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ゼロヨン時代はHパターンミッションで9秒6をマーク!
RB26DETTの弱点を克服する最新パーツも続々投入
ベース車両とチューニングの効果を収集・分析した膨大なデータを駆使し、トータルバランスに優れたパッケージング提案を図っていく“カンサイサービス”。言わずと知れた、関西地区を代表する老舗チューナーだ。
自身もBNR32を大切に所有するGT-R愛好家の向井代表が今回紹介してくれたのは、ゼロヨンの最前線から退いた今も進化を続けているフルチューンスペックのBNR32だ。
「このBNR32はノーマルエンジンのタービン交換からスタートして、数え切れないほどの仕様変更を繰り返してきたマシンです。当時、オーナーはゼロヨンに力を注いでいて、最終的に2.7L+GT3037Sツイン、HKSのHパターンドグミッションで9秒6をマーク。その後、しばらく落ち着いていたんですけど、タービンのオーバーホールをきっかけにチューニング熱が再燃。外観はストリートマシンらしく落ち着いていく一方で、中身はどんどん進化していってます」とは向井さん。
フルチューンスペックとしての風格を放つエンジンルーム。腰下はHKSのキャパシティアップグレードキットで2.8Lまで排気量を高め、ヘッドもナプレックのハイレスポンスドラッグキットとニスモのハイカムでブラッシュアップ。ここにEFR9180タービンを組み合わせることで、最高出力894ps/7230rpm、最大トルク97.6kgm/5470rpmという圧巻のスペックに仕立てられる。
これらは、ビッグシングルながら下から使えるタービン特性に加えて「RBらしさを堪能するために高回転重視のエンジン特性で仕上げたい」というリクエストを反映させての選択。Vカムをあえて投入していないのもそのためだ。
R35GT-R純正のダイレクトイグニッションやHKSクランク角センサーコンバージョンキットなど、最新パーツは意欲的に投入。ゼロヨンから離れてストリートを主戦場とした今も、オーナーのチューニング欲は尽きない。エンジンマネージメントはLINKのプラグインが担う。
追加メーターや各種コントローラーが整然と並び、ゼロヨン時代の面影を強く残すコクピット。ミッションに関しては、HKSドグのオーバーホール対応が終了したため、OS技研のOS-88シーケンシャルドグに切り替えたそう。
足回りはHKSのハイパーマックスMAXIIIベースでセットアップ。ブレーキは前後ともエンドレスのシステム(F:MONO6スポーツ R:レーシング4)に変更してストッピングパワーを強化する。ステアリングのレッドとシンクロさせるようにペイントされたキャリパー&ベルハウジングがお洒落だ。
メイン100φのフルエキゾーストシステムが存在感を主張する下回り。リヤサスメンバーはトラクションを稼ぐために取り付け角を変更し、カンサイサービス謹製の剛性アップパーツ(ロワブレースバー、メンバーカラー)も投入済み。プロペラシャフトはカーボン製だ。
エアロボンネットやエアロミラーが目を惹くアダルト仕立てのエクステリア。オリジナル重視のライトチューンと思わせつつ、アクセルを踏めば暴力的なパフォーマンスを発揮する、まさに“羊の皮を被った狼”仕様だ。
ゼロヨンの最前線を退いたからといって落ち着くのではなく、ストリートにステージを移してなお、チューンドGT-Rの魅力を貪欲に求める。シンプルなストリートスタイルに、驚くべきポテンシャルを秘めたRB26DETTというカンサイサービス渾身のパッケージングが、ここからどのように進化を果たしていくのか非常に楽しみだ。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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