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ドリフトで勝つためにSR20DET+ドグミッション搭載!
ハチロクの戦闘力を極限まで高める全方位進化系チューンド
FF車が全盛に向かおうという1980年代、ライトウエイトスポーツとして前代モデルのFRプラットフォームを引き継ぎつつ、新世代の4A-Gエンジンを搭載して1983年にデビューしたのがAE86だ。
カローラの派生車種という位置付けのレビンと、スプリンターの派生車種と位置付けられたトレノが共通のプラトフォームで兄弟車とされたのも、それまでの流れを踏襲したものだ。
適度にコンパクトで取り回しの良いボディは、エントリーモータースポーツ参加層や走り屋たちからも大きな支持を受け、あらゆるステージで大活躍。このクルマで腕を磨いたというプロドライバーも多く輩出した。
そんな日本の名車をベースに、ドリフトというステージでシルビアを始めとする一線級のターボ勢に負けないことをコンセプトに開発されたのがこのチューンドハチロク。手掛けたのは、大阪の名門カスタムファクトリー“轟自動車”だ。
まずエンジンは、オーバー500馬力を求めてフルチューンのSR20DETを換装。エンジン本体はS15用ブロックにHKSの87φピストンを組み合わせて、フルバランス取りも敢行したスペシャルだ。ヘッドには東名パワードの260度プロカムを使用し、細部にも手が加えられる。制御はパワーFCだ。
組み合わせるタービンはTD06-24V。特殊なモデルをあえて選んでいるが、シルビアとのマッチングは非常に良いモデルとのこと。エキマニはオリジナル、スロットルはS15シルビアNAの70φを使用している。これにより最高出力は500psに到達した。
次にサスペンション。フロントサスは車高調や各種アーム類はもちろん、ドリフトチューンの定番でもある切れ角アップまで徹底。大径ワイドタイヤのフルカウンターに対応するために、タイヤハウス内には逃げ加工も施されている。ブレーキキャリパーにはS14シルビア用4ポッドキャリパー&スリットローターを流用し、曲がる・止まるも完璧だ。
そしてリヤサスはコイルオーバー化(R32用のHKS車高調)され、ブレーキローターはS14シルビアのものを流用している。
また、ハイパワー車になるとホーシングが開き、大幅なトーアウトになってしまうので、ホーシングのシャフトケース部分もシッカリ補強がなされている。
駆動系も凄まじい。ワットリンクによって装着されるのは、クラウン改の7.5インチナローデフ。大パワーを受け止めるのはもちろん、各方向からの荷重を確実に受け止め路面に伝える。ミッションはHKSの6速ドグだ。
なお、ドリフトに重要なサイドブレーキは、コントロール性とロック率を高めるために油圧式に交換。フットブレーキは前後バランスを調整するためにレース用のバランサーを装備する。エンジン換装時にスペース確保が難しかったため、ブレーキのマスターバックはキャンセルされた。
パッと見はレストアされた綺麗なハチロクだが、その実はハチロクを愛する走り屋チューナーの魂が込められたフルチューンのドリフトスペックというわけだ。
●取材協力:轟自動車 TEL:072-944-0886
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