ビッグモーターの事件がここまで大きく黙殺された背景には、自動車整備士の労働環境と職業意識が深く関わっている。
まず、整備士は職人の世界であり、与えられたノルマを粛々とこなすことが求められる。国家資格を取得するための学びは現場での実践とは異なり、コストや時間の制約から効率的な手法が取られることが多い。また、整備士は基本的に営業マンとは異なり、顧客との直接的なやり取りは少なく、機械を正常に動かすことが主な仕事である。そのため、閉鎖的な環境で働くことが一般的であり、他部門との連携が乏しい。
こうした環境が、異常な権力を持つ経営者が現れた場合、常識的におかしなことでも反論しにくくなる土壌を作り出している。トップダウンで指示が下され、現場はその通りに動くことが求められるため、異常事態が発生しても声を上げにくい。また、整備士が持つ学歴コンプレックスや、第三者と接触しない環境が、問題を内部で解決しようとする傾向を助長する。
このような閉鎖的な環境と職業意識が、ビッグモーターの問題を深刻化させた要因の一つであると考えられる。
一方で、整備士の透明性を確保するためには、整備士を表舞台に立たせることが有効である。
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