未来の移動手段として電気自動車(BEV)の可能性を探る。その背景には、気候変動への懸念や化石燃料の枯渇がある。日本の全ガソリン車をBEVに置き換えるには、年間143.3TWhの電力が必要と推定されている。
再生可能エネルギー(再エネ)の発電量を考慮すると、日本は2021年時点で太陽光から88.7TWh、風力から8.96TWh、地熱から3.02TWh、バイオマスおよび廃棄物から27.28TWh、合計で127.97TWhの電力を生成している。再エネの現状の発電能力を考えると、ガソリン車を全てBEVに切り替えるためには、現在の2倍の発電量が必要だと考えられる。
しかし、事態は単純ではない。電力供給においては、発電と需要がほぼ同時に同じでなければならず、このバランスが取れていないと電力の周波数が変動し、結果として停電を引き起こす可能性がある。この課題を解決するためには、より効率的な電力の管理と調整が必要だ。
加えて、太陽光パネルの設置が増えていく中で、電力を適切に分配するためのインフラ整備は不可欠となる。しかし、現状の設備稼働率が平均13%であるため、高額な投資が求められる送電網の整備は難しい課題となっている。
[詳細]自動車が使う化石燃料ぶんのエネルギー量を発電でまかなうことは可能だろうか・中編