東レら4社、再生可能エネルギーから水素を製造する500kWワンパックP2Gシステムの開発を推進

山梨県、東レ、東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)および大成建設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(以下、NEDO助成事業)※1の採択を受け、2021年12月より小規模パッケージ化した500kWワンパック固体高分子(PEM)形P2Gシステム(以下、本システム)※2の開発を推進している。

本日、本システムの第1号機が、建設用コンクリート部材を製造する大成ユーレック川越工場※3に設置された。大成ユーレック川越工場では、工場内に設置した太陽光発電設備の電力を用いて本システムを運転し、水の電気分解により製造した水素(グリーン水素)を水素ボイラーで燃焼させ、得られた熱を建設用コンクリート部材であるプレキャストコンクリート板※4の製造における養生工程に利用する。当該工場で従来使用していた化石燃料(都市ガス)による蒸気ボイラーの稼働時間を削減することにより、脱炭素化を目指す。

山梨県、東レ、東京電力EPは、山梨県甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイトで再生可能エネルギーから水素を製造するP2G基盤技術を確立しており、今般これをさらに高度化させ、パッケージ化した本システムを開発した。

大成建設は、NEDO助成事業の共同研究者として山梨県、東レ、東京電力EPとともに、大成ユーレック川越工場で、電力の変動に追従しながら水素を製造できる本システムの特長をいかした、蓄電池設備と太陽光発電設備を統合制御するEMS(エネルギーマネジメントシステム)を本システムに合わせて開発し、再生可能エネルギーの余剰電力を有効活用する「やまなしモデルのP2Gシステム」の実証に2024年5月から取り組む計画としている。

【注釈】

※1:「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発」における「地域モデル構築技術開発事業」(2021年12月採択決定)

※2:P2Gシステムとは、再生可能エネルギー等由来の電力を活用し水の電気分解から水素を製造する技術であり、カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大と温室効果ガスの削減において、世界的に期待されている。

※3:中高層集合住宅等向けの建設用コンクリート部材(プレキャストコンクリート板)の製造を行う大成建設グループ企業の工場(埼玉県川越市)

※4:予め工場で製造された、建物の柱・梁・壁・床などになるコンクリート製品

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