水素自動車の可能性と普及を阻害する現実[自動車業界60秒ブリーフィング]

水素エンジン搭載自動車が普及しない理由には、いくつかの要因が考えられる。まず、水素ステーションの整備不足が挙げられる。全国に約160ヶ所しかない水素ステーションは、電気自動車の充電スポットと比較してもその少なさが際立つ。水素ステーションの設置コストはガソリンスタンドと比べて約10倍とも言われ、その高額なコストが普及の障壁となっている。

さらに、水素の生成には膨大な電力が必要であり、特に環境負荷を低減するために求められる「グリーン水素」の生成コストは現状高価である。加えて、水素自動車は燃料タンクの製造や交換にも高額なコストがかかり、これが消費者の購入意欲を削ぐ要因になっていると考えられる。

水素自動車に関する技術的な課題も普及を妨げている。たとえば、高圧水素タンクは特殊な材質で製造されており、その製造コストや安全性の維持には高い技術が求められる。また、安全性の確保に関する誤解や風評被害も普及の障害となっている。

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