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ランエボIII用4G63ターボエンジンを大胆スワップ!
ホイール以外、内外装は純正に拘る
ハチロクにコルトラリーアートバージョンR用4G15ターボやランエボ譲りの4G63ターボ、アルテッツァに2JZ-GTEなど、これまで数々のエンジンスワップチューンドを生み出してきた広島の“レーシングハウスサカイ”。
ここで紹介するスタリオン2600GSR-VR改は20年前に製作された1台で、ランエボIII用4G63ターボを搭載。ハーネスを製作してランエボIII純正ECUで制御する。元々、搭載されていたエンジンは2.6L直4のG63Bなので、当時すでにダウンサイジングターボ化が図られていたわけだ。今のクルマ業界を予想していたとは思えないが、結果的には時代を先取りしていたと言っていい。
「中学生の時に映画『キャノンボールII』でジャッキーチェンが乗っているのを見てスタリオンを好きになり、テレビドラマ『ゴリラ』に出てきたブリスターフェンダー仕様に乗ってみたいなと思いました。坂井さんのところにクルマがあるのは15年ほど前から知っていたのですが、私が譲ってもらったのは5年前。各部を手直ししてもらって公認車検も取得しました」と言うのは現オーナーの宮原さんだ。
タービンこそランエボV純正に交換されるが、特にパワーや速さを求めるわけではなかったため、エンジンは基本ノーマル。エキゾースト環境の見直しにより、排気効率が改善した分だけ軽くブーストも上がっているが、コントローラーを装着しての積極的なブーストアップまでは行なっていない。
ちなみに、エンジン載せ換えというと現車合わせでの各部加工を要するケースが大半だが、「実はオイルパンもサブフレームも無加工で換装できたんですよ」とレーシングハウスサカイ代表の坂井さん。マウント類も三菱の純正品を組み合わせることでいけたと言う。エンジン換装としてはかなり手軽な部類に入る。
ミッションはA187A純正5速MT。センター出しが難しかったと言うが、ベルハウジングを製作して4G63ターボに組み合わされた。ちなみに、ファイナル比は純正3.7のまま。ナローボディの2.0Lモデル(A182A)純正4.1への変更を考えたが、デフサイズが異なるため流用を断念。
足回りにはワンオフ製作した全長調整式車高調をセット。スプリングレートはフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmとなる。フロントはピロアッパーマウントでキャンバー調整が可能。また、ブレーキはキャリパー、ローター共にノーマルで、パッドのみIDI製に交換される。
また、内外装は極力ノーマル状態を保つというのが宮原さんの拘り。まず外装は17インチホイール&タイヤを装着し、適度に車高を落としているだけ。ノーマルでも高いレベルで纏められたスタイリングだけに、余計な手直しは無粋というものだ。
3ナンバーのワイドボディは5ナンバーのナローボディに対して全幅で50mm拡幅されているが(1695→1745mm)、そのボリューミーなフェンダーのデザインを含め、視覚的なワイド感と迫力は実際の数値以上。スタリオンと言えば、やはり2600GSR-VR(と50台限定モデルの2000GSR-VR)に人気が集中するのも頷ける。
一方の内装も手が加えられた箇所は最小限。ダッシュボード上に装着された追加メーターは、デフィ製タコメーターにオートゲージ製ブースト計と水温計。シフトノブは球状のジュラコン製に交換されているが、ステアリングホイールは純正のままとされる。メータークラスター左右のサテライトスイッチが1980年代のクルマらしい。シートも純正のままだ。
「20年前に作ったままの仕様ですが、その間にチューニングパーツが進化しましたからね。実はエンジン制御用ECUとしてハルテックエリート1000をもう用意してあるんですよ。他にはファイナルも替えたいし、ミッションもアルテッツァ用6速MTに載せ換えたいし」と坂井さん。
時代に合わせてバージョンアップを図っていけば、チューニングカーを長く楽しめる。このスタリオンは、まだまだ進化していくということだ。
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Hiroshima Kentaro)
●取材協力:レーシングハウスサカイ 広島県三原市須波西1-5-28 TEL:0848-67-9551
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