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BNR32にVR38DETT&4WD機構を移植
最高出力1300馬力オーバーのドラッグ対応スペック!
いわゆる25年ルールの輸入規制による縛りが解かれ、徐々にアメリカでも見かける機会が増えてきた第二世代のスカイラインGT-R。カリフォルニア州ヴァンナイズにあるプロショップ“Original Auto(オリジナルオート)”は、その第二世代GT-Rを中心としたJDMチューニングを専門に掲げている。
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代表のパブロ・アラルコン(右)とメカニックのマーロン・オチョア(左)がGT-Rに捧げる情熱は本物。日本のチューニング文化へのリスペクトも非常に深い。
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そんな二人が2年前からプロジェクトとして進めてきたのが、R32のボディにR35のVR38DETTを換装するVRスワップだ。ご存知、トップシークレットのVR32GT-Rからインスピレーションを受けたのが始まりだが、こちらはドラッグレースを想定した極めて過激な代物に仕上がった。
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R35がトランスアクスルを採用しているため、VRスワップはトランスミッションから後ろのドライブトレインをどう成立させるかが肝の一つ。
まず、オリジナルオートはトランスミッションにPowerglide(パワーグライド)という50年代にGMが開発した2速ATを選択。旧いアメ車乗りにはよく知られたパワーグライドは、そのトルク許容度の高さからドラッグレースやモンスタートラックでも採用例が増えている。
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ATI製のワンオフベルハウジングアダプターでVR38とパワーグライドを合体すると、その後ろに駆動力を前後に振り分けるR33のトランスファーケースを接続。リヤはカスタムメイドのプロペラシャフトとR32のデフを繋げ、フロントデフのファイナルをリヤの4.111に合わせるリング&ピニオンも用意して4WDを成立させた。
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エンジン本体は鍛造ピストンなどを投入し強化。前方の一等地には、マーロンが製作したターボマニホールドにトップマウントされたギャレットGシリーズが睨みを効かせる。インタークーラーはGReddyのR35用で、2つあるR35純正電子制御スロットルを含めて制御にはハルテックのネクサスR5を使用。
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トランクにはカーボン製のタンクを使用したNOSシステム、nukeのコレクタータンクなどを装備。燃料タンクには4機のポンプを備えたradiumのフューエルハンガーを内蔵する。
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外装はフルノーマルだが、フロントにフージャー(F28.0/10.0-18)、リヤにミッキートンプソン(R28.0/10.5-15)のドラッグスリックを履き、異様なオーラを発揮。トップシークレットのVR32GT-Rが洗練された大人のR32という印象なのに対して、こちらはいかにも粗野で無骨なアメリカンスピリッツ剥き出しで、実に好対照だ。
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ホイールはワークエモーションCR kaiと、Weldビードブロックドラッグレースのコンビネーション。ブレーキはフロントがAPレーシングの6ポットキャリパーと2ピースローター、リヤがR34純正のブレンボ流用で強化済みだ。
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ステアリングに備わるCartekのワイヤレスコントローラーやメータークラスターに収まるハルテックIC7、追加メーターとしてダッシュ中央にマウントしたAEMのCD7などハイテクが詰まったインテリア。カーボンバケットシートは英国Tillett製。
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最高出力は驚異の1319whp(約1337ps)をマーク。その持てる力すべてをドラッグレース場で解放する瞬間を今や遅しと待っている。
Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI