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ベースは1994年式の最終型Vスペック!
ドラッグレース時はフルブーストで900馬力オーバー
この美しいBNR32は、GT-Rチューニングの名門“ガレージザウルス”が手がけた究極系のドラッグ仕様(ベストタイム:8秒9)だ。
オーナーはこのBNR32を1994年に新車で購入し、ステップアップを積み重ねていくうちにフルチューンと呼べる仕様まで進化したそう。幾度となくOPTION誌などに登場した名物チューンドのため、記憶に残っているユーザーも少なくはないはずだ。
エンジンは腰下にHKSのステップ3キットを使ったRB26改2.8L仕様とされ、ドラッグレースを想定した加工が施されたヘッドには、同じくHKSのVカムシステムステップPROが組み込まれる。そこにセットされるタービンはT62R。最大ブースト圧2.1キロ時に、900psオーバーを発揮するというから驚くしかない。
冷却系はインタークーラーがARC製、オイルクーラーにはトラスト製を使用。マフラーはザウルスオリジナルのチタンモデルだ。
車高調はテインをベースにしたザウルススペシャル。アーム類はニスモ製に交換され、セッティングの幅を広げている。フェンダーはフロントがダクト付きの社外品で、リヤは純正加工で拡幅。ワイド化されたフェンダーに合わせて注文したという深リムのホイールは、往年のパナスポーツC5C2(F10.75J R11.5J)だ。
ブレーキはフロントがエンドレス6ポット+370mmローター、リヤがエンドレス4ポット+340mmローターという組み合わせ。メインはドラッグだが、サーキット走行もこなせるブレーキ容量が与えられている。
室内は2名乗車仕様で、2脚ともレカロのフルバケットシートSP-Gを投入。ひと目でIパターン仕様と分かるミッションは、OS技研のRB26用6速シーケンシャルのOS-88だ。
メインメーターはスタックのマルチメーターに変更。センターのコントロールパネルもオーディオやエアコン操作パネルを全て取り払い、ブーストコントローラーやアテーサコントローラー、計器類などが並ぶスパルタンな仕様。
フルスポット増しが施された高剛性ボディにセットされているのは、ザウルス製作のワンオフロールケージ。ドンガラ状態とされたリヤセクションと同様のシルバー系カラーでペイントして統一感を高めている。
派手なエアロパーツは装着されておらず、基本的には純正ライクなスタイリングとされているが、グループAマシンをオマージュしたナンバー7製ミラーやアブフラッグ製のディフューザーがエクステリアを引き締める。
ヘッドライトは価格高騰中のN1仕様。「自分がこのヘッドライトを買った頃は、街の日産ディーラーで普通に買えたんだけどね…」とはオーナー。
四半世紀以上という長きに渡ってBNR32を所有し続けるオーナーだが、その理由については「他に気になるクルマが無かったから」とシンプルかつ分かりやすい答えが返ってきた。生涯の伴侶とも言えるようなクルマと出会えること、それはクルマ好きにとってこれ以上無いほど幸せなことではないだろうか。
PHOTO:土屋勇人(Hayato TSUCHIYA)
●取材イベント:HARDCORE TRACK MEETING