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理想のチューンドF31を生み出すため流用&加工のオンパレード!
VG30DET改450馬力の心臓部も見どころだ
2ドアスペシャリティクーペとして1986年に登場したF31レパードは、1988年にマイナーチェンジ。トピックスは内外装がリファインされ、最上級グレードのアルティマにVG30DEの他、VG30DET搭載モデルが新たに追加されたことだ。これで、同じ3.0Lターボ(直6だが…)を載せる20ソアラに肩を並べ、最高出力では15ps上回る255psを誇った。
ここで紹介するF31は、そのアルティマ後期型がベース。ポート研磨を行い、東名1.5mm厚ヘッドガスケットが組まれたエンジンに、タービンが装着される側のEXマニのみブリッツ製に交換してK27をセット。
ちなみに、ノーマルでは装着されていないインタークーラーは、パイピングをワンオフ製作してBNR32純正を流用している。また、制御系はZ32エアフロにeマネージアルティメイトという組み合わせで、最大ブースト圧1.5キロ時に450psを発生する。
ミッションは元々4速ATの設定しかないのだが、Y31用ケースにS13の中身をドッキングし、第1プロペラシャフトにはF31で5速MTが用意されていた前期型XJ用を流用。さらに、マスターシリンダーとペダルはZ31用を使うことで、見事5速MT化を実現している。クラッチはOS技研ツインプレート、LSDは東名テクニカルトラックスだ。
足回りも流用のオンパレードだ。フロントはS13シルビア用のロアアームやテンションロッドを移植している。
全長調整式の車高調はブレイドS13用でフロント8kg/mm、リヤ6kg/mmのスプリングをセット。ブレーキは、前後キャリパーをボルトオン装着できるHCR32用に交換して、フロントにはHCR32用改4穴加工ローターがセットされる。
そんなエンジン&駆動系のチューニングと同じか、それ以上に目を引かれるのがエクステリアのメイキング。なんと言うか、F31なのにF31っぽくない表情を見せている。それもそのはず。フロントマスクの印象を大きく変えるヘッドライトからリヤコンビネーションランプ、マーカー類、エアロパーツに至るまで、何と全てオーナーが手がけているのだから。
一言「理想とするF31を作りたかったから」というが、他車種用パーツを巧みに組みあわせるセンスや、それをカタチにしてしまう技術力はハンパじゃない。
例えばヘッドライト。ゴルフIII用のヘッドライトを使って、ユニット本体が固定される中の黒いベース部分をFRPで製作。イカリングもワンオフで作り、外側のレンズはBMW5シリーズ用を加工流用している。また、LEDフロント&サイドウインカーも自作だ。
フロントバンパーも凄まじい。メーカー不明のC33用をベースとして、アンダー部はステップワゴン用をドッキング。そのままだと前後長が足りないため、サイド部分を20cmほど延長して違和感のないフィッティングを見せている。また、リヤバンパーも同じくアンダー部にY32用を加工装着している…といった具合なのだ。
組み合わされるホイールはワークマイスターS1。フロント8.0Jマイナス4、リヤ9.0Jマイナス10を履く。そのサイズもこれまでの経験から導き出されたものであって、オーナー「ステアリングラックが弱いんで、フロントに太いホイールを履くとトラブルが出がち。 9.0Jが限界ですよ」とのこと。
一方のインテリアは、オーナーが自作したというホワイトメーターパネルが印象的。このためにわざわざカッティングマシンを買ったとか。追加メーターはデフィ水温/油温/油圧計とリンクディスプレイ、ピボットブースト計が装着される。イタルボランテのステアリングにレノマのフロアマット&シフトノブが渋い。
シートには、表皮が本革とファブリックのコンビとなる限定モデル、レカロSR-ZEROを装着。「ノーマルがレザー内装なのでそれに合わせてみました」とオーナー。
もはや動態保存したくなるレベルの作り込みだが、オーナーはこのF31でドリフトからゼロヨンまで走りを楽しんでいるという。「いくら綺麗に作り込んでも、ちゃんと走れるクルマでなければ駄目」。自他ともに認める“熱烈なF31オタク”の、そんな考え方には大賛成だ。
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