電気自動車(BEV)投資熱、その裏側と自動車業界の未来を問う[自動車業界60秒ブリーフィング]

パシフィコ横浜で行われた「人とくるまのテクノロジー展」での展示内容変化が、自動車業界の現在と未来を示していた。新型コロナウィルスの影響を受けた市場でのバッテリー電気自動車(BEV)への投資熱が続く一方で、その完全移行の見通しは不透明だ。

変速機の展示がなく、その代わりに電動化部品やソフトウェアが強調された展示は、Software Defined Vehicle(SDV)の流れを示していた。また、欧州と中国では、BEVとプラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークル(PHEV)の販売比率が増加している。

EU委員会はPHEVの削減に向けた姿勢を強めており、その背景にはCOVID-19の影響による資金の流れや、VWのディーゼル排ガス不正問題がある。しかし、全てのメーカーがこのBEV一本槍の方針を支持しているわけではない。

アメリカでもBEVへの移行が進んでいるが、例えばフォードはBEV部門の赤字をICE部門と商用車部門が補填している現状がある。さらに、販売店のマージン問題により、老舗メーカーと新興メーカー(直販方式のテスラなど)の間で対立が生じる可能性も指摘されている。

これらから見て、現在の自動車業界は、「BEV一本槍を信じるか、否か」の疑念と混乱に見舞われていると言える。

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