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ホンダの名機K20A+MR-Sという提案!
約180万円で完結するコンプリートスワップメニュー
今時のコンパクトカーよりも軽い1トン以下の車重でリヤミッドシップという、走りを大いに期待させてくれるパッケージングを有するMR-S。スポーティカーとしての資質は非常に高いものの、エンジンのパワー不足を指摘する声が多かったことも事実だ。
搭載される1ZZエンジンの140ps/17.4kgmというスペックで、過給機チューンしようにも大幅なパワーアップは望めない。そこで、立ち上がったのがコンパクトカーチューンの名手“ハーフウェイ”だ。MR-SにDC5型インテグラタイプRのVTECエンジンを移植するという、離れ業の必勝メニューを苦心の末に生み出したのだ。
DC5に搭載されるK20Aは、220ps/21.0kgmを誇るハイスペックユニット。さらに、MR-SはDC5インテグラに比べて車重が100キロ以上も軽いため、エンジンノーマル状態でも大幅なポテンシャルアップが可能だ。
もちろん、型式が異なるエンジンスワップ作業は簡単ではないが、ハーフウェイでは“10年以上乗り続けられるマシンメイク”というテーマで開発に着手。
この手の作業は、エンジンマウントの新設をはじめとする大手術が必要となるケースも多いが、ハーフウェイは試行錯誤を繰り返しながら、ボディ側に一切手を入れずエンジンスワップを完結させる方法を確立させたのである。
「パッケージメニュー化したかったので、大掛かりな作業は避けたかった。そこで、エンジン側のブラケットを延長加工したり専用カラーを製作することで、ボディ無加工を実現しました」とは、ハーフウェイ林さん。ワンオフではなく、量産を前提にしたメイキングを進めたわけだ。
エンジンの搭載位置に合わせたドライブシャフトの製作にも着手。ドライブシャフトがスイングした時の安全性を確認するため、試作&テストを繰り返し、SNCM439材で一体成型したものを完成させている。
スペース的にK20Aのエアコンコンプレッサーは収まらない。しかし、ストリートユースを前提とするならエアコンは絶対条件だ。そこで、ハーフウェイでは配管をオリジナル製作し、別車種のエアコンコンプレッサーを流用することでこの問題をクリア。このためだけに、配管のかしめ機械を導入したほどの拘りようだ。
EXマニからエンドマフラーまでの距離が短いMR-Sでは、K20Aの純正触媒を使うとマフラーの取り回しが不細工になってしまう。そこで、ハーフウェイはオリジナルの4-2-1EXマニからMR-Sの純正触媒に繋がるレイアウトを構築して車検用の排ガスレポートも制作した。
エンジンのマネージメントはDC5純正ECUが担当。一方、エアコンや純正メーターを制御するため、MR-S純正ECUもエンジンルーム内に残す。また、K20Aは吸気温度の変化に敏感なエンジンだが、純正の吸気経路を活用してフレッシュエアを導入し、吸気温度の安定を図っている。
このエンジンスワップにかかる予算は200万円。K20Aエンジン本体(中古)と6速MT(中古)、それに予備検査取得や搭載作業工賃まで含んだコンプリートプライスであることを考えると、完全にバーゲンプライスだ。
完全合法で楽しめるK20Aエンジン仕様のMR-S、パワー不足に嘆くオーナーはハーフウェイに一度相談してみてはいかがだろうか。
●取材協力:ハーフウェイ 兵庫県神戸市西区見津が丘4-9-6 TEL:078-998-2223
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ハーフウェイ
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