ボッシュ、車載向けソフトウェア・ソリューションの開発で力強い成長を遂げインフォシステムは2026年までに4800億円の売上高の見込み

ボッシュは、ドイツで開催されたIAAモビリティにて、車載コンピューターの売上高、数十億ユーロに達する見込みについて発表した。車載ソフトウェアに加え、必要なハードウェアでも強みを発揮しており、車載コンピューターではすでに力強い成長を遂げている。運転支援およびインフォテインメント用のコンピューターだけでも、2026年に30億ユーロ(4800億円)の売上高を見込んでいる

持続可能なモビリティを実現するボッシュのソフトウェア

ソフトウェアを主体とする車両には、ITとエレクトロニクスを一元化した新しいアーキテクチャが必要となる。ボッシュはこのアーキテクチャを開発している数少ない企業のひとつであり、車載エレクトロニクスとクラウド間の相互作用を制御する方法に精通している。その成果のひとつが、運転支援および自動運転システム向けの特別なミドルウェアで、ソフトウェアが設計・開発の起点となっている車は、パーソナライズ化された、デジタルな運転体験をドライバーに提供することが可能だ。車両を運用するうえでの利便性も重視されており、電気自動車において、ソフトウェアがエネルギーおよびサーマルマネジメントを統合することで、バッテリーの充電時間を最大20%短縮する。。依然として不安定で困難な環境が続くにもかかわらず、ボッシュの業績は全体的に好調に推移しており、モビリティ事業セクターの売上高は、為替調整後で 2023年に10%堅実に成長すると見込まれている。この成長には価格効果だけではなく、販売量の大幅な増加も含まれている。

ボッシュのeモビリティ事業は、2026年の売上高目標である60億ユーロ(9,500億円)の達成に向け、好調に推移している。ボッシュは昨年1年間で、電気自動車向けコンポーネントの生産を約50%増加させることに成功。2023年にはモーターの生産だけで2倍になる見込みとされている。ボッシュのソフトウェアはより幅広いeモビリティ産業においても重要な役割を果たす。その一例が自動バッテリー・リサイクル・システムだ。ソフトウェアはバッテリーの製造元と状態を特定できるだけでなく、ユーザーに作業手順を案内することで、バッテリーパックを迅速かつ安全に分解することも実現している。

ハードウェアに依存しない新しい制御コンセプト

ハードウェアとソフトウェアは分離されつつありますが、両者は相互に有益な関係にあります。特に次世代の横滑り防止装置ESCのような最新の事故を未然に防ぐシステムでは顕著となる。ここでの重要な技術革新は、新しい制御コンセプトであるビークルダイナミクスコントロール2.0。このソフトウェアは、ブレーキシステムだけでなく、電動パワートレインや電動ステアリングシステムにも介入することができる。これにより、カウンターステアが減少、また停止距離が短縮されるため、ドライバーの安全性が向上する。

自動車メーカーにとっての大きなメリットは、この新しい制御システムであるビークルダイナミクスコントロール2.0を中央車載コンピューターまたはESCのコントロールユニットに組み込むことができ、将来的に個別のソフトウェア・パッケージとして利用できるようになることである。これは、ブレーキ、ステアリング、パワートレイン、およびシャシーを統合制御することで、ビークルモーションのあらゆる側面を調整するソフトウェアソリューションであるビークルモーションマネジメントの一部となる。

バリューチェーン全体にわたるボッシュの産業機器テクノロジー

ボッシュのソフトウェアは、運転だけではなく自動車の製造方法にも影響を与えている。たとえば、追跡ソリューションの活用により、輸送用ボックスの位置と状態をリアルタイムで記録することで、透明性と安全性を確保した追跡を実現。インダストリー4.0ソフトウェアのNexeedは、バッテリーセル工場のスクラップ率を現在の10%~15%から大幅に削減するのに貢献する。さらにボッシュは、AIを活用して自動車生産における異常やエラーを早期に検出し、製造コストを削減することも可能である。ボッシュはすでに50の自社工場でこうしたAIソフトウェアを使用しており、トルコのブルサ拠点では、ソフトウェア効果によりかなりの製造コストを削減している。

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