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トラブルシュートを経て多彩なオリジナルパーツを自社開発!
ツアラーVオーナーを強力にサポート
相変らずチューニングベースとして人気を集め、中古車価格も高値安定傾向を見せるJZX100。しかし、登場から27年が経ち、最終型でもすでに20年以上を経過しているのが現実だったりする。
となると、当然くたびれているエンジンも多く本来のパフォーマンスを取り戻すためにはオーバーホール作業が必須。それを積極的に展開しているのが、ツアラーVの中古車販売からメンテ、チューニングまでを幅広く手掛ける“たにぐち自動車”だ。
代表の谷口さんが言う。「調子を崩す1JZにはパターンがあります。まず10万km前後でマフラーから白煙を吐く。これはタービンからのオイル漏れが原因です。また、20万kmを超えたエンジンでよく見られるのがコンロッドメタルのトラブル。油圧が下がるとカタカタ…、コンコン…と音が出始めます。エンジンを開けてみると、決まって6番シリンダーのコンロッドメタルがダメになってますね」。
エンジン本体のオーバーホールが必要な場合、分解したパーツを洗浄して細かくチェック。使えるパーツは再使用するのが基本となっている。これは、お客さんのコスト的な負担を少しでも軽くするためだ。
1JZの弱点として良く知られるのがクランクシール部からのオイル漏れ。また、ゴム部分が硬化してクランクプーリーが脱落してしまうケースも多い。「どちらも、タイミングベルトと同じような感覚での交換を推奨してます。一度作業をすれば、また10万kmは普通に乗れますからね」と谷口さん。
インテーク側カムに装着されたVVT-i(連続可変バルタイ機構)プーリー。カバー裏側にあるOリングの硬化によってオイル漏れが始まると、回転部分だけに症状は悪化の一途をたどる。本来は非分解式でディーラーではアッセンブリー交換となるが、たにぐち自動車では分解の上、オーバーホールを実施。さらに小加工を施すことで、VVT-iの作動レスポンス改善によるエンジンピックアップの向上も実現している。新品4万円に対して税込1万6500円という価格も魅力。
サージタンク後端に付くのがアイドリングを制御するISCV(アイドリングスピードコントロールバルブ)。アイドリングが不安定になった時、真っ先に疑われるパーツで、原因は内蔵モーターの不具合であることがほとんど。谷口さんいわく、「これも非分解式ですが、3年前に生産廃止になったのでオーバーホールを決めました。ようやく形になったので、お客さんのクルマにも装着し始めたところです」。価格は6万3800円で1年間の保証が付く。
純正CT15B型タービンをベースに、GCGとタッグを組んで開発したオリジナルのリフレッシュターボ2。エキゾーストホイールは耐久性アップのためインコネル製に交換される。アクチュエーターは2種類。ブーストコントローラーなしで、標準仕様(14万800円)はブースト圧0.8キロ、強化アクチュエーター仕様(15万6200円)は1.0キロを実現する。燃料ポンプのみサード製265L/hへの交換が推奨されるが、ECUもインジェクターもノーマルのまま装着できるのが大きなポイント。
経年劣化によって内部の電解コンデンサが液漏れを起こし、それが基盤を侵して不調をきたすことが多い純正ECU。そこで、たにぐち自動車では電解コンデンサを交換して通電テストを行ない、10年保証を付けて販売する。写真はエンジン用ECU(6万500円)だが、電子制御スロットル用オーバーホール済みECU(4万9500円)も用意。
エンジン本体のオーバーホールが必要な場合、分解したパーツを洗浄して細かくチェック。使えるパーツは再使用するのが基本となっている。これは、お客さんのコスト的な負担を少しでも軽くするためだ。
「クランクシャフトはたいてい曲がっているので、ナプレックで修正してもらいます。ピストンに関しては再使用しても、ピストンリングは必ず新品に交換。後は初期馴染みを良くするため、シリンダー内壁のホーニング加工も行ないます。開けた時の状態によって上下しますが、エンジン本体のオーバーホールは脱着工賃込みで100万円~が目安になると思います」と谷口さん。
ブラスト処理を経て汚れを落としたピストン。しかし、ピストントップ手前の角が白っぽくなり、指で触れると分かるほど表面も荒れている。「デトネーションが発生した跡ですね。こういう状態のピストンは当然、再使用はできません」と谷口さん。
ノーマルでも処理はされているが、走行距離が伸びるとピストン側圧が高い箇所では消えていることもあるため、エンジン本体のオーバーホール時に必ず行なわれるホーニング加工。作業はナプレックが担当し、ボア径の精密測定も行なわれる。谷口さんいわく、「シリンダーが摩耗しているブロックは、これまで見たことがありません。精度も耐久性も高いJZ系エンジンは、やればやるほどトヨタの傑作だと痛感しますね」とのこと。
続けて「1JZは基本的に丈夫なエンジンですが、長く楽しみたいなら過度なチューニングは避けて下さい。純正タービンなら、ブースト圧は最大1.0キロ。それ以上は危険領域になります。純正ピストンの能力としても1.3キロ付近でデトネーションによる棚落ちが発生。ブースト圧を掛けるために圧縮比を落とすと、エンジンのパンチがなくなり、レスポンスも悪化するので、圧縮比はノーマルをキープするのが正解です」と語ってくれた。
ツアラーV好きが高じて専門店を立ち上げ、日々接することで1JZに対する理解を深め、独自のスタンスを築き上げた谷口さん。ツアラーVオーナーにとって、たにぐち自動車ほど心強い存在はないはずだ。
●問い合わせ:たにぐち自動車 愛知県一宮市浅野字大島9-2 TEL:0586-81-6660
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