「トーヨータイヤの戦闘力をプロ達が激白」プロクセスは想像以上に奥が深かった!?

レーサー&チューナーに聞く「プロクセス」の魅力とは!?

2023年12月13日に、鈴鹿サーキットで開催された初のサーキットイベント「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」。現場では、プロクセスアンバサダーの木下隆之選手、元F1ドライバーの中野信治選手、スーパーGT(GT300クラス)に女性ドライバーとして唯一参戦する小山美姫選手という3人のプロドライバーに加え、東海/関西エリアの有力チューナー達がプロクセスを履いたチューンドカーでフルコースを走った。最新モデルの実力いかほどのものなのか!? 早速、それぞれのインプレッションをお届けしよう。

木下隆之選手’s VOICE

GT-R(R35)/プロクセスR888RD(285/35R20)

トーヨータイヤのスポーツタイヤ開発は、ニュル24時間/NLS用(ニュルブルクリンク・ロング・ディスタンス・シリーズ。基本ドイツで開発し、日本で全てを統括しているエンジニアがドイツに出向いて開発、研究している)以外も、ドリフトなどのモータースポーツ用から市販車用まで、基本的に同じメンバーが開発しています。

ニュルでの経験をフィードバックする理由は明快です。あのステージは20kmを超えるロングコースなので、ホームストレートで晴れていても、あるコーナーでは雨が降っていたり…。路面状況が刻々と変わるんです。さらに、昼間と夕方の気温差も大きく、日本のサーキットのように“この温度帯で、このグリップで”というわけにはいかない。

つまり、求められるのは究極的な総合性能。路面が変わっても、気温が変わっても、そこそこのペースで走れる=80点をずっとキープできるタイヤが求められます。これって、市販タイヤと環境は同じですよね。市販のプロクセスは、これまでのレース経験がしっかりフィードバックされているので、最新モデルは非常にコントローラブル。そこが一番の魅力だと思いますね。

また、ニュルのレースはアマチュアの祭典でもありますから、非常にコースは混雑しています。コーナーを抜けた先にクルマが止まっていた…なんてことは当たり前。危険回避するシーンも多く、良きせぬ事態に対応できる懐の深さも重要な要素。そのあたりは今なお磨いています。

プロクセスは基本的に発熱性が良い。これはトーヨータイヤが国内で力を入れているD1GPなどのドリフト競技や、ジムカーナの影響が大きいかもしれない。サーキットでもインラップからグリップが出るので、よほどの場合を除いてタイヤウォーマーの必要はなく、タイムアタックの体制に入れます。グリップのピークは短いですが、そこから先の領域で急激にグリップ低下が起こるわけでもなく、ある程度のタイムを連続で刻めます。サーキット走行を長く楽しみたい人にはお勧めしたいですね。

個人的にプロクセスは過小評価されているように思います。とくにR888RDはグリップ性能という点でもトップブランドに負けないと思ってますし、タイムアタックで使ったら面白いんじゃないかな。

それと、何より、開発スタッフみんなが走り好き。国内では最も新しいプロクセススポーツ2なんかも、プレミアム系のタイヤだけど、しっかりスポーツしています。現場にいると、そういう熱い思いが詰まっていることをヒシヒシと感じます。木下に騙されたと思ってぜひ一度履いてほしい。きっとイメージが変わると思いますよ!

中野信治選手’s VOICE

WRX STI(VAB)/プロクセスR1R(265/35R18)

別のタイヤと比較したわけではないので、何とも言えない部分はありますが、全体のバランスが非常に整っているように感じました。

低速域でもステアリングを切れば素直にフロントが入っていきますし、高速域でもサイドウォールが硬すぎず柔らかすぎず、振動とか静粛性も抑えられていました。

その印象は連続周回しても変わらず、グリップ力が落ちる感じも少ない。ここがって、注文するところがないくらいまとまっていますね。その部分については少し驚きました。癖がないので、どのサーキットに持ち込んでも問題なし。オールマイティな特性で、街乗りからサーキットまで幅広く使え、非常に満足度は高いと思いますね。

小山美姫選手’s VOICE

BRZ(ZC6)/プロクセスR1R(235/45R17)

アウト/インを含めて3周を1セットで繰り返し走らせましたが、まずタイヤの温まりが非常に早い。ターゲットレンジにすぐ来ていることが伝わりました。

今回は同乗走行ということもあり、やや抑えての走行だったのですが、タイヤのタレもなくグリップは終始安定していました。個人的にスポーツタイヤはサイドウォールの変化が気になるのですが、プロクセスR1Rは硬すぎず柔らかすぎない絶妙な設定。これは車重とのバランスが良いからなのかな、と思います。

レーシングスピードでのアタック後、どのような顔を見せるかまでは分かりませんでしたが、ロングも走ってみたいな、と思わせてくれるタイヤですね。普通にサーキットを周回する分にはデメリットが浮かんでこない。一般の方にはすごくお勧めできる1本に感じました。

中久木力(ガレージ力)’s VOICE

フェアレディZ(RZ34)/プロクセスR888R(285/35R19 )

インラップからスピードレンジを上げていっても裏切ることのないタイヤ。感触的には、鈴鹿の半周くらいでタイムアタックに入れるのには驚きました。昔、R888Rで良いイメージがなかった(笑)ので、良い意味で裏切られました。構造/材質などを含めて相当進化していますね。

構造的にケース剛性はそれほど高くなく、若干動く傾向にあるのですが、破綻せずに路面をしっかりと捉えてくれます。一言で“オールマイティ”。タイヤの摩耗も少なめなので、走行会を長く楽しみたいオーナーには最適だと思いますよ。

梅原大吾(J’s Racing)’s VOICE

シビックタイプR(FK8)/プロクセスR888R(265/30R19)

第一印象として、表面グリップが相当高いので1周目は「どこまで行けるのだろう!?」と思ったくらい奥が深いです。グリップのピークは割と短いですが、このタイヤの特性に慣れれば相当良いタイムを出せるんじゃないでしょうか!?

ピークグリップ後の特性もこのタイヤの大きなポイント。変化が少ないんです。唐突な動きやアンダーがきつくなるとか、そういったネガ要素はなく、全ての動きがマイルド。限界付近でもゆっくりしているのでコントロールしやすく、リカバリーができる懐の深さも残っていますから。

それと、縁石や切れ目の部分に乗った時の落ち着き感も抜群! サイドウォールが柔らかいというか、弾力がある印象です。寛容なので、チューニングカーにマッチングが良いと思いますね。

小原弘晃(クリエイティブサービス・オハラ)’s VOICE

GR86(ZN8)/プロクセスR888R(255/35R18)

1周目は内圧を気にしないで、表面グリップだけに頼って走ればしっかりタイムが出ます。ステアリングフィールも怖いくらいに良いですね。

熱が入ってくると1周ごとにキャラクターが変わって、すごくコントローラブルなタイヤにキャラ変。操っている感がすごく高いです。満足度という点では100点のタイヤですよ。

僕はタイヤの内圧を温間で2.4、2.2、2.0…と徐々に下げながらテストしましたが、エア圧を下げるとタイヤのヨレる感覚は強くなるのですが、タイムは大きくダウンしなかったんです。基本的なグリップ性能が高いんでしょうね。

プロクセスR888Rはタイトなミニサーキットよりも、富士や鈴鹿などスピードレンジが高くリズムに乗りやすいコースの方が相性は良さそうです。

●問い合わせ:TOYO TIRES フリーダイヤル:0800-3001456

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