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ボロボロのベース車を手にしたところから物語はスタートした
今回紹介するのは、510ブルーバードに4A-Gを搭載してしまったという変態的チューンド。エンジンはもちろん、オーナーがスワップチューンの名門“元島技研”でレクチャーを受けながらレストアを進めた、ボディや足回りなどにも注目だ。(OPTION 2001年8月号より抜粋)
ショップとオーナーが二人三脚で作り上げた珍作!
「元々は超格安で買ってきたクルマだったんです。それを元島技研の方々に教わりながら自分で鈑金塗装をやって…」と語るのは、この510ブルーバードのオーナー。
意外性を追求し、スワップチューンを得意とする“元島技研(※)”に4A-Gエンジンの換装を依頼。そのままショップでコンプリートさせるのが普通だが、このオーナーは可能な限り自分の手で愛車を作りたいという想いから、元島技研の指示を仰ぎながらコツコツとDIYを進めていったという。細部を見ていく。
まずエンジンは、L18から4A-Gへとスイッチ。もちろんノーマルではなく、TRDの0.8mmガスケットで圧縮比を10.5とし、HKSのIN272度/EX264度のカムをセット。キャブはソレックスを組み込む。アクセルワークはなかなかシビアだというが、8000rpmオーバーまで問答無用で吹け上がるレスポンスは大きな魅力だ。
エキゾーストマフラーは、フジツボの510用をベースに加工。ストレートタイプではなく、内部に隔壁を設けるタイプで、想像以上にジェントルな排気音を奏でる。
足回りも独特だ。フロントはR30スカイライン用のストラットを流用し、ダンパーはAE92用のTRDショート。ブレーキキャリパーもR30用を使っている。
リヤショックにはTRDのAE86用を装備。ブレーキは純正ドラムのままとされている。
ホイールはハヤシストリートでサイズはフロント6.0J、リヤ7.5J。タイヤは前後とも185/60-14だ。この年代のクルマとしては、これでも十分太い部類に入る。
インパネはオリジナルを残しつつ、オオモリの追加メーター(油圧、排気温度、水温、燃料)を美しくレイアウトしている。
運転席はブリッドのセミバケットシートに交換。快適性を重視してCDチェンジャーなどオーディオ類も装備しているが、基本的にはオリジナルをキープ。
チンスポイラーはハコスカ用をベースに加工したもの。さらにライトを1つ潰してエアダクトとするなど、510ブルが現役だった当時の定番カスタムを再現しているのだ。
リヤがハの字になるスタイルは、リヤがセミトレの日産車におけるシャコタンのシンボルだ。シャープなラインが入ったテールはクーペ用。新品パーツを手に入れて取り付けたとのこと。LSDはカーツの2WAYが装備されている。
実際に試乗させてもらったところ、とにかく面白いの一言。軽快感はハチロクの方が上だが、コントロール性と安定感は510ブルに分があるという感じ。ともあれ、昭和46年式のクルマとは思えないほどのキレた走行性能だ。
オーナーは、この510ブルで普段の通勤からドライブまで楽しんでいるそうな。まさに、速さと快適性を高次元に両立させたリアルチューンドと言うわけだ。(※元島技研は現在閉店しています)