UACJ、工場排熱活用「熱音響冷却システム」実用化に向け検証開始

UACJは、中央精機が開発した「熱音響冷却システム」をUACJ押出加工名古屋にて2023年12月に試験導入し、実用化に向けた実証実験を開始したことを発表した。排熱を冷却エネルギーに変換し、生産設備からのCO₂排出量を抑制する。

「熱音響冷却システム」とは、音波を介して、排熱を冷却エネルギーに変換するもので、中央精機がシステム開発し、2022年8月に発表したものである。本システムを工場で利用することにより、生産工程で発生する低温排熱を有効に活用することができ、CO2排出量の抑制が実現される。

UACJは、Scope1・2におけるCO2排出量を2030年度までに30%削減することを目指し、2050年のカーボンニュートラル実現に向け挑戦している。これらの実現を目指し、長期経営ビジョン「UACJ VISION 2030」実現に向けた活動の一つとして、排熱など、工場由来のエネルギーを活用したソリューションの開発を掲げ、多角的な検証を続けている。

UACJでは、300℃以上の排熱については、従来からリジェネバーナーにより熱を繰り返し利用してきていたが、300℃未満の排熱については、熱回収効率が低いため、回収や活用の技術は確立できていなかった。

今回試験導入されるシステムでは、アルミニウムの組織を調整する熱処理炉などで発生する200℃~400℃といった比較的低温の熱を回収することができる。回収された熱は、音波を介して冷却エネルギーに変換される。製造所内の設備冷却や事務所の空調機などの冷却機器を本システムの冷却機能で代替することで、CO2排出量の削減が見込まれる。

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