【海外技術情報】GM:Vacuumschmelze(VAC)とともにEVの成長を推進する永久磁石工場をアメリカに新設

GM’s 255-kW, permanent magnet EV motor will be used for performance all-wheel drive and rear-wheel drive applications.
GMが、アメリカ本国におけるEV生産の持続可能でスケーラブルなサプライチェーン構築に向けて、大きな一歩を踏み出した。ドイツ企業のVACとともに、GMの「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を使用する12以上のモデルで使用される電気モーター用永久磁石を製造する工場をアメリカに建設する計画を発表した。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

当連載でも何度か紹介しているように、GMは2025年までに「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を採用したEVをグローバルで30車種以上、100万台発売する計画を発表している。ここで使用されるドライブトレインが「アルティウムドライブ」だ。電気モーターとシングルスピードトランスミッションとを組み合わせて、「アルティウムバッテリーセル」により生み出された電力により駆動される。

「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」の構成は徐々に明らかにされており、高性能モデルとオフロードモデルとを含めて、前輪駆動、後輪駆動だけでなく、全輪駆動にも適用できるとされ、5つのドライブユニットと、3種類の電気モーターが発表されている。(詳細は過去記事参照 https://motor-fan.jp/tech/article/5727/)。

 今般発表された新工場で生産するのは「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を採用するEVが搭載する予定の電気モーターで使用する永久磁石である。VACとは1923年にドイツで創業されたVACUUMSCHMELZEの略称。同社は、希土類永久磁石や誘導部品、それに高度な磁性材料の世界的メーカーであり、永久磁石については西半球における最大のメーカーである。

新工場では現地調達した原材料を使用する

 GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるシルパン・アミン氏は以下のように述べた。

「私達は北米において、強力かつ持続可能な、原材料からコンポーネントに至るEV生産サプライチェーンを構築して、EV市場における成長を成し遂げます。VACとの協力は、販売だけでなく生産においても北米のEV業界をリードする、という目標を達成するのに役立つ、大きな前進と言えるものです」

 またVACのCEOであるエリック・エッシェン博士は以下のように述べた。

「電化される世界への旅路でGMと協力できることに興奮しています。当社の永久磁石部門は、西半球で唯一の希土類永久磁石の工業規模の生産者です。GMのサプライチェーンにおいて、信頼できる規模と充分な経験をもたらします。当社の磁性材料における深い知識と、自動車の電化技術に関する広範にわたる専門知識は、よりクリーンなグローバルな未来を可能にします」

 新工場では現地調達の原材料を使用する予定であり、だからサプライチェーンの安定性と持続性とを担保できる、というわけだ。

 この工場は2024年に生産を開始して、新たな雇用を創出することも期待されている。施設の場所は後日発表される。完成した磁石はGMの「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」搭載EV用の電気モーターを製造する工場に配送される。既に覚書(MoU)は完成しており、両社は2022年初頭に最終合意を締結する予定である。

GM’s 180-kW, permanent magnet EV motor will be used for front-wheel drive and all-wheel drive applications.

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著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…