後輪操舵(4WS)システムの開発と効用について、神奈川工科大学客員教授・芝端康二氏による解説。4WSは、1980年代に日本で研究が活発化し、量産車への搭載も進んだが、90年代には一時退潮した。
4WSの主な目的は、車両の操縦性・安定性の向上である。後輪も操舵することで、旋回時の車体の姿勢を最適化し、コーナリング性能を高める。同相と逆相の使い分けは、速度域や操舵角に応じて最適な制御を行うためで、微小な角度でも効果を発揮する。
日産のHICASやホンダの機械式4WSなど、各メーカーによって異なるアプローチが見られる。特に、逆相の最大舵角や制御量の調整など、理論と実際のフィーリングとのバランスが重要とされる。
4WSの研究と開発は、今後の自動運転技術などにも応用される可能性があり、車両の運動性能を一段と高めるための重要な技術であると言えるだろう。