが頼りがいのあるワーキングブーツなら、新型のe-SKYACTIV G 2.5は履き心地が軽いトレイルランニングシューズだろうか。一度試しに履いてみたら、そのフィット感の良さに驚かれるはずだ。

新型CX-5:2.5Lガソリン+Mハイブリッド(e-SKYACTIV G 2.5)
・エンジン最高出力:131kW(178PS)/ 6000-6200rpm
・エンジン最大トルク:237Nm(24.2kgm)/ 3800-4000rpm
・モーター最高出力:4.8kW(6.5PS)/ 1000rpm
・モーター最大トルク:60.5Nm(6.2kgm)/ 100rpm
・WLTCモード燃費:2WD 15.2km/L / 4WD 14.2km/L

先代CX-5:2.5Lガソリン(SKYACTIV-G 2.5)
・エンジン最高出力:140kW(190PS)/ 6000rpm ※2WD
・エンジン最大トルク:252Nm(25.7kgm)/ 4000rpm ※2WD
・WLTCモード燃費:2WD 13.8km/L / 4WD 13.0km/L

先代CX-5:2.2Lディーゼル(SKYACTIV-D 2.2)
エンジン最高出力: 147kW(200PS)/ 4000rpm
エンジン最大トルク: 450Nm(45.9kgm)/ 2000rpm
WLTCモード燃費: 2WD 17.4km/L / 4WD 16.6km/L

フラットな乗り心地と自然な操舵感も先代からの大きな飛躍点

乗り心地の良さも新型の好印象ポイントのひとつだ。先代はスポーティな走りが好評だった一方で、「乗り心地が硬い」という声も聞こえていたという。そこで新型のシャシー開発においては、相反する「乗り心地」と「操安性」の高次元での両立をテーマに設定した。

サスペンション形式は先代を踏襲。フロントにストラット式、リヤにマルチリンク式を採用する。

先代はスプリングの硬さに頼って操安性を確保していたため、荒れた路面での突き上げ感が出てしまっていたが、新型ではサスペンションの機能配分を根本から見直している。主役をスプリングからダンパーへと移し、ダンパーの「応答性(動き出しからの遅れの少なさ)」を徹底的に向上。ストローク初期からしっかりと減衰力を発生させることで操安性を担保し、その分スプリングを柔らかくして快適な乗り心地を実現している。

この応答性の高いダンパーを開発するにあたり、マツダ得意のモデルベース開発(MBD)が大きな威力を発揮した。ダンパーの外径拡大やガス圧アップ、バルブ構造の選定において、「性能が飽和する直前の最も効率的なポイント」をシミュレーションで特定。サプライヤーであるZF社のラインナップから最適なスペックを数値化して組み合わせることで、無駄なコスト上昇を抑えつつ理想のダンパーをつくり上げたのだ。

足まわりの進化はステアリングフィールにも好影響を与えている。車体の上下動が抑えられフラットな姿勢が保てるようになったことで、ハンドルを無駄に重くする必要がなくなり、必要最低限の操舵力に設定。切り込みと戻しの制御も緻密にチューニングされ、軽やかでありながら路面からの的確なフィードバックを得られる、自然で気持ちの良いステアリングを実現している。

新型の「G」グレードは19インチ・アルミホイール(225/55R19タイヤ)を履く。
「L」グレードも同サイズのタイヤ/ホイールだが、アルミホイールのデザインが異なる。

静粛性も進化した。新型の開発で特徴的なのは、単に音を消すのではなく、「特定の音が突出しないフラットな音響空間」を狙ったことだ。その実現のため、主に3つの観点からアプローチを行なった。ひとつ目は特定の周波数が目立たないフラットな特性。ふたつ目は、車速や路面状況が変わっても音が急激に変化せずリニアに推移すること。そして3つ目は、特定の方向から音が聞こえる局所性をなくし、音の到来方向を均一化することだ。これにより、特定の音が耳障りになる違和感や疲労感を大幅に軽減している。

また、ファミリーユースを強く意識し、静粛性のつくり込みは後席にも妥協なく注ぎ込まれた。Aピラーやドアミラー周辺の風流れを制御して風切り音(渦)の発生を抑える音源対策に加え、車体側では吸遮音材の材質や配置を適材適所で最適化。全体バランスを緻密にコントロールすることで、高速走行時でも前後の席で快適に会話や音楽を楽しめる車内環境を実現している。

先進安全技術(i-ACTIVSENSE)の進化も著しい。クルージング&トラフィック・サポート(CTS)は車間の維持と車線のトレースがよりスムーズになった印象で、安心感が格段に向上している。また、CTSにはウインカー操作をきっかけとして車線変更の操舵や加減速をサポートする「車線変更アシスト機能」や、高速道路などでの渋滞走行時に40km/h以下なら手離し運転が可能となる「ハンズオフアシスト機能」も加わった。

常時介入型の支援システム「プロアクティブ・ドライビング・アシスト (PDA)」もマツダ車初採用だ。前走車に接近しすぎた場合など、ドライバーがブレーキを強く踏む前にシステムが緩やかにブレーキを補助し、「ヒヤリ」とする場面を未然に防いでくれる。こうした機能の充実ぶりは、9年ぶりのフルモデルチェンジの進化を大いに実感できるところだ。

「良品廉価」を実現したコスパの高さは新型CX-5の大きな武器

先代は、3種類のエンジン(2.0Lガソリン/2.5Lガソリン/2.2Lディーゼル)それぞれに「i Selection」や「Sports Appearance」といった複数の仕様を掛け合わせる、非常に複雑なラインアップを展開していた。これに対し新型では、パワートレーンが2.5Lマイルドハイブリッドの「e-SKYACTIV G 2.5」に一本化されたことに伴い、ベーシックな「S」、SUVらしいタフネスを強調した「G」、そしてラグジュアリーな上質仕様の「L」という、キャラクターが明確な3グレード展開となった。

先代の価格帯が281万500円〜413万2700円だったのに対し、新型は「S」グレードの330万円をスタート価格とし 、最上級の「L」グレード(4WD)は430万6500円に設定されている。先代のコスパの高さは異常(!?)と言えるレベルで、それも人気を集める要因だったわけだが、新型も全車にわたるベースの装備レベルの高さを考えると、依然としてそのコストパフォーマンスは極めて優れている。

エントリーモデルとなる「S」グレード(330万円〜)であっても、最新のマイルドハイブリッドシステムをはじめ、12.9インチの大画面センターディスプレイ、Google搭載の最新HMI、さらにはひと通りの先進安全技術が標準装備されている。

そこから快適性やデザイン性に関する装備を充実させたのが「G」および「L」グレードだ。「G」グレード(352万円〜)では、アルミホイールが17インチから19インチ(切削加工)にサイズアップするほか、内装には肌触りの良い合成皮革(レガーヌ)シートがあしらわれ、運転席パワーシートやシートヒーター、パワーリフトゲートなどの実用・快適装備が網羅される。おそらく、これが一番の売れ筋グレードになるのだろう。

「G」グレードのシート表皮は合成皮革(レガーヌ)。標準はブラックだが、オプションでピュアホワイト/ブラックを選ぶことができる。
フロントシートはウレタンとシート内部のバネを改良することで、快適性と一体感を両立。リヤシートも快適な着座姿勢を確保するため、シートクッション内部の形状が変更されている。

最上級の「L」グレード(407万円〜)では、ボディ下部のクラッディングが艶やかなピアノブラックとなり、本革シートや上質なインテリア加飾が施される。さらにセンターディスプレイは、より大型の15.6インチへとアップグレードされるほか、ハンズフリー機能付きパワーリフトゲートも標準装備されるなど、内外装の上質ぶりが際立つ。先進安全技術がさらに拡大採用されるのも魅力的だ。

「L」グレードは本革シートがおごられる。写真はオプションの「スポーツタン」カラー。
表皮のパターンにも注目。木と木を組み合わせる継ぎ手(組手)をモチーフにしたもので、同様のモチーフはフェンダーやサイドのクラッディングパネルにも用いられている。
先代のシートはサポート部を張り出させて一体感を重視。身体は安定するものの、硬めなシートという印象だった。(PHOTO:平野 陽)

また、RAV4、CR-V、フォレスターといった競合ひしめくミドルサイズSUVにおいて、同等の先進・快適装備を備えたモデルを選ぼうとすれば、400万円台半ばから後半に達することが多い。ライバルはフルハイブリッドだったりターボ付きだったりとパワートレーンの違いがあるとはいえ、これだけの内容を詰め込んだ新型CX-5が330万円から、売れ筋となる充実装備の「G」グレードでも350万円台から手に入るという事実は、他車にはない強力なアドバンテージだ。新型CX-5は、同クラスにおいて賢く、満足のいく選択肢となるはずだ。