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非力なNAマシンだからこそエアロダイナミクスに拘る
サーキットアタッカーが追い求めた珠玉の筑波スペック!
S2000の筑波NA最速タイムを目指し、マシンメイキングの熟成を進めてきたオーナーマシンの登場だ。元々このクラスはASMの独壇場だったのだが、長きに渡って誰も破れなかった57秒398というタイムをこのマシンがついに更新(57秒376)。以後、ASMと最強S2000の座に賭けた熾烈な戦いを繰り広げている。
エンジンはK-TECの2.4Lコンプリートエンジンである“F240-VLP”を搭載。圧縮比は12.3で最高出力は約340ps、レブリミットの8500rpmまで淀みなく吹け上がるスペックだ。なお、一度は4連スロットル化も試したそうだが、レスポンスが良すぎて逆に乗りづらさが出たため、シングルスロットル仕様に戻したそうだ。
エンジンマネージメントはF-CON Vプロを採用。マシンメイクを依頼しているアウトストラーダにて綿密な現車合わせセッティングを行なっている。
室内はドライカーボンドアパネルやカーボンダッシュボード、小型のATL安全タンクの投入により軽量化を推進。車重は1029kgまで絞り込まれている。ミッションはクワイフのシーケンシャルドグ。ギヤ比も筑波に照準を絞って合わせ込んだスペシャル品だ。
足回りはエナペタル車高調とハイパコスプリングの組み合わせで、バネレートはフロント18kg/mm&リヤ19kg/mmと柔らかめのセットだ。ファイナルは4.7、デフにはクスコのタイプMZ-LSDを組み込んでいる。
エクステリアは、筑波仕様の正装ともいえる大型のエアロパーツが目立つスタイルだ。「NAでも絶対に効果的」という空力パーツは、フロントがアミューズ製フロントバンパー+アンダー鈴木プロデュースのアンダーボード、リヤがボルテックスのダブルエレメントウイングというセットアップ。フェンダーもワイド化されており、前後にアドバンA050の295/35-18サイズを収めている。
この車両で注目すべきは、ずばり旋回スピード。データを分析したところ、バックストレートの最高速は174km/h程度にも関わらず、セクター3のタイムは9秒8を刻む周回があるなど、コーナリングが異常に速いのである。ドライカーボン製の空力パーツを含め、旋回性能を徹底重視したメイキングの効果が証明された結果だ。
元々はディレッツァチャレンジなどに参戦していたが、筑波の盛り上がりっぷりに惹かれて飛び込んだというオーナー。最速を賭けた戦いはまだまだ続く。