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オールドVWはみな兄弟!?
ニッポン的欧米車改造事情を追う
VWで旧車と言えばビートルなどの空冷モデルが代表的だったが、水冷モデルのゴルフも初代デビューが1974年と、もはや旧車と言ってなんら差し支えない。そのゴルフは3世代目のゴルフ3まで共通した部品を多く使用したり、各世代に同じ骨格を持つ派生モデルが数多くあるのも特徴だ。
そのショーケースとして取材したのが、新潟市の“84ベース”で製作されたジェッタとキャディという異色の組み合わせ。ジェッタはゴルフのセダン版(2ドアと4ドア)で、キャディは日本では当時から並行輸入しか存在しない貴重なピックアップトラックだ。世代的にはジェッタがゴルフ2、キャディがゴルフ1と同世代である。
キャディは直4のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが設定され、排気量も1.5L〜1.8Lまでと幅広かった。
だが、取材車はエンジンの腰下がADY型というゴルフ3の2.0ブロック、クロスフローが採用されたゴルフ4のAPK型SOHCシリンダーヘッドに換装され、トランスミッションもゴルフ3GTIの5速MTに置き換えられている。
いわゆる純正スワップだが、注目すべきは、その搭載の容易さである。エンジンマウントはゴルフ1用を流用し、ミッションマウントだけワンオフで製作。だが、もしMTがGTI用でなければそれも作る必要はなかったそうだ。
吸気系には、84ベースと同じ新潟市にある“SSワークス”で製作したインマニを介してFCRキャブレターを搭載。キャブならではのサウンドと加速感は刺激的だ。
ヘッドライトは北米仕様の角型、フロントバンパーはゴルフ1前期型のスチールバンパーに変更されている。フロントにヴァイテック製の車高調を備え、ストローク確保のためアッパーの位置を30mm嵩上げ。リヤはリーフスプリングをひっくり返してローダウン済みだ。
ホイールは、OZエグゼクティブの15インチディスクをノーマルフェンダーに合わせた16インチリムにリバレル。幅はフロントが7.5J、リヤが8.25Jだ。
インテリアはオールドスクール的な仕上がり。ヘッドレストレスのバケットシートは今時のモデルと比べるとホールド性は低いが、どうしても譲れないポイントだったそう。
ゴルフ2と同世代のジェッタの方も基本的に話は同じ。エンジンルームには、APKヘッド+ADYブロックの組み合わせで純正スワップを実現。搭載角度を変更するためにワンオフのマウントを使用しているが、その必要がなければこちらも純正マウントをそのまま利用できる。MTはローギヤードとなるディーゼル車用を使用。
OERのスポーツインジェクションをLINKのフルコンで制御するモダンなセッティングを採用。COXのエキマニやMSDの点火コイルなども使用している。
エクステリアは、2ドアのジェッタをベースにサンタナのフロントマスクを移植。アウトシュポルト製のブリスターフェンダーの上に汎用オーバーフェンダーを重ねたオリジナルフェンダーも装着されている。
足回りはビルシュタインの車高調でローダウンし、フロントにロールセンターアジャスターも装着。タイロッドは本来の上刺しから下刺しに変更して、シャコタンでもきっちり踏める足を作り上げているのだ。
佐久間さん自身「どうしてもこれが履きたかった」という13インチのATSタイプAは前後8.0J+1。オリジナルフェンダーは、この幅に合わせて製作されたものだ。センターキャップには寝そべる佐久間さんのイラスト入り。
OMPのラリーステアリングとレカロのSR3アルティメイトエディションが存在感を主張する室内。追加メーターの配置方法やメインメーターにビルトインされたスタックのタコ(8000rpmスケール)など、エクステリアの空気感を崩さないメイキングが展開されている。
84ベース的には、流用の効く年代の中で排気量と流通量が多いADY型ブロックと、ゴルフ4からクロスフローに変更されているためヘッドはAPK型を組み合わせるというのが最適解。
その上で、キャディはキャブ仕様、ジェッタはスポーツインジェクション仕様と、全く異なる吸気&燃料系を構築。それぞれの用途や遊び方に合わせたチューニングがしっかり盛り込まれているのである。
●取材協力:84 BASE Motor Works 新潟県新潟市西区寺尾台2-8-4 TEL:025-269-8484
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84ベースモーターワークス
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