「ボルクレーシング頂上決戦」新世代のCE28Nをガチでテストしてみた

TE37 SAGA SLとCE28N-Plus、どっちが上だ!?

独占サーキットテストで最強ホイールを見定める

「TE37の公式ライバル」。そう書くとどこかのアイドルグループみたいだが、TE37と並ぶスポーツホイールの顔であるボルクレーシング「CE28N(コンペティション・エボリューションの略、5.5J×14で重量が2.8kgであったのが名前の由来)」が24年振りのフルモデルチェンジを果たし、「CE28N-Plus 」に生まれ変わった。

1999年、TE37で培った型鍛造製法を駆使して作られた10本スポークホイールは、剛性/強度を突き詰めつつ、「強さ」に軸を置いたTE37に対してCE28Nは「軽さ」を重視。

持久体力が必要な耐久レースよりも、スプリントレースやジムカーナなどの競技向けで、マルチスポークゆえに応力分散(構造体的)に優れ、軽さが生む高い運動性が魅力。瞬く間にチューニングシーンでTE37と並ぶ存在となったのは記憶に新しい。

設計の段階からトータルバランスに優れたCE28Nであったが、ここ10年のスポーツカーの動力性能アップ、安全基準の厳格化による重量増は著しく、それを受け止めるためにタイヤも幅が拡大し、グリップ力も各段に向上するなど、ホイールへの負荷は厳しさを増している。

そのため、ここ数年、改良レベルではないアップデートが検討されていた。簡単に言えば、TE37がTE37 SAGA S-plusへと変わったのと同じように、この先に20年、スポーツホイールの最先端を走り続けるため、ホイールの基本性能を高める必要に迫られたというわけだ。

CE28N-plusのコンセプトはTE37SAGA S-plusと同じく、「デザインは変えない、性能は変える」。TE37同様に根強いファンが多いゆえに、現代のスポーツカーのパフォーマンスを受け止めるための要求性能は引き上げながら、遠目で見た時の原型デザインは変えないことに拘った“グレートマイナーチェンジ”である。進むべき方向は明確だが、そうした制約により、開発はかなり難航を極めたことは想像に難くない。

ちなみに、デザインこそ踏襲しているが、変更箇所は10カ所にも及ぶ。例を挙げるとスポークの断面積を増やし、リムとスポークの結合部を拡大。リムウェル部分にウェーブ形状のリブを設けて体積を稼ぎ、アウターリム形状(肉厚増し)も変更。ブレーキの大径化に伴い、リバースリムからノーマルリムに変更しているのも注目ポイントだ。

また、先行でフルモデルチェンジを行い、最新の解析技術が惜しみなく投入されたTE37 SAGA/SAGA S-Plusの知見も活かされており、インナーリム/ハブの取り付け面については同形状を踏襲するなど、性能にとことん磨きを掛けている。

ただ、構造体として相まみえない2本。性能的にどちらが優れているかについては、RAYSのシミュレーションによると剛性面はイーブン。強度はTE37 SAGA S-plusが高く、重量は1本あたり500gほどCE28N-plusが軽量。慣性モーメントの面で言えば有利だ。

CE28Nで懸案事項となっていた細身のスポークゆえに生じるディスクの歪みは、スポーク断面積のアップと取り付け結合部の拡大、リム・ウエル部の形状変更、アウターリムの見直しなどで、TE37 SAGA S-plusと同等を担保することで解消。

TE37 SAGA S-plusとCE28N-plusの基本性能はかなり近づいていると言える。総合的には寛容性の高さはSAGA S-plus、コントローラブルな性能を重視する人はCE28N-plusとレイズでは捉えている。

「ホイールはクルマの一部品となることで初めてその真価が問われます。ドライバーが右に切る、左に加速する、止まる時などいずれの動きに対して、ホイールは忠実であることが大事です。仮にホイールが歪んでしまったら、タイヤも意図したのとは異なる方向に動くので、ドライバーは気持ち悪くて仕方ありません。各ホイールともにクルマの性能を100%発揮するための理想的な強度、剛性を追求しています」と、ボルクレーシング企画部チーフの渡邊さん。

データ上の基本性能は微差であるCE28N-plusとTE37 SAGA S-plus。では、実際に走らせてその差を感じることができるのか…。それを調べるために、オリジナルのチタンマフラー/車高調、クスコの機械式1ウェイLSDが装着されたジェイズレーシングのFL5型シビック・タイプRを用意し、セントラルサーキットで井入宏之選手による走行テストを行った。

比較するホイールは、CE28N-plusとTE37 SAGA SL。SAGA SLはSAGA S-plusに対して剛性/強度よりも軽量性が重視されたホイールで、重量差はCE28N-plus比で200g増/1本にまで抑えられている。

ホイールサイズは共に前後18×9.5Jインセット45で、これに265/35R18のTOYOプロクセスR888Rを組み合わせる。最初にTE37 SAGA SL、次にCE28N-plusと順にトライ。果たしてどのようなジャッジが下るのだろうか。

「何も聞かずに乗ったら、『CE28N-plusの方が軽いですか!?』と誰もがコメントすると思う。力がしっかりと加わってからの剛性については違いが分からないけど、ステアリングを切り込んでから、自分自身に挙動が伝わるまでが非常にレスポンシブ。旋回時だけでなく、縦回転方向(転がり)も軽さを感じます。路面からの入力に対しては硬質な感触を伝えてくるけど、ギャップなども一発で収束するので不快さは皆無。ホイールの基本性能は2本ともかなり高いレベルにあり、互いに不満はないけれど、このフィーリングの良さでCE28N-plusを選択する理由は十分!」と井入選手。

例えば、アンダーが出たとしても姿勢が一定で無駄な動きがなく、タイヤからのインフォメーション性にも優れており、セッティングの変更を行う場合にも有利だという。データ上、強度/剛性についてはTE37 SAGA SLが上なのに、CE28N-plusの方が、よりダイレクトなフィーリングを得られるのはなぜか。

「恐らく継目、結合の部分だと思う。そこがしっかりしているから伝わる時間が短く、レスポンスが良い。そして、何もかもレスポンスが良いから動きが軽く感じ、蹴り出しも良くなる。正直に言えば、デザインの好みはさておき、性能ではCE28N-plusはTE37 SAGA SLを全ての面で凌駕している。TE37 SAGA S-plusが出た時もそうですが、見た目は今までと変わらないけれど、『履いたら良くなっていた』というのが、ファンにとっては嬉しく、安心材料でもある。当然、新作が出るとならば、期待感もありますし。今回のCE28N-plusもまさにそれで、TE37 SAGA S-plusを横目で見ながら悔しい思いをしていたCE28Nのファンも、これで留飲を下げるんじゃないかな!?」と井入選手。

「今回のテストを通じて、単体の重量ではなく、重量配分の違いでフィーリングが大きく変わることを改めて理解できました。CE28N-plusはセンターにマスを集中させ、できる限り軽くすること。TE37よりもスポーク間が狭いので回転体としてバランスが良いので、回転方向の転がり抵抗に優れるのだと思います。こうしたことを鑑みても、アルミホイールは機能部品であり、セッティングパーツと言えるのではないでしょうか?」と渡邉さん。

数あるホイールメーカーがある中で、レイズに求められているのは「期待」だ。コンセプト・イズ・レーシングをコンセプトとした純日本製の高品質なホイールの提供を貫き、それをオールレンジ、ワイドバリエーションで展開できるメーカーは数少ない。

また、最新技術を駆使して性能だけでなく、他には真似できない加工や彩りを添えるなど、あらゆるニーズに応えるために常に進化している。性能を研ぎ澄ませたトップブランドのボルクレーシングとなれば尚更で、「次はどのようなものを見せてくれるのか⁉」と買う前から期待してしまうのは当然のことだろう。

「最新のボルグが最強のボルク」。CE28N-plusには最先端の技術と開発陣の拘り、そして、ファンに最高の商品を提供したいという思いが込められている。

PHOTO:浦野浩之/REPORT:山崎真一
●問い合わせ:レイズ TEL:06-6787-1110

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【関連リンク】
レイズ
https://www.rayswheels.co.jp

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