「OPTION史上“最も高価”な最高速テストを振り返る」フェラーリF50やSLRマクラーレンが全開アタック!?

空前のスーパーカー直接対決企画!

今回紹介するのは、2007年にOPTION誌とドリームカーTVが合同で開催した伝説的な最高速テストだ。「スーパーカーは実際に何キロ出るのか」という素朴な疑問を解決するために、フェラーリF50を始めとする5台の超絶スーパースポーツを用意。アタックドライバーにはレーシングドライバーの新田守男選手を迎え、前代未聞の全開アタックを敢行したのである。(OPTION誌2007年2月号より)

フェラーリF40

未だ色褪せぬ伝説の跳ね馬

1987年にフェラーリ創業40周年を記念して製作されたスーパースポーツ。エンツォ・フェラーリが生前自ら発表した最後のモデルであるF40は、歴代モデルの中でも未だ根強い人気を誇る名馬だ。フェラーリ伝統の鋼管スペースフレームのミッド部に、478psを絞り出す至宝のV8ツインターボユニットを搭載したMRで、車重は1100kg。メーカー公称最高速は324km/hと、恐るべき実力を持つ。

MAX SPEED:307.4km/h

「メーター読みで280km/hくらいだったから、まさか300km/hを超えているとは思ってもいなかった。車体が安定しているから体感的な速さを感じなかったんだろうね。F40の乗り味を一言で説明するなら、一昔前のレーシングカー。エンジン特性は、フェラーリならではのフリクションの少ないスムーズな回り方をしてくれるんだけど、6000rpm以降のパンチ力はイマイチな印象。とくに5速に入れてからトップエンドにかけては、パワー不足で伸びていかないんだ。ここから先を狙うなら、やっぱりパワーチューニングが必要になってくるね。空力性能が高いだけに目的を最高速に絞って製作すれば、かなり速くなるんじゃないかな」(新田)

ENGINE SPEC
エンジン型式:F120A
エンジン形式:V型8気筒DOHC+ツインターボ
ボア×ストローク:82.0×69.5mm
総排気量:2936cc
圧縮比:7.8
最高出力:478ps/7000rpm
最大トルク:58.5kg-m/4000rpm

フェラーリF50

10年の進化は計り知れない

F1で培われたノウハウを全て注ぎ込んで誕生したF50。カーボンモノコックタブを基本構造体とし、サスはビルシュタイン製ダンパーが水平にマウントされ、プッシュロッドを介してダブルウィッシュボーンへと伝えられるというレーシングマシンさながらのシステムを採用している。ミッド部に鎮座する自然吸気のV12ユニットは、1990年のフェラーリF1に搭載されていたエンジンをストリート用へと改良したものだ。

MAX SPEED:340.0km/h

「V-BOXの調子が悪くて計測が安定しなかったみたいだけど、メーター読みで340km/hをキッチリと振っていたよ。体感的には350km/h近かったかもしれない。それにしてもF40と比べると、シャーシ剛性から高速域での安定性、はたまたブレーキ性能まで、完全に時代の差を感じる。低回転域での加速力は思ったほどでもないんだけど、高回転での伸びはかなりのもの。ほとんどレーシングカーだ。足回りも完成度が高くて、270km/hからでも安心してバンクに突っ込むことができた。こんなの売っちゃって良いの?ってくらい凄い戦闘力を秘めた市販車だ。さすがフェラリーリだね」(新田)

ENGINE SPEC
エンジン型式:F130A
エンジン形式:V型12気筒DOHC
ボア×ストローク:85.0×69.0mm
総排気量:4698cc
最高出力:520ps/8500rpm
最大トルク:48.0kg-m/6500rpm

メルセデスベンツ SLRマクラーレン

無敵のF1テクノロジー

メルセデスとマクラーレンが共同開発した問答無用のスーパースポーツ。ボディモノコックは、カーボンコンポジット材を採用することで軽量ながら圧倒的な高剛性を実現。ミッションはシフトの変速スピードを変更できる最新の5速ATを採用し、ブレーキにはC-BRAKEと呼ばれる炭素繊維強化セラミックディスクにF8ポット、R4ポットを組み合わせる。駆動方式はFRでサスはダブルウィッシュボーンとなる。

MAX SPEED:330.0km/h

「これも強烈に速い! 下から鬼のような大トルクが湧き上がってきて、信じられないほどの加速Gが全身を貫く。オーバー600psを絞り出すスーパーチャージャー仕様は凄いね。なにせ、メーター読み325km/hくらいまでは『えっ!?』って思っちゃうほどスピードが乗っていくんだから。ただ、そこから先は厳しかったかな。足回りの味付けは悪くないけど、バンク旋回中にフラフラして安定しなかったのが気になった。F50同様、V-BOXの調子が悪かったみたいだけど、メーター読みで330km/hまでは確認した。コンディションが良ければ、335km/hは出せそうな気がする」(新田)

ENGINE SPEC
エンジン型式:M155
エンジン形式:V型8気筒SOHC+スーパーチャージャー
ボア×ストローク:97.0×92.0mm
総排気量:5439cc
最高出力:626ps/6500rpm
最大トルク:79.5kg-m/3250〜5000rpm

BMW M5

比類なき“M”の戦闘能力

5代目5シリーズの頂点に君臨する文字通りのモンスターサルーン。V10ユニットと2ペダルMTの7速SMGというタッグは、1775kgの巨体をわずか4.7秒で100km/hまで加速させてしまう。今回登場するM5は、名古屋のレッドホットカンパニーによってチューニングされており、吸排気+ECUチューンによって最大出力は560psまでアップ。サスもクァンタムベースのオリジナル最高速スペックがセットされている。

MAX SPEED:303.8km/h

「参加車両の中で唯一の4ドアだったんだけど、想像以上に速い! 快適セダンでここまで伸びるとは正直思わなかった。とにかく車重があるから、他のマシンと比べちゃうとトルク感&パワー感は若干鈍いんだけど、重さを感じながらもグイグイ加速していく。7000rpm以降でもパワーは追従してくるし、完成度がとにかく高いよ。足に関しても言うことはないね。ストレートはもちろん、バンク内でも安心して踏んでいくことが出来たから。F40よりもトータルバランスは上だと思うよ」(新田)

ENGINE SPEC
エンジン型式:S85B50A改
エンジン形式:V型10気筒DOHC
ボア×ストローク:92.0×75.2mm
総排気量:4999cc
最高出力:507ps/7750rpm
最大トルク:53.0kg-m/6100rpm

ポルシェ911GT3 CUP

サーキットスペックの挑戦

ポルシェ911には様々なバリエーションが存在しているが、この911GT3カップ(タイプ997)は、GT3やGT2といったロードゴーイングモデルとは方向性が全く異なる、公道を走ることを前提としない完全なレース仕様だ。1120kgまでシェイプされたボディを持ち、ミッションには6速シーケンシャルドグを採用。ロールケージや6点式シートベルト、そしてセンターロック式ホイールなどまでが標準装備となる。

MAX SPEED:269.7km/h

「このポルシェは通常モデルとは違い、ミッションのギア比&ファイナルがサーキットレンジで設定されているから、最高速という意味では厳しかった。ストレート中盤くらいで6速8500rpmまで回って、そこでレブリミッターが効いちゃったんだ。だから、ギアを合わせてやるだけで300km/hは軽く超えてくるはず。エンジン特性は、低回転域は重たい感じだけど、中〜高回転にかけてはフラットで実に気持ち良く伸びていってくれた。当たり前だけど、空力も足も抜群に良いからバンク旋回中でも安定していたよ。ポルシェで最高速を狙うなら、GT3か、可能だったらカレラGTを用意してもらいたいなぁ」(新田)

ENGINE SPEC
エンジン型式:M96/79
エンジン形式:水平対向6気筒DOHC
ボア×ストローク:100×76.4mm
総排気量:3598cc
最高出力:400ps/7300rpm
最大トルク:40.8kg-m/6500rpm

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