木村教授によるHEVの詳解、バッテリーとパワーエレクトロニクスの重要性[自動車業界60秒ブリーフィング]

日本のHEV(ハイブリッド電気自動車)技術の進歩について、東海大学の木村教授に伺った。HEVのバッテリーとパワーエレクトロニクスの重要性は、EV(電気自動車)と同様だが、HEV特有の要素と特徴が存在する。

HEVではニッケル水素電池が重視される理由について、木村教授はパワー密度の優れた性能を挙げた。ニッケル水素電池はアルカリ性水溶液を使用し、イオン伝導性に優れ、パワー密度が高い。また、水系の電解液は、電気分解により発生した水素と酸素を再び水に戻すことが可能で、充放電性能の“限界付近”を使いやすいという特徴がある。

一方で、BEVではバッテリーの電力量、すなわちエネルギーを蓄えることが重要である。このため、リチウムイオン電池が普及してきた。リチウムイオン電池は1セルあたりの電圧が3.7Vと高く、エネルギー密度に有利である。ただし、充放電制御を緻密に行う必要がある。

また、1997年のプリウス登場においては、パワーエレクトロニクス(パワー素子)の技術が鍵となった。具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の登場が重要だった。その後のHEVの効率向上には制御技術の進歩も大きく貢献している。

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