2気筒ずつセットになったエンジン2基が連なって配置され、必要に応じて2/4気筒運転を行なうIAVの「Inline 2+2 cylinder switch in」方式のコンセプトエンジン。フライホイール側の2気筒は常時駆動され、運転状態に応じて後方の2気筒が参加する仕組みである。
カムシャフトは4気筒分の長さのものが吸気/排気バルブにそれぞれ1本のDOHC。気筒当たり4バルブである。カムシャフト駆動はチェーンで行なわれ、クランク軸先端にフライホイールがある。前2気筒と後方2気筒はクランク軸が分離されており、クランク軸と平行なバランサーシャフト兼用軸とはスパーギヤでつながっている。組み合わせる変速機についての説明はないが、通常の変速機だけでなく電動モーターと組み合わせたハイブリッド仕様も可能だとIAVは提案している。
アイドリングと発進は2気筒で行なわれる。2気筒にすることでアイドリング時のフリクショントルクは約4Nm減るそうだ。トルクが必要になったら、クランク軸と平行に位置した軸の中央にあるクラッチをつないで4気筒運転に入る。詳細は不明だが、おそらく、排気量を半減させて高負荷域を使い、燃費の悪い領域を避けるねらいだろうか。6000rpmで2気筒運転すれば、フリクショントルクは4気筒比で約6Nm小さくなる。想定しているのはガソリン直噴NAエンジンだという。
興味深いのは、2気筒ずつのクランク位相が同じ点である。2気筒そろって上下する。点火は360°位相になるが、機械運動としてはアンバランス成分が出やすいだろう。また、スライドカムを採用し、リフトは2~3段階に切り替えられる。いままでに見たことのない独創的な気筒休止エンジンだが、IAVに50%を出資する大株主はVWであり、もしかしたら……という思いも頭をよぎる。ぜひとも実物を拝見してみたいエンジンである。