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真のマツダファンなら知らぬ者はいない!?
2.0Lエンジンを搭載した限定モデル!
1998年に9代目として登場したBJ系ファミリア。ボディは4ドアセダンとリヤゲートを持つS-ワゴン(5ドアハッチバック)が用意され、翌年S-ワゴンには2.0L直4のFS-ZE型(170ps&18.4kgm)を載せるスポーティグレード、スポルト20が加わった。
そのエンジンをベースに専用チューニングを施し、セダンボディに載せたのが、2001年発売のマツダスピードファミリアだ。限定100台の予定に対して注文が殺到。計209台がデリバリーされた。
ヘッド周りでは吸排気ポートを拡大し、作用角&リフト量を増した専用カムを採用。専用ピストンでの圧縮比アップ(10.4→10.7:1)やピストンクリアランスの最適化なども図られたマツダスピードチューンのFS-DE型エンジン。カタログ値はベース比5ps&0.5kgmアップだが、軽量フライホイールの採用もあってフィーリングはまるで別物だ。フロントストラットタワーバーは標準装備。また、EXマニはステンレス製4-2-1等長タイプを標準装備する。
内装色はブラックが基本。ステアリングホイールやセンターコンソールパネル、パワーウインドウスイッチ周りなどに配されたシルバーがアクセントになる。また、シフトレバーはショートストロークタイプで小気味良い操作が可能だ。
シート表皮はベロアとファブリックのコンビ。その配色ブラック&シルバーとなる。助手席はスペースアップシートとされ、背もたれを前倒しすることで背面をテーブルとして使ったり、トランクスルーと合わせて長尺物を載せたりできる。
マツダスピード製マフラーは、リヤバンパーに合わせてテールエンド位置を最適化した専用品を標準装備。低排圧メインサイレンサーによって排気抵抗を大幅に抑え、中高回転域におけるパワーの伸びとレスポンスアップを両立する。
ボディカラーは新色のスターリーブルーマイカ。大型エアロバンパーやサイドエアダムスカート、3本ステータイプのリヤウイングが専用装備となる。ホイールはゴールドのレーシングハート17インチが標準で、205/45サイズのタイヤが組み合わされる。
またマツダスピードファミリアで専用なのは足回りも、だ。10%ほど高めたバネレートに合わせてダンパー減衰力の特性が見直され、車高をフロントで14mm、リヤで13mmダウン。また、リヤサスメンバーの剛性を高め、前後スタビライザー径の拡大とリヤコントロールリンクの短縮によってロール剛性アップも実現している。そういったマツダの走りに対する拘りは変質的と言っていい。
低中回転域におけるエンジンの印象は扱い易いの一言。そこで特別な感じを覚えることはない。しかし、4500rpmを境に性格がガラリと変わり、パワーを大きく盛り上げていく。専用カムと最適化が図られたバルタイセッティング、さらに排気チューンの相乗効果もあるのだろう、7000rpmまで一気に吹け上がるのだ。そこで、メーカー直系チューンドの本気を思い知ることになる。
また、15インチ化が図られたブレーキにも感心した。ペダルタッチがカッチリしていてストロークも短め。何より初期に制動力が大きく立ち上がることなく、踏力に応じてリニアに効いてくれるから非常にコントロールしやすいのだ。
にもかかわらず、カタログには「前後とも15インチの大径ディスクを装着し、パワーとハンドリングの高度化に呼応する優れたストッピングパワーを確保」という、ごく簡潔な一文が記されるのみ。そこはもっと強くアピールした方がいいのに…と思った。華々しさには欠けるけど、乗れば分かる高い完成度。そう、マツダは好き者にササるクルマ作りを熟知しているのだ。
ちなみに、この個体は後にマツダミュージアムに寄贈されたことを付け加えておきたい。