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フルチューンK24ターボで1000馬力を狙う!
アメリカンドラッグのトレンドを盛り込んだ怒涛のメイキング
今年の東京オートサロンで大きな反響を呼んだEG6型シビック。製作元は、福島県のStr8autoworks(ストレートオートワークス)であるが、ショップのデモカーではなく、れっきとしたオーナーカーだというから驚きだ。
車両オーナーであるKatsuya Endoさんはアメリカ留学の経験者。渡米時代の思い出のクルマであるEG6をベースに、90年代に生で体感した本場のドラッグレースやストリートレースの息吹を感じさせる車両を作りたい!と思い立ったのだそうだ。
その製作依頼を受けたストレートオートワークス代表の岡﨑雄太さんは、Endoさんから全体のイメージや当時の文化的背景を聴くと同時に、アメリカにおけるホンダ車の最新ドラッグシーンもリサーチ。単なる懐古趣味ではなく、トレンドを捉えた超進化系チューンを具現化していった。
エンジンは今をときめくKスワップだが、その中身はワンステップ上。インディアナ州にある4ピストンレーシングが供給するK24型のコンプリートエンジンで、1000ps想定のターボ仕様を意味するK24-KT1000を搭載する。
ハイパワーを追求する場合、K型のネガとなるオープンデッキ構造は、シリンダーを削り落として鋳鉄スリーブを内蔵する構造に変更済み。ワイセコのフラットトップピストンや強化コンロッドも使用されている。
ギャレットのG42-1200をキングスパフォーマンスのターボマニホールドでマウントする。ティアドロップ型のテール形状でアメリカっぽさも感じさせるエキゾースト&ゲートパイプはストレートオートワークスがワンオフで製作。ビレット削り出しのインテークマニホールドとフューエルレールはGatoパフォーマンス製。ツインインジェクター仕様となり、1気筒あたり1050ccに増量されている。
超大容量のデュアルパスインタークーラーは、2018年にFFドラッグ最速レコードの7秒477を記録したスピードファクトリーレーシングのオリジナル商品。先端が尖ったフロントバンパーと超絶ワイドなフロントフェンダーに、極太のドラスリを飲み込むスタイルも、そんなスピードファクトリーレーシングを筆頭とする現役の最速FFドラッガーたちのトレンドを踏襲したものだ。
ECUはAEMのインフィニティ8を採用。オーナーのEndoさんが留学していた時代にAEMのスポンサードを受けて活躍したドラッグレーサー、ステファン・パパダキスへのオマージュも込められている。
デザインは日本、鍛造アルミビレットを削り出す製造はアメリカで行う、Neutrale(ニュートレイル)のワンオフ15インチホイールを装着。OMFのビードロックが溶接され、タイヤはフロントが275/50R15、リヤが225/50R15のフージャーDR2を組み合わせる。
1000psを想定するドラッグマシンでありながら、内装にはブラック&オレンジの本革張り替え作業を実施。フロアも剥き出しにせず、車体に合わせてカーペットを製作している。アルミ一体フレームを採用するKirkey(カーキー)の55シリーズシートも、同様に本革のトリムが張り込まれ、ドラッグマシンとは思えないゴージャスな空間を演出。
オーナーの本業がDJということもあり、「ドラッグマシンにも音楽は必要!」とキッカーのサブウーファーとスピーカーもインストール。サブウーファーのボードの前方には、Radiumのマルチポンプフューエルサージタンク(ポンプ内蔵型コレクタータンク)が備わる。
Kチューンドのシフター、フィニッシング・ラインズのステージングブレーキ(油圧ハンドブレーキレバー)は、いずれもビレット削り出しの逸品。フロアマウントのペダルはチルトン800シリーズで、オルガンタイプのペダル後方にマスターシリンダーとリザーバーを備える。
一度ドンガラにしたボディは元の塗装を全て剥離した上、開口部のスポット増しを実施。ジェイス・コンポジットのフロントエンド、ストレートオートワークスのリップスポイラー、スプーンのリヤスポイラーなどを装着し、アウディのナルドグレーでペイント。フロントのサイドウィンカーをUS純正にしたほか、モール類も新品に交換する徹底ぶりだ。
B型の後継であるK型に換装し、さらにハイチューンも施した超絶系EG6。最終調整を経て、トラックデビューの日を今や遅しと待ち構えている。
Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI
●取材協力:ストレートオートワークス 福島県福島市御山字中川原67-1 TEL:024-573-0739
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ストレートオートワークス
http://www.str8autoworks.com