当連載でも何度か紹介しているように、GMは2025年までに「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を採用したEVをグローバルで30車種以上、100万台発売する計画を発表している。ここで使用されるドライブトレインが「アルティウムドライブ」だ。電気モーターとシングルスピードトランスミッションとを組み合わせて、「アルティウムバッテリーセル」により生み出された電力により駆動される。
「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」の構成は徐々に明らかにされており、高性能モデルとオフロードモデルとを含めて、前輪駆動、後輪駆動だけでなく、全輪駆動にも適用できるとされ、5つのドライブユニットと、3種類の電気モーターが発表されている。(詳細は過去記事参照 https://motor-fan.jp/tech/article/5727/)。
今般発表された新工場で生産するのは「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を採用するEVが搭載する予定の電気モーターで使用する永久磁石である。VACとは1923年にドイツで創業されたVACUUMSCHMELZEの略称。同社は、希土類永久磁石や誘導部品、それに高度な磁性材料の世界的メーカーであり、永久磁石については西半球における最大のメーカーである。
新工場では現地調達した原材料を使用する
GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるシルパン・アミン氏は以下のように述べた。
「私達は北米において、強力かつ持続可能な、原材料からコンポーネントに至るEV生産サプライチェーンを構築して、EV市場における成長を成し遂げます。VACとの協力は、販売だけでなく生産においても北米のEV業界をリードする、という目標を達成するのに役立つ、大きな前進と言えるものです」
またVACのCEOであるエリック・エッシェン博士は以下のように述べた。
「電化される世界への旅路でGMと協力できることに興奮しています。当社の永久磁石部門は、西半球で唯一の希土類永久磁石の工業規模の生産者です。GMのサプライチェーンにおいて、信頼できる規模と充分な経験をもたらします。当社の磁性材料における深い知識と、自動車の電化技術に関する広範にわたる専門知識は、よりクリーンなグローバルな未来を可能にします」
新工場では現地調達の原材料を使用する予定であり、だからサプライチェーンの安定性と持続性とを担保できる、というわけだ。
この工場は2024年に生産を開始して、新たな雇用を創出することも期待されている。施設の場所は後日発表される。完成した磁石はGMの「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」搭載EV用の電気モーターを製造する工場に配送される。既に覚書(MoU)は完成しており、両社は2022年初頭に最終合意を締結する予定である。