再生可能エネルギーと蓄電池、BEV普及のための電力供給問題[自動車業界60秒ブリーフィング]

日本の全ガソリン車をバッテリー・エレクトリック・ビークル(BEV)に切り替えるためには、年間約1,433億kWhの電力が必要となる。これは現在の再生可能エネルギー発電量の約2倍に相当する。この大量の電力を供給するための解決策として、再生可能エネルギーと蓄電池の組み合わせが提案されている。

再生可能エネルギーは天候に左右されるため、安定した供給は困難である。そのため、リチウムイオン二次電池(LIB)などの蓄電池を用いて電力を貯め、必要な時に供給するという方法が有効とされている。しかし、LIBの価格は高く、大量の蓄電設備を設置するには膨大なコストが必要となる。

一方で、BEVのバッテリーを蓄電設備として利用するという案もある。再生可能エネルギーが余った時にはBEVに充電し、不足した時にはBEVから電力を引き出すという方法である。日本では大部分の自家用車が停車している時間が長いため、有効とされている。

しかし、これらの解決策も完全な解答ではない。再生可能エネルギーの供給は不安定で、蓄電設備の設置は高コストがかかる。また、BEVのバッテリーを蓄電設備として利用するには、所有者の同意や運用統制の問題がある。

[詳細]自動車が使う化石燃料ぶんのエネルギー量を発電でまかなうことは可能だろうか・後編

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