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どちらも純正の約3倍以上という驚異的なパワーアップ・・・
ワンモーションのタマゴ型フォルム&リヤエンジン・リヤドライブのパッケージが話題になった三菱アイ。どちらかというとマニア車に属するが、そんなアイにリッターバイクのエンジンをスワップしてしまったのが今回の主役。しかも2台である。それぞれの細部に迫っていこう。
175馬力の隼エンジン換装フルパワードリフト仕様!
フルタウンターを当てながらドリフトする姿が異様すぎるシルバーの三菱アイは、大阪府豊中市に店舗を構える“広栄自動車”の原代表が趣味で製作した魔改造エンジョイドリフト仕様。換装したエンジンは、スズキGSX1300R隼に搭載される175psの直4ユニット(1300cc)だ。
「アイってMRだから運転席周りの車内スペースが広いんですよ。助手席周辺にエンジンを載せる場所が自由に見つけられそうだと思って」とは原さん。
エンジンは助手席位置に縦置きで搭載。これは「FRのコントロール性とミッドシップのトラクション性を両立させたい」という想いから導き出したレイアウトだ。EXマニはAE86用の60φを溶接加工してセットしている。
ミッションは隼の純正を使っているが、当然のことながらバイク用ミッションのためリバースギアが存在しない。その対策として、プロペラシャフト(分割式)間にクワイフ製バックギアボックスを組み込んだ。金色のパーツがバックギアボックス本体だ。
駆動系のメイキングも強烈だ。クワイフ製バックギアボックスから延びたプロペラシャフトはギア(スプロケット)に繋がり、バイクのようにチェーンを介してホーシングに駆動力を伝達する仕組み。ちなみに、ホーシングは三菱の軽トラ「ミニキャブ」のものを流用。スプロケットは工業用の汎用品、チェーンは隼用を長さ調整してセットしている。
足回りも全てワンオフ。ドリフトに重要な切れ角は、延長加工ロワアームを投入しつつナックルもショート化することで大幅アップ。さらにフロントサスペンションは、容量を稼ぐためにツインダンパー化。衝撃的なカスタマイズだが、思ったことは実際に試して判断するのが原代表のチューニング理論なのである。
今後は軽量化を中心にブラッシュアップを図っていく予定とのこと。見所が多すぎて困惑するくらいだが、理想を求めて我が道を突き進む原さんのカスタム魂には感服だ。
ZX-12Rニンジャのエンジンを積んだ走行会仕様!
そしてホワイトの三菱アイは、隼のライバルでもあるカワサキZX-12Rニンジャの直4エンジンを搭載したスポーツ走行仕様だ。オーナー兼ビルダーの“ぶちょうさん”は、以前ZX-12Rエンジンを積んだ軽トラ(キャリィ)を製作したことがあり、その時のノウハウがフル投入されていることは言うまでもない。
「知人からアイを譲ってもらった時に、キャリィ同様にニンジャのエンジンを換装したら楽しいだろうなって考えまして。原さんがバイクエンジン仕様のアイを製作するという話も聞いていたので、私も自分なりの方法で作ることにしたんです」と語るぶちょうさん。
使用エンジンは、ZX-12Rマレーシア仕様の181psフルパワーモデル。搭載位置は、原さんの車両が助手席マウントだったのに対し、このアイは後部座席にワンオフのエンジンマウントを介して搭載する。
エアクリーナー仕様のインジェクションが迫力を醸す。
駆動系は、大型ダンプの油圧用シャフト(プロペラシャフトとして利用)をフロントスプロケットに溶接することで、ZX-12Rの駆動力をそのまま駆動輪に伝達する仕組みだ。エンジン搭載位置は、ホーシングに対してプロペラシャフトが正位置になるよう調整される。
ホーシングはスズキのエブリィ用で、サブフレームやアーム類など純正パーツを使用しつつ溶接加工を駆使することで各部の辻褄を合わせている。
とてもバイクエンジン搭載の魔改造仕様とは思えない室内。ミッションはZX-12R用だが、リンケージ&シフター加工等で位置が適正化されているため、ポジションに違和感はない。
メインメーターはZX-12Rの純正をインストール。1万3000rpmスケールのタコメーターが刺激的だ。なお、マネージメントはエンジン関係のみをZX-12R純正ECUが担い、それ以外はアイ純正ECUで駆動させるシステムとしている。
ちなみに、現在ぶちょうさんは電動パワステの投入を目論んでいるそうな。目指すは快適なサーキット走行会スペック。原さんのアイとはまるで方向性が異なるが、どちらも遊び心溢れる走り最優先の魔改造スペックだ。
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