SIP第2期「自動運転（システムとサービスの拡張）」※1（SIP自動運転）では、すべての人が安心・安全に移動できる社会の実現に向け、自動運転を実用化・普及拡大していくことにより交通事故の低減や交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善、コスト低減などの社会的課題の解決に貢献することを目指している。そのために産学官共同で取り組むべき共通課題（協調領域）を設定し、研究開発を推進している。
交通環境情報を活用したインフラ協調型の高度な自動運転の実現を目指し、2019年10月から、東京臨海部の一般道に信号情報提供用のITS無線路側機、高精度3次元地図など、首都高速道路に合流支援のためのセンサーなどのインフラを整備し、国内外の自動車メーカー、自動車部品メーカー、大学、ベンチャーなどの参加を得て実証実験を実施してきた。
2021年度は交通環境情報配信のしくみ構築と活用をさらに拡大するために、これまでに整備してきた高精度3次元地図情報や狭域通信（V2I）※2による信号情報、合流支援情報の配信などの成果に加え、公衆広域ネットワーク（V2N）※3により多様な交通環境情報を車両へ配信する実験環境を整備し、実証実験を行う。
広域ネットワークを利用した交通環境情報の配信
新たな交通環境情報利活用の取り組みとして、車両プローブ情報※4を活用した車線別渋滞、交通規制、落下物情報など他事業者の有する情報、気象、模擬緊急車両、事故車に関する情報、さらには昨年度の実証実験では狭域通信（V2I）を通じて配信した信号情報についても公衆広域ネットワーク（V2N）を利用して車両へ配信する。 また、自動運転車の走行経路計画の判断や、ODD※5判定、注意喚起につながる中広域の交通環境情報を生成、V2Nで配信し、安全な走行への有効性について検証を行う。
参加する国内外の22機関※6は、実証実験に使用する自動運転車の運用および運転手などの準備とともに、実験データの取得や実験結果の報告などを行う。交通インフラの整備と各機関の準備が整い次第、2021年11月から2022年3月末にかけて順次実施する。
SIP自動運転では仮想空間による安全性評価環境を構築するため、さまざまな交通環境下で実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを開発している。なお、10月15日まで参加者を募り11月以降、東京臨海部実証実験のフィールドである臨海副都心地域を中心に仮想空間における安全性評価環境※7を構築し、その有効性確認のため実証実験を追加実施する予定。
※1 SIP第2期「自動運転（システムとサービスの拡張）」 
SIP-adus
※2 狭域通信（V2I） 「Vehicle-to-roadside-Infrastructure」の略でITS無線路側機から信号情報を車両へ配信する通信方式。
※3 公衆広域ネットワーク（V2N） 「Vehicle-to-cellular-Network」の略で基地局から配信された情報ネットワークを用いて車両と通信を行うもの。
※4 車両プローブ情報 走行する自動車から送られてくる位置情報や交通情報のこと。
※5 ODD 「Operational Design Domain」の略で自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件のこと。
※6 22機関 
参加機関（60KB）
※7 仮想空間における安全性評価環境 参加者募集：
「東京臨海部実証実験（シミュレーション体験）」の参加者募集について