ルネサス:モビリティ、UPS、蓄電などの高電圧システムに向けて、マルチセル対応バッテリフロントエンドIC「RAA48920x」を発売

ルネサス エレクトロニクスは、電動スクータ、蓄電、高電圧パワーツールなどに搭載される大型で高電圧のバッテリパック用バッテリマネジメントシステム(BMS)に向けて、マルチセル対応バッテリフロントエンド(BFE)IC「RAA48920x」を発売、量産を開始した。

 新製品は、最大200 mA+の高速でフレキシブルな外部セルバランス制御をサポート。ホットプラグ時の最大許容電圧は62Vで、大容量バッテリパックの高速充電と、高効率な電池管理を実現する。

 ルネサスのモビリティーインフラ・IoTパワー事業部、事業部長のAndrew Cowell氏は、次のように述べている。
「BMSはバッテリパックの『頭脳』のような働きをするものです。データセンタでのUPSなどBMSの利用拡大に伴い、より高電圧で大容量のバッテリパックに対応可能な高性能ICへの需要が急激に増加しています。BFEはBMSに不可欠なものであり、当社では性能と柔軟性を備えた高集積の新ICとして、RAA489206とRAA489204を開発しました。これにより、ユーザはモビリティ、UPSバックアップ、蓄電などの成長市場向けの堅牢でコスト効率の高いバッテリシステムの構築やその設計プロセスの簡素化を、これまで以上に容易に行うことができます」

 RAA489206は多セルで厳しい温度環境での利用が想定されるモビリティ用途向けに設計されており、4~16セルのバッテリパックに対して、ハイサイドバッテリ保護と監視を行う。RAA489204は、従来の製品と比較してデバイス間通信の高速化によるデイジーチェーン動作の向上と、診断機能の強化に加えて、UPSシステムやグリッドバックアップ、その他の蓄電システムで要求される高電圧・多セル条件下でのセルバランスに対応している。

 高集積の新製品により、設計サイクルが簡素化し、ユーザのシステムBOMコストの削減が可能。従来数か月単位でかかっていた設計とBOMの選定時間を数週間にまで短縮可能。また、広範な自己診断機能を搭載しているため、安全性能の向上、ファームウェアの負荷軽減、安全基準を満たすための設計負担が軽減される。ルネサスの従来のBFEデバイスとはピン互換性があるため、設計サイクルをさらに簡素化でき、ユーザは新製品に短時間でシームレスに移行できる。

RAA489206の主な特長

・4~16セルに対応
・内部(10mA)および外部(200mA)のセルバランス制御をサポート
・動作電圧範囲:12V~55V、電圧測定精度+/- 10mV
・最大20cm2の基板面積を削減可能
・ローサイド電流検出測定
・ハイサイド充電/放電FETバッテリ保護

RAA489204の主な特長

・動作電圧範囲:10V~65V、セル電圧測定精度+/- 10mV、パック電圧測定精度+/-190mV
・6~14セルに対応。112セルシステムにおいて、すべての電圧、温度、診断を10ms(ミリ秒)以内に測定しリードバック可能
・内部および外部FETによるセルバランス制御をサポート
・最大6個の外部サーミスタ入力対応
・堅牢で低電力(通信時間が10%アクティブの場合に通常1mA)のデイジーチェーン通信
・ICは最大30個までスタック可能

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